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~正体~

少しルビがおかしい所がありますが、そのまま気にせず読んでください。

そもそも、魔王マオがアムドに正体を明かさなかったのにはいくつかの理由がある。

1つは、会ってからまだ時間が経っていないこと。ソードナーとの戦闘中に会ったので正体を告げる余裕がなかった。これはどちらかといえば魔王マオの都合による物ではない。

もう1つはリリスの言葉が気になっていたからだ。魔界に行く前にリリスから忠告され、実際にアムドに会った時に走った悪寒。これはおそらく、マオの魂とも言える部分が拒絶したのだと魔王は考えた。これは魔王の都合ではなくマオの都合。

最後に、これが1番の理由なのだが…果たして打ち明けた所でその秘密を守れるのかと言うところにある。リリスは信用ができ、同じような境遇だったからお互いの秘密を担保に出来ると思ったから打ち明けた。だが、アムドは転生前に部下だった時に比べ、少し信用が落ちた。これはマオの姿で会ったからなのかも知れないが少し軽薄な感じがした。何かの拍子ひょうしでポロッと言ってしまいそうな感じがする。言っても問題がない相手ならまだいいがマオの両親、アークとエルや、エルグランド王でマオの祖父のミドら、マオの血縁者、近い者達に言われたら非常に不味い事になる。特にアークとエル、マオの両親にバレた時の事は考えたくも無いし、もし自分の愛娘まなむすめが昔、自分達が殺した相手、人類の敵である魔族の王が転生した姿だと知ってしまったら…その心情は言葉では表せないであろう事は容易に想像出来る。

以上の事が魔王が正体を明かす事を躊躇ためらった理由なのだが…。


『…そ、そんなに怒ってどうしたの?』


怒るマオの迫力に圧倒されるアムド。


「どうもこうもないわっ~‼️儂の…儂の大事なコレクションを~っ‼️」


怒りのあまり口調が魔王になるマオ。身体がプルプルと震えている。怒りでマオを演じる事を忘れているようだ。


『え、儂?コレクション?どういう事?』


アムドが驚いたような、なんとも言えない顔をしている。


「儂が…儂が長年大事にしていた秘蔵の酒を…色んな思い出が詰まった酒を…それを…それを…」


『え?酒?』


驚いたような、キョトンとしたような顔を続けるアムド。


「そうだ‼️この棚に飾っておいた数々のコレクションを…」


棚を指差すマオ。


『それは…先代魔王様の…。』


アムドはしどろもどろになりながらゴニョゴニョ何か言っている。


(…そろそろバラすか…。)


「アムドよ…お前に聞きたい事がある。」

『……。』

「…この誰も知らない秘密の部屋…先代魔王とお前しか知らない秘密の部屋…その部屋のあるじ、先代魔王が集めた数々のコレクション。」

『……。』

「それが見るも無残に変わり果てて、怒り狂っている儂…。その儂の正体はいったいなんだと思う?」


全てを察したのか黙って話を聞くアムド。都合が悪いから黙っているだけかも知れないが…。


「答えろ‼️アムド‼️」


マオの怒声が響く。途端に、畏縮させていた身体をビクつかせるアムド。


『…まさか…魔王様?』


アムドの予想通りの答えに顔をニヤつかせるマオ。そして満面の笑みで告げる。


「そのまさかだよ‼️」


マオの怒声にも似た声が響き渡る。その声に驚いたのか正体に驚いたのかはわからないが腰を抜かし、その場に座りこむアムド。


『ほ、本当に?本当に魔王様?』

「何だったらお前の恥ずかしい事の1つや2つ、聞かせてやろうか?」

『いえ、結構です。信じます。』

(…あっさり信じてくれたな…。バカだからか?)


疑問に思い、アムドに問いかける。


「やけにあっさり信じたな?なぜだ?」

『まぁ、理由は色々ありますけど…1番の理由は感じた魔力ですかね?』

「魔力?」

『えぇ、魔力砲を放った時に感じた魔力が…妙に懐かしいと言うか…魔王様そっくりだったんで…そもそもあの出力で魔力を放てるかたを私は魔王様以外に知りませんしね…。』

「懐かしいねぇ…。」

『えぇ、まるで肉親にでも久しぶりにあったような…。』

「…昔も、今もお前の親だった覚えは無いんだが…。」

『何をおっしゃいますか‼️』


マオの言葉を聞き、急に声を張り上げるアムド。


『我々、ソードナーや私、剣や鎧、物などが所有者の魔力にあてられて意思を持ち、化身けしんした魔族の者達にとってはその所有者、魔力の持ち主は言わば親も同然です‼️』

「そうなのか…?まぁ、言われて見ればそうなのかもな…。」


(…確かに、魔力のお陰で意思を持ち活動出来るようになったのだからな…。)


『そうですとも‼️』


アムドが自信ありげに胸を張る。


「…では、昔からお前は私の事を親と思っていたと?」

『はい‼️魔王様の事は親であり、師であり…とても尊敬しておりました‼️』

「…そうか…。」

(…少なくとも上司としては頼られている感じはしたが…そんな風に思ってくれていたとは…なんだか、嬉しいような…妙な感じだな…。)


魔王が嬉しく思っていると、アムドが続けて喋る。


『…実は…魔王マオ様にお願いがあります。』

「…ん?なんだ?」

『魔王様の事は生前、父としてお慕いしておりました。』

「うん。」

『それがお亡くなりになり、私は言い様のない気持ちになりました。』

「うん。」

(…それで自棄酒やけざけをしていたと…。)

『そして今、姿形すがたかたちは違えど、またお会いする事が出来、このアムド、至上の喜びであります。』

「うん。」

『…抱き締めてもいいですか?』

「なんでだよ‼️」


アムドの唐突な提案に思わずツッコミをいれる。


『…いえ…以前の魔王様は威厳に溢れ、とてもでは無いですが畏れ多くてそのような事は出来ませんでした…。ですが心の中にずっとそのような事に対する憧れがあったのです…。人間達の仲の良い親子のような甘えかた…。私は魔族でありながらそんな事を思っていました…。』


(…物が魔力等を吸収して化身けしんした魔族の性格は、その魔力の持ち主、所有者の性格に影響をうけると言うからな…アムドが魔族には珍しく争いを好まない性格なのは…儂の影響か…)


『…ですから、1度でいいんです‼️抱き締めさせてください‼️私はもうあのときのような気持ちを味わいたく無いのです‼️』


真剣な顔で訴えかけるように懇願するアムド。


(…よこしまな気持ちは…ないか?)


アムドの顔を見る。真剣な顔をしている。その目には力が宿り、妙な凄味がある。


「…いいだろう…。」


マオが両手を広げる。それを見て、アムドが笑顔になる。


『いいんですか?』

「あぁ…お前も儂がいない間、頑張っていたようだしな…それにそこまで慕われているのなら無下むげにも出来んしな…」


アムドが立ちあがり、マオに近づく。アムドを両手で迎える為、さらに幅をひろげるマオ。


「…さぁ、来い‼️儂の気が変わらないうちに…」

『…では……パパ~ッ‼️あ‼️今は違う‼️ママ~ッ‼️』


アムドが邪悪な笑顔を浮かべ、マオの胸目掛け飛び込んでくる。


(…あ‼️ダメだコイツ‼️)


邪悪な笑顔を浮かべるアムドをすんでの所でかわすマオ。空振りに終わったアムドが膝を着く形で着地する。


『なんで避けるんですか‼️』


片膝をつきながらマオの方に振り返り、文句を垂れるアムド。


「なんでもくそもあるか‼️…お前の笑顔からはよこしまな気配を感じた…。」

『そりゃ魔族ですもん‼️邪悪な気配位ありますよ‼️』


立ちあがり、マオの方に向き直るアムド。


「邪悪の方がまだいいわ‼️イヤらしいだよ‼️お前の笑顔‼️」

『…そ、そんな…』

「…お前を抱き締めてやる話は無しだ‼️この身体では危険がある‼️」

『…そ、そんな…私はこの先…何を生き甲斐にすれば…』

「そんなものは知らん‼️…そろそろアルも気がつくだろう…。戻るぞ‼️」


きびすを返し、部屋を出ていくマオ。ゆっくりと立ち上がるアムド。


(…先ほどはつい欲望に負けてしまいましたが…また、お会い出来て嬉しいです魔王様…。)


『待ってください‼️マオ様‼️』


マオの後をあわてて追いかけるアムド。


(…それと、先ほどの…あなた様を父親と思っていたという気持ちには嘘はございません…。)


マオに追い付くアムド。その顔はニヤけている。


「なんだ?ニヤけて気持ち悪い。」


冷たくいい放つマオ。


『いえ…なんでもごさいません。魔王マオ様、またよろしくお願いしますね。』

「…あぁ。」


ぶっきらぼうにいい放つマオに人懐こい笑顔を浮かべるアムド。

2人連れだってアルの所に戻る。


(…結局コイツにお仕置きしてないや…まさかコイツ…お仕置きを有耶無耶うやむやにするためにワザと?…まさかな…。まぁ、いいか。)
















お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただけたなら幸いです。

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