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10万年後も失われたものは戻らない 4

「……犯人探しですか……それはまた難題ですね……せめてもの救いは勅令扱いの文書があるから正当性があるということです」

 燕間さんに読んで貰った文書には「これを持ってる人は虫皇の使いだから邪魔しちゃダメだよ☆」という意味のことが書いてあったらしく。けっこうすごいものだったらしい。

「しかし四守様が本当にいらっしゃったとは……姿を見たものが誰もいないので名前だけの役職と思われていたのです。一応虫皇様の懐刀であるという話は聞いたことはあったのですが……」

「……今は誰から疑うべきか考えた方が良いと思うな」

 デリさんにぴしゃりと言われてしまった。実際その通りだ。

「燕間さんは誰か怪しい人に心当たりはある?」

「すみません……なにぶん京にも来れぬ田舎の姫でして……」

 そっか、来たことがないんだもんね。怪しい人なんて分かるわけないか……でも燕間さんに心当たりがないというと……初めからつまずいちゃったな。

「でも、それを知っていそうな人ならば知っています」

「知っていそうな人……?」

 情報屋とかそういう感じの人に伝手があるっていうことなのかな? それだったら少しは進展があるかもしれない。

「はい、その者は京で一番大きな商いの店にいます」

「場所は……」

「それは……そのう……」

 あ、知らないね……じゃあとりあえず牢から出たらその一番大きな商いの店とやらを探してみることにしよう。

「とりあえず、期限付きだけど出ようか」

 牢は思ったよりも京の真ん中にあったみたいで、牢から出るとすぐに人通りの多い場所に出ることができた。

「うわあ……中もすごいなあ」

 時代劇で見るような長屋の繋がりが縦横無尽に建っている……建築するにあたって軽くて丈夫なものが楽に大量に用意できるのかもしれないけど……これじゃあ迷宮だよ……

「この中も外みたいに探れないようになってると思う?」

「え? どうだろう……フミさんが居れば分かったかもしれないけど……やってみる?」

 そっか、今もデリさんは声での探知をやってないんだ。だからいつもよりもそわそわキョロキョロしていたんだ……不安にもなるよね……

「少しだけやってみてもいい? そうすれば大きなものの場所は分かるから」

 確かにそれをすればすぐに分かるかもしれない……でも……前はフミさんが解いてくれたからいいけど……こんど呪いをかけられたら解けない……そうなったら命が危ないかも……

「ダメ。デリさんにそんなことさせられない。また呪われたら死んじゃうかもしれないんだから」

「大丈夫だよ、気分が悪くなったらすぐに止めるから」

「ダメ!! デリさん気分が悪くても隠しそうだもん」

「むう……」

 なんか複雑そうな顔をしている、嬉しいような怒ってるような変な顔。怒るのは分かるけどなんで嬉しそうなんだろう……

「たぶん、一番騒がしいところだと思います。それなら聞くだけで分かるのでは?」

「それだ!! 燕間さん凄い!!」

 それならデリさんに危険を冒させずに済む。

「ええ、これでも一応それなりの教育を受けています」

「ぐぬぬ……」

 なんか2人の間でバチバチと火花が散っているように見える……喧嘩は止めて欲しいなあ……仲良くして貰うにはどうしたらいいんだろう……

「あっちがうるさい……」

 デリさんが指を指した方向は確かに一層人の密度が濃いような気がする、お店ににはきっと人が集まるだろうから行ってみる価値はある。

「あ、まぼろしさんはえんまと手をつないでください。はぐれでもしたらまぼろしさんは小突かれただけで死んでしまいます」

「うん……それは否定できない……分かったよ」

「待って!! 私……も……いや……止めとく……ね」

 手を出しかけたデリさんは途中で手を引っ込めてしまった。デリさんには僕の手は熱すぎるから仕方ないよ。こればっかりは……でも燕間さんに腕をもがれる可能性があるからモルト母さんの腕の方を出しておこう……

「仕方ありません、イオの者の体温は水温と同じくらいですから。その点えんまたちはどんな温度でもほとんど対応可能なのです。えっへん!」

「燕間さん……」

 こういうぽろっと出た種族間の差を強調する言葉は正したほうがいいのだろうか……僕はまだこの10万年後の常識を知らない……ここで言うのが正しいかは……分からない……でも言うべきことは言わなきゃならないと思う……

「燕間さん、できれば他の人を貶めるようなことは言わないで欲しいな。僕はそういうのはあまり好きじゃないんだ……おかしなことを言ってるかもしれないけど……お願い……僕は燕間さんを嫌いになりたくないから……」

「「っ……!?」」

 燕間さんとデリさんの顔色は対照的だった。デリさんは一気に桜色に燕間さんの顔は一気に青ざめた。

「も、もも、申し訳ありません……他の人と旅をするということがどういうことか解しておりませんでした。どうか愚かな我が身をお許しください……どうかえんまを見捨てないでください……!!」

「待って待って、見捨てるとかそんなことないから!! そんなに深刻に捉えないで!!」

 燕間さんにこの類の言葉は脅しのように聞こえてしまうようだ……気をつけよう……お願いが脅しになるようじゃいけない……

「……ありがとう……優しいね……君は……」

 しまった……デリさんが何か言ったみたいだ……聞き逃してた……複数の人が言うことも聞こえるようにしなくちゃいけないな。

「とりあえずお店がありそうな方へ行こうよ」

『おおん? なんだなんだ、ガキが別嬪連れてんじゃんか。おいおい生意気だなぁ、俺たちにも少し分けてくれよ』

『ははっアニキも人が悪いや、少しなんて嘘ついて。全部持っていくつもりでしょうに』

『人聞きが悪いことを言うもんじゃねえや、俺は少しばかり品定めしようってだけじゃねえか』

 あからさまな二人組が近づいてきた……こんな分かりやすいチンピラってあるのか……

 




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