表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/191

10万年後の演説の完成

「酷い目にあった……」

 途中から半分以上意識が飛んでいたとはいえ色々されたことだけは覚えている……こんな失態はもうしないと誓おう……死にたくないから……

「それじゃあさっさと内容を決めようか」

「そうですね、あまり時間をかけてもいけませんし」

 ……その何事もありませんでしたよという空気の出し方を教えて欲しい。

「分かったよ……地上が怖いけどその内容までは知らないみたいだからさも見てきたように地獄のような光景を騙れば良いってさ……どう思う?」

「地獄のような……それってやっぱり適当にやれってことになるんじゃないの?」

「具体的な指示ではありませんね」

「そうだよねえ……結局どうすれば良いのかは分からないってことなんだよ」

 ……地獄のようなってそれころ10万年の間で地獄がどんなところかも変わってるかもしれないし……一応地獄についても確認しておこうかな……

「地獄ってどんなところだと思う?」

「そんなの地獄アビスに決まってるでしょ? 何もなくて真っ暗闇の重くて冷たい場所だよ」

「デリさんのところはそうなんですね……えんまのところでは地獄ねのくにと呼ばれていまして永劫の責苦を受けると言われていました」

 やっぱり……暮らしや歴史によって地獄の概念は違うみたいだ……じゃあここの人たちが怖がっている地獄としての地上っていったいどんなものなんだろう……

「……確か変化を嫌うって言ってたような……それじゃあ地上がどれだけ変化があるかを脚色しながら言えば何とかなるのかな……?」

「確かにここはちょっとどころじゃなくて変化はなさそうだね……風もなければ雨も降らないし……太陽の光だって届いてないからコケみたいなものが光ってるし……」

「変化……ですか……それぞれの地獄の風景を混ぜ合わせまして形にすれば良いのではないでしょうか……三倍地獄です」

 三倍地獄……なんかすごそうな名前だなあ……まあやってみるしかないんだけど……

「じゃあやろうか……デリ、燕間」

「うん!!」

「はい!!」

 やっぱり少し照れくさいや……


※※※


『今からやけど大丈夫か? 坊が無理やったら今からでも中止に……はできんから頑張りや?」

 カツランさんに背中を押された……その後ろですごい目で見てるデリと燕間は見なかったことにしよう……これでもやっぱり大勢の前で話すのは緊張するんだ……はあ……

『大丈夫です、やります』

『うん、戻ってきたら甘やかしてやるからなあ……』

 カツランさんは僕を甘やかすことを第一に考えている節がある……なんでだろう……これは本当に心当たりが無い……何か企んでたりして……いや……今は話すことを間違えないように集中だ……

「うわあ……思ってたのの10倍くらいいるなあ……」

 おおきなドームのような形状の中にぎっしりと人がいる……一様に僕のことをじっと見ている……怖いなあ……嫌だなあ……でもやるしかないもんなあ……じゃあやるしかない……うじうじしている暇なんか無駄でしかない……やるかあ……

『皆さんこんにちは』

 皆がびっくりした顔をしている……それもそうだ。僕は少なくともここの人間じゃないから……ここの言葉を話すだなん思っていなかったよね?

『僕は地上から招かれた者です……今日は地上のことを皆さんにお話します……』

 しーんとした空間に僕の声だけが響く……なんかこの場所を支配しているみたいで少し楽しくなってきたなあ……演説をしている人はみんなこんな気持ちなのかなあ……

『地上は非常に危険な場所です、三歩歩けば皆さんの身体は剣林弾雨にさらされることになるでしょう……私の腕を見てください。両腕とも違いますね? これは地上で失った物を無理矢理補った物です……皆さんもこうなりたいと思いますか?』

 みんなの青ざめた顔を見ると脅しの役割は十分に果たしているみたいだ……良かった……たたみかけていこう。

『さらに地上には不変なものは1つとしてありません……空も人もなにもかも一瞬ごとに変わっていきます……めまぐるしく動きそして完全に予測する事は不可能です……瞬きの間に死んでしまうものも居ます……』

 さらに動揺が広がっていく……変化を嫌うっていうのは本当なんだ……ありえないとかそんな場所で生きれるわけがないとか聞こえてきたな……良いね……この調子だ……

『地上は苦しみに満ちています、生きる為に殺し、老いて悶え、病は蔓延し、死に怯える毎日です……此処は良いところですね……安定と永遠を象徴しているようです』

 ここで少しだけ上げておく、少しの緩みは次の緊張の効果を上げるはず……

『地上には安定も永遠もありはしません。暗く……重く……飢えと寒さに震える場所も……捕らえられた人が死ぬことさえ許されず責苦を受け続ける場所も……地上にはあります……そんな所は決して珍しくないのです』

 顔が完全に死んでいる……いい顔だ……この表情をさせることができればもう地上に行きたいだなんて思う人はいないだろう……ちょっと早いけどもう良いかな……これ以上言っても効果はなさそうだし……

『ですから……私はここで言わせて貰います』

 ここで溜める……それで終わりだ……

『此処こそが楽園なのだと……!!』

 良し……完璧に決まった……これで……

『……言いたいことはそれだけかぁ……じゃあ死ねよ嘘つき』

 え? 誰の声……どこから

「かっ……!?」

 衝撃、首、倒れる、熱い、僕は、いったい

「いやあああああああああああああああああ!!?」

「……殺す……どこだ……細切れ……いや……肉片も残さない……」

『坊!? 早く手当てを!?』

 こえがする、だけど、どうして、ぼくは、なにをされたの

『矢なんて誰が!?』

 や? ぼくはいられた? じゃあくびのあつさは……

「げほっ……がはっ……」

 のどにささって……しゃべれない……のか……こま……た……なあ



 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ