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~魔王城での攻防~

約1ヶ月振りの更新です。少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。

魔王を説得するため、倒すために歩みを進め、ついに魔王の居城へと着く2人。普通ならここ、魔王城に着くまでには何度も魔王の配下の魔族や魔物と戦い、ようやく着ける所なのだが、道中なにもなく、黙々もくもくと歩き続けただけで着く。

(…おぉ、ようやく着いた…懐かしの我が城に…)

マオが魔王城をまじまじと見つめる。なにか感慨深い物があるのだろう。その様子をそばで見ていたアルが勘違いをしたのか話しかける。

『マオ様…緊張しているのですか?』

「う~ん…。ちょっとね。」

『大丈夫ですよ‼️私とマオ様なら魔王ごとき楽勝です‼️』

(…元気づけようとしているのか?…それにしてもこのあいだまで反対していた奴の言葉とは思えんな…楽勝って…)

笑顔で元気づけようとするアルに愛想笑いをするマオ。

(…それにしても…誰にも遭遇しなかったな…城の警備もいないようだし…あのソードナーバカ本当に全員出撃させたのか?…いくらバカとはいえ城の警備まで出撃させたらダメだろ…それとも自分は強いから大丈夫という自信の現れか?…なんにせよ罠という事もあるかもしれん…気を付けねば…。)

魔族の本拠地という事もあってか、緊張感をもちながら城内へと歩みを進める2人。外観、城内ともにマオが魔王として、君臨していた時と変わりはないようだ。

『…それにしても…本当に魔族が1人もいませんね…。』

人気ひとけがなく、がらんどうとしている魔王城にアルの声が響く。

「…そうだね。」

声が予想以上に響くため、2人とも小声で話す。

『…私は来たことは無いのですが…マオ様はアークさんからなにかうかがってはないのですか?』

「…なにを?」

『…魔王城の様子とか…?』

(…まぁ、話を聞かなくてもわかるしな…昔はそれなりに賑やかだったし…侵入者よけの罠も沢山あったんだが…。まぁ、ここは適当に誤魔化すか…)

「…う~ん…昔の冒険譚ぼうけんたんなら何度も聞いたけど…魔王城の様子まではあんまり聞いた事がないかな?」

『…そうなんですね…。』

「…まぁ、何があるかわからないから気をつけて行こう。」

『…はい。』

城内に2人の足音だけが響く。

(…おかしい…あまりにもなにも無さすぎる…魔族の1人も会わないなんて…儂の時は侵入者なんて聞いたらお祭り騒ぎだったのに…)

その時だった。

『ようこそ‼️魔王城へ…。』

何処からともなく声が響きわたる。途端に身構える2人。

『誰だ‼️何処にいる‼️姿を見せろ‼️』

アルの声が響きわたる。すると長く続く回廊の奥からすうっと影が現れる。

『…お初にお目にかかる…我が名はコダチ。魔族四天王の1人にして魔王様の懐刀ふところがたなお見知りおきを…。』

(…四天王‼️…そんなのいるの?…儂の時はいなかったのに…)

コダチがペコリと頭を下げ、挨拶をする。

(…なんにせよ最初が肝心だからなめられないようにしないと…)

「初めまして、コダチさん。私の名前はマオです。あなた方の先代魔王を倒した勇者の娘にして、エルグランド王の孫です。よろしくね。」

(…どうだ‼️この挨拶は‼️魔族を軽く挑発するような、それでいて自分の強さをアピールするような挨拶は‼️)

マオがペコリと頭を下げる。

『………。』

黙りこむコダチ。

『完璧な挨拶です。マオ様。』

微笑むアル。

「…それでコダチさん。何の用ですか?」

マオがとぼけた感じで尋ねる。

(…まぁ、用なんて1つしかないと思うが…)

『そうですね…。お二人共、魔王城は初めてだと思いまして…案内をしようかと思い、駆けつけた次第です。』

「案内は大丈夫です。間に合ってます。」

ペコリと頭を下げ、丁重に断る。

『そうですか…残念です。変わりと言ってはなんですが…もっと良い所にご案内いたしましょう。』

コダチが飛びかかって来るような素振そぶりを見せる。それを見て、即座にメイド服のスカートの中に隠してある大振りのナイフに手をかけるアル。見た目はナイフというよりもククリ刀だ。

(…来るか?)

「あら、ここより良い所なんて…いったいどこですか?」

マオがなおも挑発するような笑顔で、とぼけた返事をする。

『…もちろん、あの世ですよ‼️』

そう発した次の瞬間、コダチが飛びかかって来る。

(…速い‼️…だが…)


~…ガキンッ‼️…~


アルがマオの前に立ち塞がり、2本の大振りのナイフで攻撃を受け止める。

『マオ様には指1本触れさせない‼️』

アルがりんとした態度で宣言する。

『なかなかヤルようですね…。』

コダチが不敵な笑みを浮かべる。

(…コイツもなかなかヤルようだが…先ほどの動きを見てわかる…コイツはアルより弱い‼️。)

「アル、ありがとう。」

満面の笑みで御礼を述べるマオ。

『いえ、大したことではありません。』

コダチの攻撃を受け止めながら、アルがマオの方に余所見よそみをしながら答える。

(…余所見をする暇もあるのか…余裕だな…。)

『余所見をするとは随分と余裕ですね…。』

かんに触ったのか、コダチが苛立ちはじめる。

『では‼️これならどうですか⁉️』

コダチの猛攻が始まる。その鋭い爪で、太くしなやかに伸びた腕で次々に攻撃が繰り出される。が、その全てがアルの手によって打ち払われている。

『魔王軍四天王と言えどもこの程度ですか…。』

いつもの調子でアルが無表情に言い放つ。はたから見ればアルがひどく冷酷な感じで言いはなったように見える。

『くっ‼️』

コダチが後ろに飛びのき、体勢を整える。

(…アルが強すぎるわけではないよな…?…コイツが弱すぎるんだよな?…まるでアルが稽古をつけてやってるみたいだな…)

『もう終わりですか?』

アルが無表情に言い放つ。

(…この調子なら儂だけ先に行っても大丈夫かな?アルがいると色々と面倒がありそうだし…)

「ねぇ、アル?」

『はい?』

「私だけ先に行ってもいいかな?」

『ダメです‼️コイツがいくら弱いと言えども、この先に待ち構えているのは魔王です‼️何があるかわかりません‼️』

「でも…私、暇だし…。」

『では、すぐにコイツを倒します。しばらくお待ちください。』

(…コダチさん…可哀想に…コイツ呼ばわりのうえに弱いと連呼されて…。)

1人だけ蚊帳の外だったコダチがくちを開く。

『馬鹿にするなぁ~‼️』

(…おぉ‼️ついにキレた。)

『さっきから黙って聞いていれば馬鹿にしやがって…。』

『ですが、本当の事ですから。』

アルが無表情に言い放つ。

『…確かに私は四天王の中では最弱…。そこは認めましょう…。』

(…そこは認めるんだ…。)

少しだけ冷静になったコダチが語りだす。

『ここで、あなた方に質問があります。』

『なんですか?』

『四天王と言うからには私の他にあと3人いるのですが…その3人はいったい何処にいると思いますか?』

(…何処って…ソードナー守ってるんじゃないの?)

『さぁ?』

アルは興味が無さそうだ。

『…あなた方、エルフの国に魔族の軍勢が押し寄せていると思いますが…』

(…まさか…。)

『その軍勢を率いているのが私よりも強い四天王の3人です‼️』

コダチが誇らしげな顔をする。

(…コイツより強いのが3人…どの程度強いのかわからないが…マズイ…。)

驚くマオとは対照的にアルはいつもと変わらない。

『どうですか?驚きましたか?』

コダチが挑発するような顔でアルに尋ねる。

『…えぇ。』

アルのその言葉を聞き、コダチがニヤリとし、高笑いする。

『…フフフフフ…ハハハハハッ‼️』

コダチの笑い声が辺りに響く。

『今頃、あなた方の国は滅んでいるかもしれませんね…。』

ニヤニヤとにやけながらコダチがうそぶく。どうやらアルを挑発しているようだ。

(…滅ぶまではいかないと思うが…マズイ状況になっているかもしれん…。)

マオが不安げな顔をする。その心境を察知してかアルがマオに語りかける。

『マオ様。ご安心ください。おそらく滅んでいるのは魔族のほうですから。』

その言葉を聞き、コダチが真顔になる。

『なにを言い出すかと思えば…この後に及んでもまだそんな事をいうのですか?いったいなにを根拠に?』

コダチの言葉にアルがやれやれといった表情で反論する。

『では、質問を質問で返して申し訳ないのですが…あなた方、魔族はなにをもってその戦力で我が国を落とせると思ったのですか?』

『なにを聞くかと思えば…少し考えればわかると思うのですが…』

コダチが鼻でわらう。

浅学非才せんがくひさいで申し訳ございません。』

アルがへりくだり、ペコリと頭を下げる。

(…流石はアル。安い挑発には乗らないな。)

『いいでしょう‼️物を知らないあなた方に教えてあげましょう‼️』

コダチが得意げに喋りだす。

(…コダチはコダチで馬鹿だな…小物臭が凄い…)

『我々魔族は世界最強の種族です。その世界最強の魔族の中でも精鋭、魔王様をのぞく上位3人が指揮する部隊が進行しているのです‼️落ちない国があるわけないでしょう‼️』

胸を張り、得意気に宣言するコダチ。

『なるほど…とても勉強になりました。ありがとうございます。』

アルがペコリと頭を下げる。

『御礼に、浅学ではございますが、少しばかり知識を披露したいと思います。』

『なんだ?』

『我々エルグランドは、今まで魔族をはじめ、あまり他種族と交流をしていませんでした。そのため、人間達の一部の国や地域を除き、エルグランドはどんな戦力を擁していて、どんな戦いをするのか知られていません。』

『それで?』

『…今まで大きな争いもせず、他種族達の戦争にも参加せず、あくまで中立の立場をとって来ました。』

(…まぁ、儂が魔王だった時もそうだったしな…アークとエルがなかば駆け落ちしたのもその辺の政治的な事が関係してるんだろうな…)

『戦いにおいてはあくまでも専守防衛せんしゅぼうえい。私達から攻撃する事は絶対にしませんでした。そのためか、他種族、特に魔族は、我々エルグランドを、エルフを弱いと勘違いしています。』

『勘違い?勘違いではないだろう。』

コダチがにやけながら否定する。

『…それは昔の話です。昔は人間達にもイジメられる位弱かった…。でも、ある時1人のエルフがその状況を打破しようと、鍛練を始めたのです。毎日、毎日。すると、元々の種族的な能力の高さもあってかメキメキと腕をあげていきました。』

『それで?それがなんだと言うのだ?少しばかり腕をあげたからといって我々魔族に勝てるわけがないだろう‼️』

声を張り上げるコダチを無視し、冷静に話を続けるアル。

『…やがてそのエルフはそのちからをもって国をおこしました。仲間を、力無き他種族を守るため。そして、その姿に感銘を受けた者達にも、その思想や行動が広まり、今では国中の人々が毎日、鍛練をしています。』

『無駄な事を‼️』

コダチが吐き捨てる。

『はたしてそうでしょうか?現に貴方は私よりも確実に弱い。』

『だからそれがどうした‼️確かに私はお前よりも弱いかも知れん‼️だからといって最強の種族の魔族に勝てるわけがないだろう‼️』

『そう。そこです。そのおごりこそが貴方が、あなた方魔族が負ける敗因です。恵まれた身体からだ、能力にかまけて日々努力を怠った。対して私達は常に上を目指し、鍛練をした。1年、2年なら対して力の差も開かないでしょう。だがそれが数百年単位ならどうでしょうね?幸か不幸かエルフと魔族は共に長命。いったいどれ程差が無くなり、広がっているのでしょうね?』

コダチを挑発するかのように喋るアル。

(…そういえば…儂も驕っていたわけではないが…あまり身体は動かさなかったな…)

『エルフ風情ふぜいが言わせておけば…我々魔族は世界最強なのだ‼️身の程を知れ‼️』

激昂したコダチがアルめがけ一足飛びで襲いかかって来る。


…~ガキンッ‼️~…


それを涼しげな顔で受け止めるアル。

『メイドの土産に教えてあげましょう。』

(…これはメイドと冥土を掛けたギャグなのか?)

『貴方は四天王最弱…対して私はエルグランドに置いてどのくらいの強さだと思いますか?』

『知るか‼️そんなもの‼️』

渾身の一撃を防がれ、鍔迫り合いを続けながらコダチが吐き捨てる。

『…そうですね…本気を出しても五指に入るかどうか…くらいでしょうか?』

『何⁉️』

『そして断トツの1位…他の4人が束になってもかなわないのが我らが王、ミド王です。』

『何だと⁉️』

(…えっ‼️ほんとに‼️…あのじいさん…そんなに強いの?)

『良い土産が出来ましたね。では、ごきげんよう。』

鍔迫り合いを続けていた手を止め、後ろにピョンと後退するアル。メイド服の端を軽く持ちあげ、会釈する。次の瞬間、アルの姿が消える。

『グァァァッ‼️』

断末魔をあげ、身体からだから血を噴き出すコダチ。消えたと思ったアルは何時の間にかコダチの背後に立っている。どうやら目にも止まらぬ速さでコダチの脇を駆け抜け、その時にコダチを切りつけたようだ。

(…アルつえぇ…儂にも動きがわからんかった…)

アルがマオの方を向き笑顔で告げる。

『では、マオ様。魔王の所に参りましょうか。』

(…笑顔が怖い…)


四天王最弱のコダチを倒し、いよいよ魔王ソードナーの元へと向かう。


(…あんまりアルを怒らせないようにしよ…)


一方その頃、エルグランドでは魔王軍とエルグランド軍が睨みあっていた。













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