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10万年後の都へはひとっ飛び

「うわあ……すごいや……何がどうなっているか全く分からない……」

 宗茂さんの協力のかいあって、空飛ぶ籠に乗せて貰うことができたので驚くほどスムーズに都には着くことができた。

『ふはは、凄いじゃろう?ここが永世京と呼ばれておるのも分かるじゃろう。なにせどれだけかかっても踏破などできようはずもないのじゃ』

 まず目の前に大きな門……これも大分おかしいつくりになっている。鳥居みたいな形をしているけど入り口が3カ所もある。それぞれ空、陸、地下に対応しているような感じがする。

「え……信じられない……ここって常に形が変わってる……?」

 デリさんの超音波でそうなってるってことは実際そうなのだろう……もうほんとに何がなにやら……この都自体が生きているっていったほうが分かりやすいくらいだ。

『まるで生きているみたいですね』

『ふむ、鋭いのう。この永世京には2つ意味があってな、一つ目は永遠に変化し続ける都でもう一つは歴代の虫皇の意思を生き続けさせるというものなのじゃ。そう言う意味ではこの永世京は生きておるとも言えるのじゃ』

 意思を生かせ続ける……どういうことだろう……遺言を反映するとかそういうことだろうか……なんにせよ深く知りすぎたら戻ってこられないというのは変わりなさそうだ。

「……!!!」

 とりあえず燕間さんが固まってしまっているのをどうにかしよう。京を見てからぴくりともしていないからよっぽど衝撃を受けたんだろうな。

『ああ、そこの蜻蛉の娘は少しばかりそっとしといてやったほうがいいのじゃ。お主たちには見えておらぬじゃろうがこの永世京は虫の目には少しばかりきらめき過ぎるのでな。恐らくそこの娘は目以上に鋭いものを持っているらしい……最初は辛かろう』

 ……虫の目だけに見える何かが京から出ているのかな? 赤外線とか紫外線とかが見えるっていう虫さんがいるらしいけど……

「ッ……」

 デリさんがふらふらしている……空の旅が堪えたみたいだ……でもそんなに顔が青くなるものだろうか……

「大丈夫?」

「なんか……頭がグラグラする……」

 まさかデリさんまでこの京にあてられてしまったのか……確かに見てると不安になるような感じがするけれど……

『あ、さてはそこのイオの娘……探りを入れていたな? そんなことをしたら呪詛返しで自分に降りかかってくるに決まっておろうに……』

『呪詛返し……ですか?』

 言葉通りなら呪いを跳ね返すみたいなことだろうけど……デリさんは別に呪いをかけていた訳ではないし、どうしてそんなことに。

『左様、呪詛返しとは攻撃的な防壁のようなものじゃよ。何かされたときに呪いをかけてそれ以上の干渉を防ぐものじゃ。じゃからこの永世京にちょっかいをかける者などいないというわけじゃ。しかし……忠告する前に探りを入れるとはお主がよっぽど心配なんじゃなあ。1つの危険も通すわけにはいかないというのは分かるが……』

 そういう事だったのか……デリさんはもしかしてら聞こえていないだけでいつも声を出し続けているのかもしれない……蜂蜜をあんなに気に入ったのも恒常的に疲れているからなのかも……労わなくちゃ……

『この呪いは解いておくが、もうやるなよ? 次からはもっと強力な呪いがかかるかもしれんからな』

「え、なに……?」

「大丈夫だよデリさん。治してくれるんだって」

 不安そうな顔をさせてしまった……もっとスムーズに情報の伝達を行なえるようにしなくちゃな……こんな状態じゃデリさんに安心してもらえない……

『右方に火、左方に木、天に水、地に金、我が眼前と背に立つものなし』

 あ、フミさんの身体が薄く光った。10万年で生き物には光る機能が標準搭載されたんだろうか……たびたび光るのを見るけど……

「あ、身体が……軽くなった」

「良かった……探りを入れるとまたそうなるみたいだから気をつけて……あと無理しないでね?」

「うん……分かった……気をつける」

 良かった、大丈夫そうだ。まさか来て早々に呪われるなんて思いもしなかった……というか呪いってなんだろう……実際に効果が出るなんて……いったいどういう仕組みなんだろうな……

『ふむ……そろそろ蜻蛉の娘が動けるころじゃろう、たぶん倒れるじゃろうから支えてやるといい』

 確かに少しではあるけれど燕間さんの硬直が軽くなっているように見える。これなら言うとおりにもう少しで燕間さんが動けるようになりそうだ。

「あ……ああ……っ!?」

 燕間さんが身体を一際大きく震わせた。するとすっかりいつも通りの燕間さんだった

「……お見苦しい姿をお見せしました……不覚です……っ……!?」

 フミさんの言葉通り身体をよろめかせたので支えた、いつも思うけどこんなに細いのになんで僕の10倍くらい力持ちなんだろう……

「まぼろしさん……」

「大丈夫だよ、これくらいなら僕にもできるから」

「来ます……気をつけて……恐らく槍が飛んできています……避けて……ください……!!」

 え?

『どうした? 呆けた顔をしているな。なにかあがひゅっ!?』

 僕の目の前でフミさんの胴体に槍が深々と刺さっていた。それは疑う余地もないほどに致命傷で、手遅れという言葉だけが僕の頭の中でこだましていた。

 



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