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~魔界突入~

野を越え山を越え、魔界へと歩みを進める2人。道中、魔族の襲撃に遭遇するかとも思われたが、そんなことも特になく、黙々と歩みを進める。

(…そろそろ魔界に着くころだと思うが…魔族もだけど…魔物もいないな…ソードナーの奴、本当にエルグランドに皆連れてったのか?もし、そうだとしたら…ソードナーの奴かなり本気だな…マズイな…)

『マオ様、そろそろ魔界に入りますが…その後はどうするのですか?』

アルが今後の予定を尋ねてくる。

(…アルには一応言っておくか…まぁ元魔王って事以外大丈夫だろ…。)

「魔界に入ったら魔王城に向かうよ。」

『魔王城…マオ様…まさか…。』

「そのまさかだよ。魔王に会いに行きます。」

その言葉を聞いた途端、アルの表情がいつにもまして険しくなる。

『なりません‼️魔王に会うなんて…わたくしは王様、お祖父様やエル様からマオ様の事を任されているのです。そんな危険な事は承服しょうふくしかねます‼️』

(…まぁ、そうだよな…コイツからは逃げられないし…さて、どうしたものか…)

思案するマオ。先ほどとは違い、いつもの調子で話しかけてくるアル。

『…1つお聞きしたいのですが…マオ様は何故、魔王に会いたいのですか?』

「…アルには正直に言うけど…。魔王とはなしがしたいんだ。」

はなし?ですか?』

不思議そうに首を傾げるアル。

「そう。話。みんなと仲良くしてねってね…。」

(…ちょっと子供っぽく言いすぎたか?)

はにかみながらマオが言う。すると、アルの表情が少し弛む。

『そうなんですか…。マオ様は優しいんですね。流石はエルフの至宝しほうとまで言われた王妃様の孫娘です。』

(…まだ見たことないけど…王妃はそんな事言われてたのか…)

だが、アルの優しい表情がまた、険しくなる。

『ですが…、それはそれ。これはこれ。確かに、それが出来ればどんなに良いことか…でも、危険過ぎます。マオ様に何かあっては私はお祖父様やエル様に会わせる顔がありません。どうか、聞き分けてください。』

険しい表情をしながらも、口調は優しく、さとすように喋るアル。

(…言ってる事はわかるし…儂も同じ立場ならそう言うと思う…だが、ソードナーの奴が本気で動いた以上最早もはやそんな事言ってられないからな…儂がやらねば…。)

「…もう、そんな事も言ってられないんだよ…。」

少し口調を強めるマオ。それに対していつもとは違う雰囲気を察知し狼狽うろたえる素振りを見せるアル。

『マ、マオ様?』

「もう、そんな事言ってられないんだよ‼️こうして話をしているあいだにも魔族は…魔王は色んな所に侵攻してるんだよ‼️」

『…マオ様。』

「それに早くしないとじぃじが…エルグランドの皆が…」

『………。』

黙りこむアル。

(…実際問題早く片付けないと…もし、エルグランドがやられたら…次は人間達…そうなれば赤子の手を捻るより簡単だからな…まぁ、こうなったのも儂の落ち度…)

『…マオ様は…魔王と話をするとおっしゃいましたが…話が通じる相手と思いますか?』

(…まぁ、話が通じる相手ではないよな…そもそも話が出来るならこんな事になってないと思うしな…。)

「…そんな事は思ってないよ…話が通じるなら、あらそいにも発展してないと思うしね…。」

『では、どうするのですか?』

「話し合いが出来ないのであれば…悲しいけど倒すしかないよね…」

その言葉を聞いた途端、アルの表情が今まで見たこともないほど険しくなる。

『そんな事が出来ると思ってるんですか‼️我儘わがまま大概たいがいに…。』

「出来るよ‼️」

アルが喋っている途中だが、それに被せるようにマオが大声で反論する。

(…アルがこんなに感情をあらわにするのは初めてだな…それだけ儂の事、マオの事が大事なんだろう…だが…。)

『出来ません‼️魔王と言うのは魔族の中でも特別、一番強い者がなるのです‼️この広い世界で数多く存在する種族の中でも、一番強い魔族の中において、さらに特別に一番強い者がなるのです‼️それをマオ様のような、か弱い少女が倒すなんて…出来るはずがありません‼️』

(…普通ならそう思うよな。仕方がない…正体がバレる危険もあるが…少しちからを見せるか…)

「私は、弱くない‼️私にはそれだけの力がある‼️」

『まだ言いますか‼️……良いでしょう。では、それが出来るというだけの力を証明してください‼️私に見せてください‼️』

「…わかった。」

そう言うとマオが魔力を高め始める。

「…はぁぁぁ‼️」

『…まったく‼️勇者ゴッコもたいがいに…』

見る見るうちに高まる魔力を見て絶句するアル。

『…な、なんという…』

「まだまだぁ‼️」

更に力を高めるマオ。

(…今の時点でだいたい6割位の力か?)

『分かりました‼️もう、結構です‼️』

アルの叫ぶような声とともに魔力を高めるのをやめるマオ。

(…納得してくれたか?)

「どう?納得してくれた?」

微笑みながらアルに尋ねる。

『…はい。マオ様にはそれが出来るだけの力があると思います。』

「よかった。」

満面の笑みを見せるマオ。だが、アルは怪訝けげんな顔をしている。

『…ですが…1つだけ納得が出来ない事があります。』

「なに?」

(…なんだ?まだなにかあるのか?)

『マオ様は一体どこでそれだけのちからを?わたくしはおろか、お祖父様やエル様を越え、魔王すら倒せるかもしれない力を一体どこで…』

(…そうだよな…今まで普通の女の子として過ごして来たしな…それにいくら血筋が良いと言ってもそれだけでは説明出来ないもんな…どうしたもんか…)

黙りこみ、眉間にシワを寄せて考えこむマオ。

(…うーん。なにか良い言い訳はないもんか…元魔王という事だけは絶対にバレてはマズイしな…う~む…。)

考えこむマオを見て、アルがなにかをひらめく。

『ハッ‼️もしや…マオ様は…』

「ん?なになに?」

『マオ様はもしかしたら…王妃様の血を色濃く受け継いでいるのでは?』

「王妃?あぁ、おばあちゃん?」

『そうです。』

「どういう事?」

『マオ様はまだお会いになった事はないと思いますが…王妃様はそれはそれは不思議な力を持っておられたのです。』

「そうなんだ。」

『えぇ、マオ様が産まれてすぐくらいにどこかに行ってしまわれたのですが…王妃様はその不思議な力と美貌びぼうによってエルフの至宝とまで言われた方なのです。』

(…ずいぶんと凄い婆さんなんだな…。それにしてもこのマオはなかなかに凄い血筋なんだな…勇者にエルフの至宝…。)

『そうですね…王妃様の血を濃くひいているとなれば、なんら不思議ではないですね。』

アルが微笑む。

(…おぉ、あんまり見たことがないけど…アルが微笑んだ。これは納得出来たという事か?)

「おばあちゃんか…会ってみたいな…。」

『そのうちに会えますよ。』

「そうだね。ここでマオが活躍すれば、きっと何処かにいるおばあちゃんにも届くよね?」

『そうですね。』

2人で顔を見合せ微笑む。

「じゃあ、行こっか?」

『はい。不肖ながらわたくし、誠心誠意、粉骨砕身にてマオ様をお助けします。』

(…これは心強い…ちなみにアルはどの位強いのかな?)

「よろしくね。ちなみにアルはどの位強いの?」

『はい‼️私はエルグランドにおいて五指ごしに数えられてます。』

(…おぉ、マジか…)

「ちなみに1番は?」

『………。』

何故か黙るアル。

「え、なんで黙るの?」

『失礼しました。1番はマオ様のお祖父様、エルグランド王でございます。』

(…おぉ、あの爺さんそんなに強いんか…)

「じぃじ、以外に凄いんだね。」

『えぇ、以外に…』

こうしてマオとアルは魔王城に向け、歩みを進めるのだった…。


一方その頃、魔王城では先ほどマオが見せた魔力の高まりを感知していた。

『魔王様~、ソードナー様~‼️』

部下が慌ててソードナーの元へと駆け寄る。

「なんだ騒々しい‼️」

『魔王城近郊にて魔力の高まりを感知したとの事‼️』

玉座にドッシリと座りこみ、ソードナーが続ける。

「あぁ、あれか…さっき儂も感じた。」

ソードナーも気付いていたようだ。

『では、いかがいたしますか?』

「捨て置け‼️あれぐらいの魔力の持ち主など、何者であろうと儂の敵ではないわ‼️」

『はっ‼️』

部下がまた駆け足で持ち場に戻る。持ち場に戻って行くのを確認し、ソードナーが独り言を呟く。

『まったく…あれぐらいの事で慌ておって…それにしてもアムドの奴はついぞ見つからんかったな…何処かで野垂れ死んでるか?…エルフどもを攻める前になるべくうれいは絶っておきたかったが…』

呟き終わると大きなタメ息を漏らすソードナー。


その頃、アムドは玉座の裏にある秘密の入り口から続く部屋で呑んだくれたあと爆睡していた。








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