10万年後のサプライズパーティ 4
一騎打ちで決めるようだ……それにしても2人ともそんなに強そうには見えない……でもくがねさんは2人のことをバケモノとか馬鹿みたいに強いとか言うんだよなあ……
「燕間さんはフミさんは強いと思う?」
「いいえ……恐れながら申し上げますと。史廻様にはそこまでの力はないかと」
「やっぱり……デリさんはどう思う?」
「肉体的な強さはそんなにないと思う……でも身体の中に何か埋め込んであるみたいだったよ?」
身体に埋め込む……? ペースメーカーじゃないだろうし……それが何か切り札のようになるのかな……1人で戦った方がいいっていうのもそれに関わっているのかも……
『母上、早く真の姿をお見せになったほうがいい。でなければ次の瞬間には地に伏すことになる』
『ことごとく不遜ですね。ですが良いでしょう、久しぶりに三宝を使うのも一興』
さんぽう……? いったい何を使うんだろう……宗茂さんの雷斬や忠勝さんの日輪号のような凄い武器が出てくるのかもしれない。
『我が右手に神殺し、我が左手に至高の玉、そして我が頭上に国を照らす鏡を』
上那さんの言葉に合わせて右手に剣、左手に数珠のようなもの、頭の上に天使の輪のように鏡が現れた……薄々勘づいていたけどあれって……三種の? 実在していたのも驚きだけど……流石に神の宝……10万年の時をものともしないとは……
『それを待っていたのじゃ……!! 母上が現人神として立ちはだかるのならば……人として……神を討つ……右方に火、左方に木、天に水、地に金、我が眼前と背に立つものなし……されど我が身は人なりて……神を下して人の王たらん……目覚めよ人界』
フミさんが自分の胸に手を差し込んだ!?
『ははあ……なるほど。それを妾に使う為にここまでのことを仕組んだという訳ですか。確かにそれならば妾を打倒しうるでしょう。人を統べる者の剣は人しか斬れぬ、つまりそれで斬られた者は人になる。神殺しならぬ神堕ろしの剣。どこかにあるとは思っていましたが……身体の中に埋めているとは』
フミさんが身体の中から引き抜いた剣は……とてもそんな凄い武器のようには見えなかった。言ってしまえば普通、悪く言えばただの錆びたボロボロの剣にしか見えない……
『気をつけることじゃ……一筋の傷でもつけば母上は神の資格を失うことになる』
『ふふふ、可愛らしいですね。妾に傷の1つでも付けられると思っているところが特に……それの制約は知っていますよ。人の王は孤独でなければならない、真の王は真の孤独を持つ者。故にそれを使う時は1人でなくてはならない……そうですね?』
『……よく知っておる……所有者でもないくせに……だがそこまでしか知らぬと言ったのと同じじゃぞ。真の孤独は真の強さに変わることを知れ』
周りで見ていた兵士の人たちが次々と膝をついていく……なぜかとても疲れているように見える……場の雰囲気に押されて疲弊した……?
『……人の王が聞いて呆れる……周りから吸い上げる様はただの暴君ではないですか。真の強さが奪う強さだとしたらあなたは王である前に人ではないと言わざるを得ませんよ?』
周りの人から力を吸い上げているのか……確かにそれなら周りに仲間が居ない方が使いやすいだろう……でもそれが王の在り方かと言われると……
『ここで終わればそれは暴君じゃろうが……その先がある』
『ああ、それは良いです。これ以上の会話に意味を感じません、少しは楽しませてもらいましたよ』
上那さんが消え……?
『さようなら、妾の愛しい23番目の子』
『く……かはっ……!?』
後ろから上那さんがフミさんの胸を貫いている……今度は狂言でもなんでもなく本当にフミさんが貫かれて……倒れた
『これで終わりです、速やかに死体を供養しなさい。生き返られても困ります』
そんな……そんなあっさりと……力の差がありすぎたんだ……それが紙一重なのか分厚い壁なのか……判断はつかない……でもフミさんは今度こそ……
『なにこの世の終わりみたいな顔してんだよ。あいつが1人の方が強いのが分かるのはここからなんだぜ?』
『だってもう……!!』
『見てな』
もう見るものなんて……え!? フミさんが立ち上がって
『そんな連れないことを言わないで欲しいのじゃ母上、まだまだ遊ぼうではないか……』
『……黄泉がえりですか……そんな外法にまで手を出していたとは……おおかた吸った命でもう一度立ち上がったというところですか』
『先があると言ったじゃろう……そもそも奪ったのは敵意であって体力でも生命力でもない……虚脱感で膝をついただけじゃ……』
『興味ありません、黄泉がえりにも限度があるでしょう』
またフミさんに剣が……
『消え去りなさい』
数珠で縛ったうえに鏡からの光で焼かれている……肉体の原型が残っていない……ここまでされたら……もう……
『いやはや、止めて貰いたいものじゃ。無駄なことはしない方がよいと思うがの、見ての通り死なぬ身じゃ』
灰の中からフミさんが……!? 本当に不死身なの……!!
『カラクリがあるはずです……でなければこのようなマネ……!!』
『惑うたな? これで終いじゃ』
フミさんの姿が霧散する……文字通り霧のようにほどけて消えてしまった。
『永劫の軛から解き放とう……母上』
フミさんの剣が上那さんを袈裟懸けに斬りつけた。




