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~鳩と能力~

ほとんど日常回です。お楽しみいただけたら幸いです。

それぞれの目的の為に首都コントラへと向かった3人。道中、道草みちくさもせず順調に進み、やがてリリスの目的地、元々いた孤児院にたどり着く。

「ここまで送っていただき、ありがとうございました。」

リリスがペコリと頭をさげる。

『偶然、目的地が一緒だったからね。気にしないで。』

アークが謙遜けんそんする。

「お二人ふたりはこのあと、どちらまで?」

『…う~ん…。どこなんだろ?とりあえずはお城かな?』

アークがとぼけたような、照れ隠しのような顔をする。

(…心配させまいとして、とぼけているのかしら…?)

「そうですか…お二人とも、どうか気をつけてください。マオちゃんが悲しむような事だけはしないでください。」

『大丈夫だよ。なぁ、エル?』

『えぇ、それよりもリリムちゃんも気をつけてね。戦争は何がおこるかわからないから…。』

「はい‼」

リリスが元気よく返事をする。それを見て二人ともニコリと微笑む。

『じゃあ、俺たちはこれで…。』

「はい。ありがとうございました。」

アーク夫妻が去っていく。それを見送り、孤児院の中へ入る。

(…さて、このあとどうしようかしら…あの二人も助けなゃいけないし…人間観察もしなきゃいけないし…)

『おやおや…おもてに誰かいると思ったらリリムでしたか…。』

声のする方を見ると、1人の老人が立っている。

「院長先生‼お久しぶりです。」

『はい。お久しぶりです。少し、見ない間に随分と大人になりましたね。』

「えぇ‼そんな事ないですよ…。」

リリスが少し恥ずかしそうにする。

『それはそうと…迎えに行けなくて悪かったねぇ…道中、何もなかったかい?』

「はい。ここまで送ってくれた方がいたので…。」

『そうかい‼それは良かった。…ここはある意味、貴方あなたの実家。戦が落ち着くまでゆっくりしていきなさい。もちろん、お手伝いはしてもらいますがね。』

院長はニコリと微笑むとその場を去っていった。

(…院長先生も元気そうでよかった…。)

この院長、なかなかの人物らしく身寄りのない子供達をはじめ、戦で住む家を失った人、ケガや病気で働けない者を保護しているらしい。一応は孤児院ということになってはいるが、老若男女ろうにゃくなんにょに問わず困っている者がいれば、救える、救えないは別にしても手を差しのべた。そんな人物だからか彼をしたいい、うやまう者は貴賎きせんを問わず大勢いた。実際、リリスも初めは院長を警戒していたが今では敬うまでではないが警戒をいている。

(…院長先生に会えたのは嬉しいけど…ちょっと動きづらいわね…)

一先ひとまず、荷物を置き、また外へと出かける。

(…とりあえずは広場に向かって…鳩を捕まえつつ、人間観察か…面倒くさい…)

街の広場へと向かい、辺りを見渡す。お目当ての鳩を見つけるが、近くに人がいる。どうやら餌を貰っているようだ。

(…少しやりにくいわね…まぁ、人間観察も兼ねているから話しかけてみましょうか…)

人に近づき話しかける。

「こんにちはー。」

明るく、元気よく、子供のような感じで話しかける。

『あら、こんにちは。』

話しかけた相手はどうやら老婆のようだ。リリスが続けて質問する。

「おばあちゃん、何してるの?」

老婆が餌やりの手を止める。

『鳩に餌をやっているのよ。お嬢ちゃんもやるかい?』

そう言って老婆が手を差し出す。

(…鳩の餌やりなんて貴重な体験だわ…今までしたことないもの…)

餌を貰い、辺りに撒く。鳩が我先われさきに、と競って餌をついばむ。

(…なんだろう…前は鳩の事なんて鳴き声がキモイ位にしか思ってなかったけど…こうして近くで観察するとなかなか可愛いわね…)

思わずニヤけるリリス。それを見て老婆も笑みがこぼれる。

『楽しいかい?』

「うん。楽しい‼」

その返答を聞き、老婆は満足そうに微笑む。

『それはよかったわ。』

また老婆が手を差し出す。餌を貰い、また辺りに撒く。

(…だんだん変な気持ちになってきたわ…まるで支配者になったような…Sの血が騒ぐわね…)

ニヤニヤするリリスを横目に老婆が手を払う。

『さて…もう餌がなくなったから今日はもうお仕舞いね。お嬢ちゃん、またね。』

そう言うと老婆がゆっくりと去っていく。

(…きっと、あのお婆さんもドSなんだわ…毎日、ここで鳩に餌をやって、優越感というか征服感を味わっているのだわ…人間恐るべし…)

老婆を見送り、お目当ての白い鳩を見つける。鳩達はまだ餌が貰えると思っているのか、辺りには無数にいる。

(…あいつでいいかな…)

1羽の真っ白な鳩に目星をつけ、辺りを見渡す。

(…皆、私の方を見ていないよね…?まぁ、見られててもいいか。普通の人にはわからないし…)

お目当ての鳩を見つめ、眼にちからをこめる。

魅了チャーム‼)

その瞬間、白い鳩の動きがピタッと一瞬止まる。止まったかと思ったら次の瞬間、今度は、おそらく求愛行動だと思われる動きを熱烈にやりだした。どうやら鳩はオスだったらしい。

(…成功したようね…よかった…オスかメスかわからなかったからとりあえずはやってみたけど…)

鳩の求愛行動が激しさをます。

(…こいつの眼には今、私が傾国美女けいこくのびじょに見えている…魔界を離れてから随分ずいぶんたつけど…この優越感…久しぶりだわ…)

鳩の動きがさらに激しさをます。

(…だんだん、ウザくなってきた…てか、久しぶりに能力を使ったのが人間相手じゃ無いなんて…だんだん、悲しくなってきた。)

鳩が壊れたように、何度も同じ動きをする。

(…とりあえずはひとつ…マオちゃんからの指令を達成したわ…あとはふたつ…勇者達を助けつつ、人間観察か…このぶんだと残りの2つも楽勝ね…)

狂ったように求愛行動をする鳩を尻目しりめに、一旦いったん孤児院へと戻る事にする。

(…とりあえずは孤児院に戻って…今度は情報収集も兼ねているから夜に動くか…夜は私の独壇場どくだんじょう…フフフ…)


夜の事を想像し不敵な笑みを浮かべるリリスであった…。







~能力紹介~

魅了 サキュバスが持っている能力。相手を自分の下僕のように操れたりする。異性じゃないと効かない。異性でも耐性があると効かない。性別さえ違えば種族問わず、耐性がないものには効く。

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