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~アークとリリス~

家に入るとアークが待ち構えていた。

(何かあったのかな?時間的にはそんなに遅くはないし…)

「ただいま。」

『おかえり。心配したよ~。』

「え、なんで?」

『マオは可愛いからナンパされてないか心配で…パパ、何にも手につかなかったよ~大丈夫だった?』

(…相変わらず親バカだな…てか、コンテストの準備は?)

「なんにもなかったよ。大丈夫だよ。」

(…まぁ、特に何もなかったからな…)

『それならよかった。もう少しでご飯になるそうだからね。』

「はーい。」

自室に入り、今後の事を考える。

(…とりあえずはリリスを仲間にして…そのあとどうする?情報収集したくてもこの村じゃ限りがある…かといってこの村から出るのはアークのあの様子じゃおそらく無理だろう…。)

(…とりあえずはコンテストに人が集まるのに期待してそいつらから情報が得られるのに期待するか…。まぁ村長の思い違いで戦争なんぞおこらなければいいが…)

(…まぁリリスは元魔王ということを明かせば仲間になるだろ…てか、今日来るよな?まぁ来なかったら諦めるか…その場合1人で行動しなきゃならないけど…やはりネックになるのはアークとエルか…まぁ、少し行き過ぎてる所もあるが2人とも良い両親だし、あれが普通なんだろうな…)

『マオ~ご飯だよ~。』

「は~い。」

ご飯が出来たようなので部屋を出る。

(今日のご飯はなんだろ?)

マオも配膳の手伝いをして、食事が始まる。今日、あったことや雑談をまじえ、食が進む。

(…やはり良いな…この村、この家族は…まさに、平和の理想像そのものだ…なんとしてでも守りたい。)

食事を終え、片付けを手伝う。片付けが終わり、家族3人で食卓に座り、お茶を飲みながら談笑する。

(…その後村長からなんか聞いてないかアークに聞いてみるか…)

「…ねぇパパ?」

『ん?なぁに、マオ?』

「村長さんが言っていたけど…戦争になるの?」

『…ん~どうだろうな?あれから何も聞いてないからな…』

「そうなんだ…。」

エルは黙って聞いている。

『でもなったとしても心配するな‼ママとマオは絶対に守るから‼』

「うん‼」

『それに戦争なんて、そうそう起きるもんじゃないから‼大丈夫だよ‼』

「よかった。」

(…特に新しい情報はなかったか…まぁアークが言うように戦争なんてそうそう起きるもんじゃないからな…)

「…じゃあ、私は部屋に行くね。なんだか今日は疲れちゃったから早く寝るよ。」

『あぁ、おやすみ、マオ。』

『マオ、ちゃんと歯磨きして寝るのよ。』

「はぁい、ママ。」

ダイニングを出て、自室に向かう。

(…あ、歯磨きしないと…)

きびすを返し、洗面所に向かおうとしたときだった。2人の声を抑えた会話が聞こえてきた。

『…ねぇ、あなた、本当に戦争が起きるの?』

『…あぁ、どうやらそうらしい。』

(…え、起きないんじゃないの?)

『一体何処と?まさか…魔族?』

『いや…そうではないらしい…』

『じゃあ、一体何処と…?』

『どうやら南ブリギッドとらしい…。』

『南ブリギッド‼』

(…南ブリギッドというと…人間同士で争うのか…一体なぜ?同じ種族同士仲良くすればいいのに…)

『じゃあ、あなたも行くの?』

『行かざる負えないだろうな…』

『そんな…。なぜ?なぜ、同じ人間で争わなくてはならないの‼』

『…さぁな…偉い人達の考える事はわからん。魔族の方が落ち着いたから領土の拡大でもするつもりじゃないのか…?元々、南と北、そして中央は1つの大国だったからな。』

『…そうだ‼じゃあ、みんなで逃げましょ‼』

『逃げるったって一体どこに…?』

『…お父様の…エルフの国に‼』

『そんな事をすればエルフ達も戦争に巻き込む事になるかもしれん。それにエルやマオがいる。もしかしたら、お前達が人質にとられるかもしれん。』

『どういうこと?』

『俺は勇者だ。そこらにいるやつよりも強い。剣も使えるし魔法も使える。いわば貴重な戦力だ。もし、俺が争いに参加しないとなると…きっと無理にでも参加させようとして何らかの手段を講じてくるに違いない。』

『そんな…そんなことまでは…』

『いや…欲や権力に狂った人間は時にとても…考えられないような残酷な事をするんだよ…』

(…まぁ儂の場合は人質にはならんがな…返り討ちにしてくれる‼)

『…人間に、人に剣など向けたくないんだがな…私の剣はそんな事のためにあるんじゃないんだがな…』

アークが席を立つ。

(ヤバい‼こっちに来る‼)

逃げるように、気付かれないように自室に向かう。自室に入り、ベッドに倒れこむ。

(…本当に戦争がおこるのか…アークがいうなら間違いないだろ…確かにアークは生前、儂よりも弱かったとは言え、そこらの人間では太刀打ちできないほど強かったからな…それが参加しないとなると人間の軍にとってはかなりの痛手、それどころか、南と中央、どちらに参加するかによって勝敗をけっするぐらいの重要なヤツだからな…参加しないならいっその事どちらにもつかないように亡きものにしようとするぐらいは人間達はするかもしれん…どうしたものか…なぜ人間達は平和を望みながら、みずから平和を乱すような事、争いを起こすのだろう…わからん…。)

ベッドに横になりながら色々と考える。

(…アークは儂やエルの為に剣を振るうのか…今度は魔族ではなく人間に…つらいだろうな…儂だったら出来るのだろうか…守りたいものの為に…できれば使いたくはないな…武力を使ったら最後、あとには引けなくなる。どちらかが再起不能になるまで争いが続くだろうな…だが使わなければ解決できない事もある…しかし使えば解決出来たとしても遺恨いこんが残る…どうしたものか…ジレンマだ…)

色んな考えが頭を駆け巡り、いつの間にか眠りにつく。


~……コンッコンッ……~


窓をノックされたような、何かを叩かれた音で目を覚ます。

(…しまった‼考え事をしてたら寝てしまった‼)


~……コンッコンッ……~


音がする方を見ると窓の外にリリムが立っている。


(…よかった。ちゃんとリリムが来てくれた。)

窓を開ける。

『ちょっと‼呼び出しておいて爆睡してることないじゃない‼』

「‼ちょ、ちょっと声が大きい‼抑えて‼」

(ヤベェ‼超怒ってる。)

今度は声を抑えて話を続ける。

『…さぁ、お望み通り来たわよ。証拠を見せてもらいましょうか。』

(いきなり本題か…まぁその為に呼んだんだから話が早くて助かる。)

「…じゃあ、単刀直入たんとうちょくにゅうに言うけど…私はリリムちゃん、正確にはリリスに会った事があるんだ。」

『どういうこと?私は会った事ないけど…』

「魔界のNo.1CLUBサキュバスでね。まぁその時とは私も姿が違うから、わからなくても無理もないと思うけど…」

『…そんな事…他人の空似かもしれないじゃない‼』

「だから声が大きいって‼」

(なかなか感情的なんだな…もっとクールかと思ってたが…)

「…他人の空似じゃないよ。私が飲みに行った時にリリスが隣の席に着いたんだけど…その時の仕草しぐさ等が今日のリリムちゃんがジュースを飲む姿そっくりだったんだ。その前に魅了チャームを使った魔力も感じたしね。むしろ魅了を使ったのが決定的かな?」

『………。』

(…黙って聞いている感じからすると、もう一押ひとおししか?…よし‼)

「その時に一緒の席についていたのは、魔王の側近アムド、それと魔王、リリスとリリスの同僚。」

『…まさか…』

「…私はその時の1人の生まれかわりだよ。」

『…まさか…アムド?』

「…違う‼」

(…てかアイツ死んだのか?)

「私は魔王だ。」

『そ、そんな…』

「…信じられないのも無理はない。だが本当の事なのだ。」

『…わかりました。私も認めましょう。確かに私はリリスです。』

(…やはりな…)

「死んだときに神にあってな…そこで世の中を平和にするように頼まれてな…魔王をしていた時の記憶と力、全てを引き継いで生まれ変わったのだ。」

『…それで?私に何をさせたいのですか?』

「世の中を平和にするのを手伝って欲しいのだ。協力してくれるか?」

『…条件があります。』

「なんだ?」

『私も今の生活が気にいっています。こんなに穏やかに過ごせたのは生まれて初めてです。だから魔王様を手伝う事はやぶさかではありません。』

「マオでいい。」

『…証を…あなたが魔王様の生まれかわりということを私にしめしてください。私も言葉だけでは信じる訳にはいきません。今は姿、形が元魔王様とは全然違いますしね。』

「…なにをすればいいのだ?」

『魔族には昔から不変ふへんの掟があるはずです。』

「…強い者に従うと言うヤツか…」

『…そうです。』

「ではリリスを倒せばいいのか?」

(…簡単過ぎるが武力は使いたくはないな。)

『そうです。ですが武力では仮にマオちゃんが本当に魔王だった場合、私には万にひとつの可能性もありません。』

「そうだな。」

『そこで…美少女コンテストがあります。私にもサキュバスとしての矜恃きょうじがありますので、もし、そこでマオちゃんが私をおさえ、見事、美少女の栄冠に輝く事が出来たのなら素直に従いましょう。』

「…わかった。」

『言わば、これは私とマオちゃんの魅力勝負です。サキュバスとして負ける訳にはいきません。本気で行かしていただきます‼』

「いいだろう…。だが、1つ聞きたい。」

『なんですか?』

「仮に私やリリス以外の出場者が勝ってしまった場合はどうする?」

「その場合もマオちゃんに従いましょう。サキュバスの名にかけて、美しさを競ったり、男をとす、といったようなことで負ける訳には、負けるはずがないですからね。」

(…たいした自信だな…さすがサキュバス。)

「わかった。」

『…では、このへんで…コンテスト楽しみにしてますよ…』

リリスが妖艶ようえんな、不敵な笑みを浮かべ去って行く。

(…ふぅ、一応、リリスに有利な勝負だが…まぁ勝てるだろ。儂の可愛さに敵うもの等何もないからな…)

ベッドに横たわる。

(…それにリリスは1つ重要な事を忘れているからな…まぁ、もしリリスが気付いているんだったら儂が負けるかもしれんが…)

(…そろそろ寝るか…でも何か忘れているような…)

「‼あっ‼」

(…儂が倒れたあと魔界やアムドがどうなったか聞くの忘れてた…。)

(…まぁいいか、次に聞けば。今日はもう寝よ。なんだか疲れた…。)

平和の事、戦争の事、家族の事、仲間の事、色んな事を考えながら眠りにつく。

~用語解説~

南ブリギッド~ 中央ブリギッドからみて南に位置する国。元は中央、南、北で1つの大国だった。


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