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~道中~

日常回です。楽しんでいただけたなら嬉しいです。

目的地コントラへと出発した3人。道中どうちゅう緊迫きんぱくした空気が流れるかと思いきや、そんなこともなく、様相ようそうは仲のよい親子のピクニックとかしていた。

(…こんなに平和な雰囲気でいいのかしら?これからこの2人は戦争に行くのに…いつもこんな感じかしら?)

初めはアーク夫妻ふさいがリリスに気を使い、なごやかな雰囲気にしているのかとも思っていたが……。

(…この2人…多分、これがなんだわ…アークは子供みたいにはしゃいでいるし…エルはエルで、それを見て微笑んでる…昔も…魔王様を討伐しに来たときもこんな感じだったのかしら…だとしたら他のパーティーメンバーが不憫ふびんだわ…)

リリスが不憫に思ったのも無理もない。何故なぜならリリスが、子供がいるからこそまわりからは親子のピクニックに見えるが、子供がいなければカップルがイチャつき、はしゃいでいるだけだ。

(…このバカップルに倒された魔王様…マオちゃんも不憫だわ…)

そんな事を考えていると、アークが話かけてきた。

『リリムちゃん。そんなに心配そうな顔をしないで…。』

どうやらリリスは顔にでるタイプのようだ。おそらく、アークはリリスが考え事をしているのを不安に感じている、と勘違いして話かけてきたのだ。

『こんなくだらないいくさ、俺とエルの2人ですぐに終わらせるからさ‼』

アークが子供のような満面の笑みをうかべる。エルも先程と同じく笑みをうかべている。

『そしたら、また皆で楽しく暮らせるさ‼』

「はい。よろしくお願いします。」

リリスも笑顔で答える。

(…人間同士の争い…そんなに簡単に終わるかしら…それに魔界の事もあるし…マオちゃんはどうなったかしら…?。)

『それはそうと…いつもウチのマオと仲良くしてくれてありがとう。』

アークが日頃の感謝を伝える。

「いえ…そんな…」

リリスが謙遜けんそんする。

『…本当の事を言うとね…ちょっと心配だったんだ…』

アークが不安そうにつぶやく。

(…なにが心配だったのかしら…そんな事言われると…私まで不安になるじゃない…まさか‼私たちの事バレてる?)

『…ウチのマオはなんだか同年代の子供と比べるとオッサン…大人過ぎるような気がして…かと思えば子供過ぎるような事をしてみたり…』

(…マオちゃんはどんな感じで普段過ごしているんだろう…)

疑問に思い、アークに尋ねてみる。

「普段のマオちゃんはどんな感じなんですか?」

『…うーん…まずは朝、起きたら外で体操をしつつ、新聞の朝刊が来るのを待ってる…。』

「…普通じゃないですか?私はしてないですけど…」

『普通なのかなぁ…?俺を含め、村のオッサン達はそんな事してないのに…してるとしたらおじいちゃん達位なのに…』

(…ま、まぁオッサンというよりかはおじいさんね。)

『その後、朝刊を受けとり、エルの朝食作りを手伝う。』

「それは普通ですね。私も手伝いはよくします。」

『朝食後、食器を片付けたら庭に設置してある陽当たりの良いウッドデッキにてコーヒー片手に朝刊を熟読する。』

(…うーん…まぁ、新聞読む子供もいっぱいいるし…)

「…新聞読む子もいっぱいいますよ?私は読まないですけど…」

『まぁね…でもウチのマオの場合…読んでる顔がオッサンくさい…』

「あんなに可愛いのに⁉」

『…まぁ顔というよりは雰囲気かなぁ?眉間にシワを寄せて難しそうな顔をしながら読んでる…。』

「…そ、そうなんですね…。」

(…私のおじいちゃんがそんな感じだったなぁ…)

『…次に昼、昼は毎日お弁当を畑まで届けに来てくれる。そこで一緒にお昼ご飯を食べてから、畑仕事を手伝ってくれるんだけど…』

(…親の仕事を手伝うなんて…マオちゃんはなかなかの働き者なんだなぁ…私なんて昼間はたまに手伝うくらいでゴロゴロしてるだけなのに…)

『…動きが…所作しょさがオッサンくさい…。』

「…例えばどんな感じなんですか?」

『そうだねぇ…座っていて立ち上がる時とかに《どっこいしょ》とか、重いものとかを持ち上げる時とかに《よっこいしょ》とか言うかな…。』

(…うーん…それぐらいは…言わないか…うん。オッサンくさい。)

「そうなんですね…。でも、それはそれで可愛いじゃないですか?」

『可愛いかなぁ?』

アークがリリスに尋ねる。

「可愛いですよ!マオちゃんみたいに可愛い子がオッサンくさい…なんて言うんですかね?ギャップみたいで逆にえるみたいな…」

(…何を言ってるんだろ…?自分でもわからなくなってきた…でも少しでもフォローしておかないと…)

リリスがしどろもどろになりながら、身振り手振りで力説する。

『…これが萌え…。』

「そうです‼これが萌えです‼」

アークが何かに気づいたような、ハッとした顔をする。

『そうだな…うん。やっぱりウチのマオは世界一だ‼』

(…この元勇者…以外にチョロイかも…)

リリスがホッと胸をで下ろす。

(…このチョロさで大丈夫なのかしら…?やっぱり、相方…奥さんが優秀なのかしら…?)

リリスがエルの方をチラ見する。エルは相変わらずニコニコしている。

(…得体えたいが知れないわ…。)

リリスがアーク夫妻の観察にせいを出しつつ、一行は首都を目指す。


一方、その頃…魔界のとある場所。1人…1匹の魔族が酒を飲んでくだを巻いていた。

『魔王さまぁぁ~何故なぜ、勇者なんぞにヤられてしまったのですかぁ~。』

マオの、元魔王の腹心ふくしんアムドだ。

貴方あなたさえ生きていれば…ソードナーのクソ野郎なんぞにデカイ顔なんてさせないのに…』

酒をグイっとあおり、グラスを叩きつけるように置く。

『それもこれも…全部、勇者が悪いんだ‼』

酒をグラスにあふれんばかりにぎ、飲み干す。

『フゥ…リリスも離れていったし…俺は1人ボッチになってしまった…。』

酒をグラスにまた注ぐ。

『魔王様ののこしていった、この魔界銘酒コレクションがなくなった時、俺は1人でもソードナーの野郎に特攻をかける‼』

自分に言い聞かせるように独り言を吐き、また酒を飲み干す。

『…次に生まれ変わるなら…可愛い少女につかえたいなぁ…グフフフフ…』

酒を飲み、独り妄想にフケるアムド…。独りだけの酒宴はまだまだ続く………。


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