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10万年後も失われたものは戻らない 7

『……ふう……どこで気づいた? 信じてただろう、ついさっきまでさ』

 すっと目が細められる、複眼でそれを行うことに意味があるのかは分からないけど明確に威圧感を出してきた。李気さんが初めから僕たちの敵だったなんてことではないと思いたいけど。

『真偽をはかれる者が仲間におりまして、あなたの心拍が不自然だと』

『……そこの水の民かい……その形は……そうか……耳が良いんだな……やっちまったなあ……大旦那様に叱られちまう……おみそれしました、こちらの非礼を詫びます。情報料はいただきません……真実をお話しましょう』

 頭を下げて謝罪したけど……これを信じるかどうかは……

「デリさん……どう?」

「変わらない、さっきまでと一緒だよ」

「てことはまた嘘……?」

「ううん、これは覚悟を決めたんだと思う。今から何を繕っても同じだから変えていない、むしろここでいきなり変わり始めた方が信じられない」

 そういうものかな……商人の人たちの腹芸なんて見抜けるわけもないからデリさんを信じるしかないのだけれど……

『実を言うと、さっきのことも別に嘘って訳じゃないんで。嘘でもないが真実ど真ん中ってわけでもないというわけで』

『まどろっこしいことはいいです、早く話しなさい』

『さいですか、良いでしょう。実は今朝早くにお触れがありましてね、勅令扱いの書状をもってきた奴らが来たら虫皇様を疑わせるようにと。だから少しばかりの誘導をさせていただきました』

 そっか……虫皇様からの……ってあれ? そんなこと僕たちに言って良かったのかな? これ本当に反逆扱いで李気さんの首が飛んでしまうのでは?

『あの……そんなこと言って良かったんですか? 李気さんの命が危ないんじゃ……』

『ん? ああ確かにまずいね。でもまあ、そこに居る四守様が放置してくれてるってことは大丈夫なんだろうさ』

 何もない空間を指さす李気さん、もしかして李気さんには僕たちを監視しているらしい器頭さん姿が見えているのだろうか……

『ああ……はいはい分かってますよ。これ以上の余計なことは看過しないってことね。分かってます、これでも商売人の端くれですから引き際は分かってるつもりです』

 何かのサインを受け取ったのだろうか、僕としては独り言を言っているようにしか見えないのだけど……きっと器頭さんからのストップがかかったんだ。

『というわけで、話せるのはここまでさ。まあ、なんで虫皇様がこんなことをしてるのかまでは分からないけど頑張りな。おまけにもう一個情報をあげる、23番目の皇子だけど……あの方が貫かれたっていう槍は見つかっていないんだ。それどころか投げる用の槍なんてこの国の軍隊にはおいてない』

 え? 僕の目の前であんなにはっきりと刺さっていたものが見つからない? そんなことがあるわけが……でもあの槍がどんなものだったか……僕ははっきりと思い出せない……なんでだろう……記憶に靄がかかっているような……

『……物欲しそうな顔しちゃってまあ……仕方ないねえ……じゃああと少しだけ……あの方の管轄は術者達だ……だからまあ探るならその辺りだろうねえ……さ、出てった出てった。一文の得にもなりゃしないのに大判振る舞いしちまったね』

『ありがとうございました。これからも贔屓にさせてもらいます』

『今度はこっちにも利のある話を持ってきてくれたら嬉しいね』

 そう言って僕たちは店の外まで連れ出されてしまった。とりあえず術者……とかいう人たちのことを調べれば良いってことだよね……

「参りましたね……術者ですか……3日でなんとかなるか……」

「術者ってどういう人たちなの?」

 何となく聞いてたけど術者ってなんだ……技術者って事なのかな……

「そうですね……えんまも術はからっきしですので詳しい話はできませんが……妖術……陰陽術……その他の怪力乱神の類を操る者たちだと聞いています」

 かいりきらんしん……胡散臭さが凄いなあ……でもでも10万年でなにか霊的な部分でも僕の知らないなにかがあるのかもしれない……心の準備だけでもしておこう……

「それで、どこに行けばその術者っていうのに会えるの?」

「それが……分からないんです……居るのが不確実という点では四守様よりも煙の中にいるような存在でして……居場所の見当もつかないんです……」

 え……?

「それって……どうしようもないってこと……?」

「はい……残念ながら……術者達につながるものを持たないえんま達では……接触することは難しいかと……」

「そんな……!?」

 まだ1日目だっていうのに……ここで手詰まり……!? 

『……もし、そこのおかた。何かお困りですか? 占いなどいかがでしょう、私の占いは良く当たるんですよ。今ならお安くしておきますが……なんて……振り向いて貰ったことなんてないんですけど……』

 声がしてきた方向を見る……そこには紫色のローブのようなものを来た人がいた。身体の大部分が隠れてしまっているからよく分からないけど声から考えて女性かな……?

『え? 嘘……聞こえてる? まさかそんな……』

『あの……占ってくれるって本当ですか?』

『いやああああ!? しゃべったああああ!?』

 

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