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10万年後も失われたものは戻らない 6

『……取り扱っているものに情報は含まれていますか』

『へえ……あんた達はそっちの客だったか……それなら表でする話じゃないね。来な』

 情報の取り扱いには細心の注意が必要だからね、秘密の場所も用意されているのも当然かもしれない……でもほいほい着いていっても良いものだろうか……ペスカさんに注意されたこともあるし……

「警戒は要らないと思います。あちらも信用で商売している以上は己の信用を貶めるようなことはしないはずです」

「いざとなったら私たちが何とかするよ」

 頼もしい仲間がいてくれて本当によかった。これで安心して行くことができる……荒事に関してはからっきしだから本当に助かる……全部おんぶにだっこという訳にもいかないけどさ……

『何が聞きたい?』

 地下の一室には机が1つと椅子が2つあった。それ以外には本当に何もない、取調室みたいだなあ……緊張する……

「ここはえんまがやります、どうかお任せください」

「うん……お願い」

 僕ができることがなくて本当に申し訳なく感じる……なにか他のところで挽回しないと……

『23番目の死にまつわる情報はありますか?』

『……ないね。それに関してはどこに行っても情報なんざ出てこない……というのが精一杯さ』

『なるほど……ありがとうございます』

 燕間さんは何か分かった風だ……僕にはてんで分からないけど……分からないってことが分かったということなのだろうか……

「まぼろしさん、これは情報を統制できる立場の人間が犯人であるということを示しているのです」

「あ、そういうことなんだ……」

 なるほど、そういうくみ取り方をするのか……言われたことをかみ砕く力が要るなあ……

『で? 他には?』

『大臣の中で最近特に動きのないものはいますか』

『……そうさなあ……左大臣……右大臣両方とも最近は精力的に動いているね。動いていない大臣クラスは2、3居るが……』

 どうしたんだろう……急に黙ってしまった……何かを待っているような感じがする

『……分かりました、倍でいかがでしょう』

『まいどあり。最近音沙汰ないのは左大臣直下の軍事と右大臣直下の祭、それと独立した部門の刑罰部門だね。ま、今話せるのはここまで。こっちも命は惜しいんでね』

 倍とはいったいなんの……でもとりあえずは目星がつけられたかな。軍事のところと祭のところ、刑罰のところが怪しいってことなんだよね。

『商売上手ですね……さらに倍です』

『こいつぁ上客だね。分かったよ、そこまで言われちゃあ。掴んでるもんを全部はき出さねえとアバドン神に怒られちまわあ』

 命が惜しいって今……

「商売人にとって命とはそこまで重要ではありません。さっきの言葉はつまるところ対価が足りないという催促の言葉なのです」

「そう……なんだ。難しいなあ……」

 商人の間の不文律のようなものなんだ……それじゃあ分かるわけない……でも燕間さんはどうしてそんなことを知っているんだろう……

「昔から耳は良かったもので……家に来ていた商人の言葉をその……盗み聞きしてまして……」

『一度しか言わねえからよく聞きな。軍事を主に仕切っているのは1番目だ、祭は2番目、刑罰は3番目さ。そして全ての決定権は虫皇様が握っている……ま、そういうことさ』

 どういうこと……? 何を察すればいいんだろう……? 怪しいところは全部虫皇様の子どもがやっていて……その決定は虫皇様が行っている……まさか……

『……なるほど……よく分かりました』

 燕間さんも察したみたいだ……てことはやっぱり……

「ねえ、あの人が何を言ってるか分からないんだけど……たぶん嘘ついてるよ」

「え?」

「あの人の心臓ってずっと一定だったんだけど……この部屋に入ってからいきなりゆっくりになったの。まるで何かを悟らせないようにわざと冷静になってるみたいに」

「デリさん……それって本当……?」

「本当だよ、君に私が嘘をつく必要はないし。するつもりもないよ」

 どこからが本当でどこからが嘘なのか……それを判断することはできない……頭の中がこんがらがってきた……問いただしても答えてくれないだろうし

「どうしよう……」

「大丈夫ですよまぼろしさん、えんまに考えがあります。少しお借りしますね」

 え? どうするの? 今からことの真偽を確かめることなんて……

『これが何かお分かりですか……?』

『信じられねえ……何であんたそんなもん持ってんだ……それって八守様の……本物か?』

「まぼろしさん、少しで良いです。蜜を」

 それでなんとかなるのなら……?

「ん……」

 小指の先くらいの量を出してみた。でもこれでどうするんだろう……

『どうぞ、ご賞味ください』

『……そいじゃあ失礼して……』

 李気さんの身体が舐めた後に一瞬だけ強ばってその後酷く弛緩した。そのゆるみっぷりたるや……こう……だらっと……ダメにするクッションに座ったような。

『……これぁ……純正品な上に極上だ……本物だなあ……参ったぜ……』

『では、これが何を意味するかもお分かりでしょう?』

『……事の真偽を八守様に預けることができる……だろ? 知ってるさ、この芦原の国にいれば当たり前だ』

『では、何か申し開きすることはありませんか? 今ならばまだ直接蜜姫様にお伺いせずに済むのですが……』

『……参ったな……こりゃ……本当に首が飛んじまうかもしれねえ……』





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