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~もう1つの祝宴~

村人達が祝っている最中、マオとリリスと同じように重要な話をしているグループがもう1つあった。

『いや~めでたいですな‼これも殿下のおかげですかな?』

村長がお世辞をいいながら、御酌する。

『いや、皆の働きのおかげだろう。私は何もしておらんよ。』

コミナ王子が御酌をうけながら返事をする。

『…さて、少し村長は席を外してもらっても良いかな?』

御酌された酒を一口飲み、話をきりだす。

『えぇ、もちろんです。私は少し村の様子を見て参ります。アーク、後は頼んだぞ。』

『…えぇ。』

村長が頭を下げ、席を外す。

『さて、本題に入ろうか。』

コミナ王子が話をきりだすと、護衛の兵士達も辺りを警戒しだすように気を引き締める。

『私が今日ここに来た本当の理由はコンテストを見学するためではない。アーク、旧知の仲であるお前に頼みたいことがあってな。』

『…わかってますよ。戦争の事でしょ?』

アークがヤレヤレといった感じの態度をとる。その様子から、コミナ王子との間柄あいだがらは気心知れた相手であるようだ。

『正解だ。だが、おそらく思い違いをしているぞ。』

『どういう事です?』

『お前が言っている戦争とは父や兄達がする侵略戦争の事を言っているのだろう?』

『それ以外に何があるんです?』

『アーク…もう少し近くに来い…』

テーブルを挟み、コミナ王子の前に座っている体制から身をのりだす。王子が先程よりも少し声を抑え、話を続ける。

『私は武力によるクーデターをおこそうと思っている。それをアークに手伝ってもらいたいのだ。』

『なんですって⁉なぜです?』

『理由は色々あるが…1番はやはり、このままでは国の民達や他種族、関係のない者達が泣く事になる。戦争の悲惨さはアークもよくわかるだろう…?』

『………。』

身をのり出した体制からゆっくりと力なく、席に座りなおす。

『…それでクーデターをおこすのですか?』

『そうだ。もはや、父や兄達に話をしても無駄と言うことがよくわかった。戦争をやめるように何回も説得を試みたんだがな…全て無駄だった。あの3人は自分の事以外に何も考えていない。他の者達の事などどうでもいいのだ。』

王子が酒を飲み干す。

『…だからこそ私がやるしかないのだ…。例え、親や兄弟に恨まれようとも…』

『それで、どうするんです?』

アークが王子に御酌する。

『…おそらく、今までの戦争と同じように兄達、2人は戦場で指揮を執るだろう。もちろん、私もそのように下知げちされるだろう。そこで私は影武者を立て、戦場に向かうふりをし、戦場に向かわず城内に残っている父を倒し、城内を掌握する。そののち、戦場に出ていた兄達を城にて迎え撃つ。』

『…そんなにうまくいきますか?』

『おそらく大丈夫だろう。父はもう口だけしか出さないし、兄達はお互いに足を引っ張りあっている。父を倒しさえすればお互いに足の引っ張りあいで自滅するだろう。そして残ったほうと戦えばいいのだ。もし仮に兄達2人が協力しようとも私の敵ではない。』

『…それで?私は何をすればいいのですか?』

『私と一緒に城をおとしてほしい。』

『王子1人でも大丈夫なんじゃないですか?』

アークがなんとなく気のない返事をする。

『…少し気になることがあってな…。』

『気になる事と言うのは?』

『…もともと父や兄はもう少しまともだったのだ…いきすぎなところもあったがお互いに諫め、国をより良くしようとしていた。だがあるときからお互いに利己的な事を追求するようになった。10数年前だったか…父が今後の国の行く末をある神官に相談したのだ。父にしてみては何か余程の不安があっての事だったのだろう。まさに神に祈るような気持ちだったのかもしれない。その時から少しずつ狂いはじめ、今では父をはじめ、兄達も狂っていると言っても過言ではない。』

『王子はその神官がなにかをしていると?』

『かもしれないし、そうでないかもしれない。だが、なにかをしているという確証はある。』

『…それは?』

『…父はそれまでは信心深いといった印象はなかった。だが相談をしてからは何かにつけて礼拝をするようになった。それに付け加え、何か指示を出すときも『これは天啓である‼』といった感じで話をするようになった。ちなみに今回の戦争も天啓だそうだ。』

『…神が戦争を指示したんですか?』

アークが鼻で笑う。

『…私は今回の戦争は裏で神官が糸を引いていると思っている。神官を倒し、父が元に戻ればそれでいいのだが…』

『…では、私はどうすれば…?』

『私が父を相手にしている間に神官を倒してほしいのだ。神官を倒し、父を倒せば、ほとんどクーデターは成功したと言ってもいいだろう。』

『…わかりました。少し考える時間をください。』

『あぁ、だがあまり時間はないぞ。』

『ちなみに神官の名前は?』

『神官の名前はカップコーンだ。』

『神官カップコーン…。』


色んな思いが渦巻く祝宴は深夜まで続いた。

~人物紹介~

カップコーン~ 神官。コミナ王子曰く、今回の戦争を裏で操る首謀者。

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