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地下の肉塊の悲鳴

『あんなんただの家畜やで? 見た目は悪いかもしれんけど吐くことないやん』

カツランさんが僕の背中をさすってくれている。でも……この吐き気は……そういうことじゃない……グロテスクだからっていうだけで吐いたわけじゃない……聞こえてしまったからなんだ……

『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……誰か助けて……誰か助けて……わたくしは……ただの肉なんかじゃないのに……!!!』

あの肉塊のようなものは明確に意思を持っていた。それが全力で悲鳴をあげていた……わたくしと言っているから自我まであるみたいだ……あの見た目と悲鳴の合わせ技には耐えられなかった……

「う、うええ……」

気分が悪い……僕にあれをどうにかできるとは思えない……あんな状態のものをなんとかできるのなんてそれこそ神様くらいのものだろう。

「何か聞こえているの? 君にだけ聞こえるなにかがあるの?」

「まぼろしさん、話しにくいと思いますが教えてください。えんまが力になります」

どうして2人は分かったんだろう……僕の知らない僕は2人の前でこんな風になったことがあったのか?

「あの……肉が……叫んで……います……痛いって、助けてって……」

吐き気と一緒に涙まで出てきた、それでも言葉にしたことでいくらか楽になったみたいだ……怖いけど……もう一度見てみないと……

「え?」

肉塊の中に何か光る一点があるような……人型の何かが埋まっている……?

『カツランさん……あれはなんなんですか……?』

『ん? あれは肉やで? ずっと昔から居るらしいけどそれ以外のことは分からへんなあ……あれがどうかしたん?』

つまりあの中にいる人は記録も記憶もないくらい昔から今のような状態ってことになる……その間のずっと叫び続けていたんだろうか……届かない叫びをあげ続けていたんだろうか……

『カツランさん……あの肉が無くなると困りますか? 』

『困るかと言われたら、そうやなあ。肥料が減るくらいで別に大したことはないなあ……あの肉は上の人に出す以外は腐り落ちた分を土に入れるくらいにしか使ってないしなあ……他の用途があるかちょっと姐さんに聞いてみんと……このまま終わらすのも癪やし聞いてくるわ。大人しく待っとってなあ』

行ってしまった。。……じゃあ……僕が何かしてしまっても地下の人が困ることはないってことだよね。それならやってみる価値はありそうだ。どうしてかは分からないけどやれることはやっておいた方が良いような気がする。

「……あそこに埋まってる人を引きずり出すのが良いと思うけど……僕には多分できないだろうし……どうしようかな……」

2人に言えば手伝ってくれるのかな……でもそんなことを頼んでもいいのか……僕がお願いしてもいいんだろうか……忘れてしまっているらしい僕が……

「っ……!?」

冷たい感触と固い感触……手を握られている……2人に……?

「君が言うまで待ってるのはもうやめにするよ。自分から行かないと君は溜め込んでしまうから。言って。君が言うことならなんでもしてみせるよ」

「まぼろしさん。一言おっしゃればえんまはどんなことでも成しましょう。けれどそれはまぼろしさんはしない……ですから聞きます。何かお困りですね? なんなりと申し付けてください」

僕は一体この2人になにをしたんだろう……ここまで言ってもらえるほどのことをしたのだろうか……自信はない……それでもこの機会を逃すとあの中の人はもう助からない……それなら……恥を忍んで頼むしかない……

「あの中に人が埋まっています……その人を助けたいんです……でも僕の力ではできません……助けてください」

「うん。いいよ」

「分かりました」

どうしてそんなに嬉しそうなんだろう……何か欲しかったものをようやく手に入れたようなそんな顔をしている。僕は2人に何かを与えたのだろうか。

「(頼られた……君が私を頼ってくれた……嬉しい嬉しい嬉しい!! 私は必要とされている……私が必要とされている……それだけでなんでもできる……!!)」

「(ああ……まぼろしさんの羽になれるときが来ました……えんまはまぼろしさんの道具でいい……お役に立てるならそれでいい……だのにえんまを頼ってくださった……えんまはどこまでも飛んで見せましょう)」

すごく気合の入った顔に変わった……乙女心は難しいなあ……でも今は指示をしなくちゃ……

「デリさん、あの中のことは分かる?」

「……無理みたい。音が中に入っていかない」

「そう……じゃあ僕が位置を教えるね。あの中の中心に人型のものが見えるんだ。それを引きずり出して欲しい」

とりあえず外に出してみたら今よりも状況は変わる筈だ……悪くなる可能性は今は考えない。

「はあああ!!!……まぼろしさん。あの肉塊を数度斬りつけてみましたが……すぐに再生してしまいますね」

うわあ……カッコいいなあ……長い刀……じゃなくて……再生するのか……それじゃあ中から出せないなあ……どうしよう……何か方法は……

「何か下から聞こえるよ……吸い上げるような音がする」

もしかして地面から何かを吸って再生してる? それならなんとかいけるかもしれない。









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