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立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は魔王様。~魔王転生~  作者: 吉岡源泉
~エルグランド編~
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~エルグランドでの攻防~2

『仮に、今代の魔王が軍勢を率いて来たのなら…もう少し統率のとれた動きをするでしょう。』

『どういうことだ?』


リリスが仮定の話をし始める。


『魔族は強い者に従う。強い者の意見が全て。ですが、それは圧倒的強者にだけなのです。自分と同じような強さの相手には上辺だけは従うような振りをするだけです。どの魔族も皆、強さをしめし、自分が上にたちたいのです。…先ほどの話では私達、アークさんが来るまでは小競合いを繰り返していたとのこと。この事から魔族の将はそんなに強くはないと思います。自分のちからが遠く及ばないような相手が率いているのならダラダラと小競合いなどせず、号令に従い、一気に攻めて来ると思うのです。逆に自分に近い、同じような強さの者が率いているのなら、馬鹿にしたような態度をとり、命令に従うような振りをするだけでしょう。』

『…だから小競合いを繰り返していたのか…』

『はい。指揮官を馬鹿にして、適当にダラダラしていただけでしょう。ですが、そこにアークさんが来た。歴代最強とまで言われた圧倒的強者の先代魔王様を討った勇者が…』

『それで一気に攻めて来たのか。』

『はい。勇者を倒したとなれば、その者は先代魔王様よりも強さが上、圧倒的強者です。…あまり良い言い方ではありませんが、アークさんは名を上げたい魔族にとっては良い餌になるでしょう。』

『…フム…餌か…。』


何やら思案するミド。


『アークにはどのくらい餌としての価値はある?』

『絶大です。ほぼ全ての魔族を釣れるでしょう。』

『…パパ?』


黙るミドを見て、不穏な空気を察知したのかエルが口を挟む。


『…よし‼️アークを餌にして敵軍を叩く‼️』

『パパ‼️』


驚くと同時にミドを睨むエル。


『まぁ、聞け。まずはアークには最前線に出て貰う。そうすればおそらく敵軍の将も最前線に出てくるだろう。』

『そんな事すればアークが危ないじゃない‼️』


エルが必死に抗議する。


『だろうな。だからアークには腕の立つ護衛を数人つける。そして、アーク達はひたすら守りに徹する。なんならお前も後方支援として一緒について行くと良い。その方が安心だろ?』

『…でも…。』

『…エルよ…儂はこの国の王だ。お前の父であるがこの国の王なのだ。アーク1人の命とエルグランドの民、全ての命を天秤にかければ、傾く方は決まっている。それはアークの代わりにお前でも変わりはない。』

『………。』


黙るエル。苦しいような、悲しいような、なんとも言えない表情をするミド。2人とも同じ表情をしている。


『…続けるぞ。アークを囮にしている間に、儂は1部隊を率いて敵の背後をとる。…そこの魔族の娘から話を聞くに…アークを餌にすれば敵は我先にと、中途半端に強い奴ほどアークに飛びつくだろう。そして、そんな奴らに後方へと押し退けられた強くない奴らを背後から一気に強襲する。まぁ、弱い奴らが相手だ。そんなに時間もかからんだろう。そして背後から敵の戦闘力を削ぎ、最後にはアーク達と共に敵軍の将を挟撃し撃破する。』

『…私はなにをすれば?』


リリスが自分の役割を聞く。


『…お前は戦えるのか?それと種族は?』

『…どの程度と言う事ですか?それとも魔族を相手にと言う事ですか?それと種族はサキュバスです。』

『両方だ。』

『…そうですね…。強さはどのくらいかは分かりませんが…まぁ、その辺にいる魔族の一般兵よりかはマシといった程度でしょうか…それと同族を相手に戦う事はなんら問題ありません。今の魔族の体制が嫌で逃げて来たのですからね…。』

『…ならばお前は…遊撃、偵察、伝令、全てをこなしてくれ。サキュバスと言うからには空を飛べるのだろう?』

『はい。』


返事をするとともに人間形態から魔族本来の姿になるリリス。


『…うむ。その翼で空をかけ、戦場を高度から見渡し、敵に押されている所には援軍として駆けつけてくれ。もし、自分の手に負えないのが相手ならば直ぐに儂に報告に来てくれ。その時は儂がその者を倒す。また、全てがうまくいき、どこも押されている所が無い時でも定期的に儂の所に戦況を報告に来てくれ。戦況は知りたいからな。』

『了解しました。』


各々、うなずく。


『…ところで…失礼ながら陛下はどのくらい強いのですか?』


リリスがミドの機嫌を伺うように尋ねる。


『…どのくらいだと思う?』


不機嫌になるかと思われたミドだが、おどけたような表情を見せリリスに尋ね返す。おそらく、最愛の孫娘と同い年位にリリスが見えるからであろう。


『見当がつきません。』

『パパはこのエルグランドで1番強いのよ。』

『1番ですか⁉️』


リリスの返答に答える形でエルが答え、その言葉に驚くリリス。


『驚いたか?』


イタズラが成功したかのように無邪気な笑顔を見せるミド。


『はい。それならば、きっとこの作戦はうまくいくでしょう。』


リリスも言葉はかたいが、歳相応に見える無邪気な笑顔を見せる。


『…では、これで作戦会議は終了とする。各自、持ち場についてくれ。』

『了解しました。』


3人が気持ちの良い返事をし、その場をあとにする。


『あ~……アークよ…。』


持ち場に着こうとその場から歩き始めた途端、ミドに呼び止められる。


『はい?なんでしょう?』

『あ~…う~…儂に認めて欲しければ……まぁ、よい。役割をしっかりと果たせよ。』

『はい‼️』

『…それと…死ぬなよ。お前が死ぬのは一向に構わないが…死んだらエルとマオちゃんが悲しむからな…』

『はい‼️』


ミドがアークの返事を聞き、コクりと頷く。アークもそれを見て、コクりと頷く。その目にはヤル気が満ちている。


『では、各自持ち場に着け‼️』


ミドの号令を受け、3人が足早に持ち場に向かう。










少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。

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