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第一話

ふと 誰かに強く手を引かれた

奥底に沈みかけていた私は手を引かれたことにより意識が覚醒する

目を開けるとぼやけた歯科医に飛び込んできたのは薄いクリーム色の天蓋でほっと息を吐く

まだあまり覚醒しきっていない頭を抱え体を起こせばずきりと鈍い頭痛が私を襲った


「日本じゃないのか・・・・」


ぽつりと言葉をこぼす

あぁ、私の知っている私の声ではない けれど違和感もない

手のひらを見る大人へ向かっているまだ幼さの残る白い小さな手

私の知っている私の体ではない けれども嫌悪感はない

わたしは、 一条いちじょう 新菜にいな 日本では女子高生をしていた

専業主婦の母 サラリーマンの父 一つ下の生意気な妹

数人の友達と一人の親友 好きな人もいた

普通だけどとても幸せだったことを覚えている

けれどそれ以上のことは思い出せない 覚えていない

どの県に住んでいたどんな街にいたか 家の場所住所 学校の名前

父の名前 母の名前 妹の名前 友達の名前

いたという記憶はあるのに詳細や名前などがどうしても思い出せない

どうしてここにいるのかもわからずそっとあたりを見渡す

広い部屋だ、クリーム色が多く使われたかわいらしい部屋

新菜わたしの部屋ではない

寝ていたふかふかのベットから足を下すともこもこのカーペットが私の足を包んだ

ベットのそばの壁に掛けられていた姿見を覗く

薄い背中くらいまである少し癖のある金色の髪 アクアマリンのような色をした瞳

明らかに日本人ではない見た目 けれどさほど驚きはしなかった

この少女の名前はリーゼロッテ・ジュベール

私でありこの体の本来の持ち主だ

生まれ変わり 転生 転移 ファンタジー小説にはそんな展開が存在する

私はどうやら転生をしてしまったらしい

いきなり記憶が戻ってたらこの世界のことなにもわかんないよだなんてならない

リーゼロッテ・ジュベールの記憶が体にしみこんでいるから

しっかりとリーゼロッテの記憶を私は引き継いでいるのだから

思えば違和感があったのだリーゼロッテとして生きている間にこの世界には存在しないものの記憶があったりと 母や父に言って聞かせては困惑させていたのを覚えている

大きくなったらその違和感もなくなるわよとも言われたっけ

日本の記憶を取り戻したことによってその違和感の正体を理解できた。

それにしても…


「なんかパッとしない顔だなぁ…」


化粧をすればそれなりに顔だけどなんかぼやぁ‥としてる

それがリーゼロッテのコンプレックスだっただったなぁ‥

なんて、冷静に状況を理解したふりをしていたけれどあんまりの非現実さに顔を覆って座り込む

何これぇ?!転生?転移?理解できるわけないでしょ…

小説とか漫画の中だけにしとけよっ…!

床を力任せにたたいているとトントンとノック音が聞こえた

そうだった、理解したくなくとも今私はリーゼロッテという少女なのだ 中の人の事情等知らない者共が来客としてやってくるのは当たり前だ


「…どうぞ」


とりあえず私が了諾しないと相手は入れないので返事はしておく

倒れてしまったから様子を見に来た両親だろうか使用人さんだろうかそれとも兄か

まぁみに来てるのは頭の様子だろうけどね電波みたいなことを言って倒れたからな

ノック音の主が部屋に入って来る前にベットへと戻っておく

数秒の間を作りきぃと静かな音を鳴らし扉は開いた

思わず目を見開いてしまう

私はてっきり使用人か家族かと思っていたが違う、もっと高貴な人だ

入ってきた人物は私に跪きベットに腰を掛ける私の手を取る

え、どういうこと…?状況が呑み込めず

私は思わず跪いた相手をガン見してしまう



「リーゼロッテ・ジュベール嬢 貴女を我が国の学園に迎え入れたい」


そういって顔を上げた相手の顔はとてもきれいだった

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