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知らないはずの隣人

『坊の知り合いかぁ……じゃあ無下にするのも具合がよろしくないねえ……それで坊が気分悪くしてもあれやし……うん……坊と一緒に居てもらおか』

 リコリツスさん……だっけ……その人が話を聞くなりそう言った。知り合い……っていうかこの2人が僕のことを一方的に知ってるだけのような気がする……

『姐さん……それもですか……?』

『もちろんやん、信頼しとるよ』

『その信頼は重いですわ……はぁ……』

 何か申し訳ない気持ちでいっぱいだ……デリさんと燕間さんのせいでこんなことになるなんて……え?

「あの……お2人は名乗ってましたっけ……?」

「……? 特に名乗ってはいないけど……私はデリ」

「私はえんまと申します」

 名前が合っている……もしかして忘れているだけで僕は本当にこの2人と何か関係があったのかもしれない……でも……何があったんだろう……なにが……

「うぐ……!?」

 頭が……割れるように痛む……どうして……思い出せない……何か致命的な……ことが……あったのか……思い出すことを拒むレベルの……?

「大丈夫!? 頭が痛むの!?」

「くっ……拘束されていなければ今すぐにでも支えるのに……!!」

 ふらつく……いたい……視界が歪む……くるしい……つらい……

『あらら、具合悪そうやな?』

 根っこが僕を支えてくれた……少しだけ楽になった……

『ありがとうございます……えっと……お名前は?』

『言っとらんかったっけ? カツランいいます、どうかよしなに』

 カツランさんだったのか……お世話になりっぱなしだなあ……どうにかして恩返しができればいいけど……僕に何ができるだろう……?

「……ギリッ……!!」

「ギ……ギギ……」

 うわ……スゴイ顔してる……平静を装いながらデリさんは歯を喰いしばってる……燕間さんの方はなんか……威嚇みたいな音が漏れ出てる……?

「あの……どうかしましたか?」

 もしかしたら具合が悪いのかもしれない……僕もさっきまですごく辛かったから同じように苦しんでいるなら助けてあげたい……

「……君は随分とそこの人と仲が良いみたい……どういう関係かな?」

「えんまも気になります……どうか正直に答えてください」

 どういう関係……? そんなことを問われるとは思ってもみなかった……僕とカツランさんの関係って言ったら……

「……命の恩人かな? カツランさんが居なかったら僕は多分死んでいたと思う」

「っ!? そう……そうなんだ……命をね……。君を最初に拾ったのは私なのに……君はもう覚えていないんだね……」

 声が小さくて良く聞こえなかったけど……なんて悲しそうな顔……傷つけてしまったんだろうか……それなら謝らないと……

「これも……私への罰なのかもね……君のためになんでもする気だったのに……君を傷つけた……その報いがこれなんだ……君は全部忘れて……新しい人と……あはは……覚悟はしてたけど……ちょっと……耐えられないかも……」

 背筋がぞくりとした……なにか……開けてはいけないものを開けてしまったような……そんな失敗をした感じ……なんだ……何が……?

「まぼろしさん……本当に何も覚えていないんですか……1つたりともないんですか……!?」

 そんな……こと言われても……僕は……目を覚ましたばかりで……それからずっと……ここに居て……それ以外のことは……なにも……

「ごめんなさい……なにも心当たりが……なくて……本当にごめんなさい……」

謝るしかない……何があったのか分からない以上僕は謝る以外の方法をとることができない……僕の知らない何かがあったのかもしれないけど……知らないものはどうしようもない……

「謝らないでください……むしろえんまの方が謝らなければならない位なのですから……」

「……? それはどういう……?」

 どうして目の前の燕間さんが謝るんだろう……もしかして勘違いだったことに気づいたとか……人違いだったのかも……?

「ええ……今からすることを考えたらえんま達はまぼろしさんの負担になってしまうので……」

「えっと……?」

 きっと燕間さんの言うまぼろしさんは僕の事だ……それで僕の負担になることっていうのは……何をするんだろう……もしかして……力ずくで何かをされる……!?

「あの……痛いのは……止めて欲しいな……なんて……駄目ですか?」

「痛いことなんてしませんよ? ただえんま達が側にいるのを許してくださればそれでいいのです……失ったものを考えても仕方ありません……なら新しく作ればいいんです……新しい絆を……作る……です……きっといつかは……同じように……なるはずです……!!」

 表情は変わらない……けど……こらえるような声に涙で一杯の目……僕は一体……何をしてきたんだ……分からない……分からない……けど……このままじゃダメな気がする……

『ん~、何言うてるかはさっぱりやけど……湿っぽいなあ……とりあえずここはお開きにして1回落ち着きぃな』

 ぱらぱらと粉のようなものが降っている……これは……

「あ……れ……なんだか……眠く……?」

『起きる頃には頭が冷えとるやろ……その時にもっかい話しな」

 ああ……だめだ……たえ……られ……ない……





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