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10万年後の蜻蛉さんも肉食 4

『お前は自分がどういう立場か分かった上でそのような世迷い言を言っているのか、そうだとしたらお前はよほどの馬鹿になったようだな』

 そりゃあそんな風に言われるよ、だって人質に出した娘が帰ってきて妾になるので餞別くださいだなんてどう考えてもおかしいもの……それだってむこうの人とならまだしもどこの馬の骨かも分からない僕だし。まあ、耳までつぶすここの家の人もおかしいけどさ。

『お父さんの言うとおりだよ燕間さん。どうしていきなりそんなことを!?』

『お前がお父さんと呼ぶな!!』

『ひぃ……!?ごめんなさい!?』

 メチャクチャ怖いよこの人、やっぱり人の上に立つ人の迫力は凄いなあ……。

『別に良いではありませんか、えんまはあちらでも持て余されておりました。どちらでもえんまを扱いきれぬならいっそのこと旅人の妾にでもしてしまった方がよろしいでしょう?』

『……それでは蜂姫との約定が反故になる。もう一度戦乱を巻き起こすつもりか?お前のせいでもう一度この国を地獄に陥れるつもりか!!』

『それなら心配いりません。もう双方に争う理由などないのに先祖の因縁をぐだぐだと続けていただけなんですから。一度止まってしまえばもう歯車は回らないと思いますが?』

『ぐ……お前は先祖代々受け継いできたものを何だと……』

『ですから、えんまのことはもう勘当していただいて構いません。もう六守忠勝りくのかみただかつの娘ではなくなります。そうすればえんまがどうしようと勝手でしょう』

 なんかとんとん拍子で話が進みそうな気がするけど……僕の意見とかって基本的に無視されるんだね……いやさっきみたいに凄まれたら怯んじゃうんだけどさ……。

『どうしても……と言うのだな……?』

『はい、えんまはもう決めました。産まれて初めて自分で決めました。えんまはこの人についていきます』

 どうしてここの人は事前説明をことごとく省いてしまうんだろうか……少しくらい相談してくれてもいいと思うんだけど……それともその概念自体10万年で消え去ってしまったんだろうか……。

『……であればこれからどうするか、分かっていような。頭領の意に背くのであればそれを通すだけの力を見せて貰わねばならぬ』

『ええ、十全に分かっています。それが蜻蛉の掟ですから』

 これは戦う流れ……僕が近くにいる状態で戦わないで欲しいけど……今更動いて間に合うとも思えない……言われたとおり案山子のように立っているしかない……。

『いざ……尋常に……』

 あれ?お父さんの後ろに誰かいる……えんまさんによく似ているけど……もうちょっと歳をとっているような……成熟した感じだ……あれは誰なんだろう……?

『何やってるんですか』

『あがっ!?』

 後ろから一撃で……手に持っている凶器もとい鈍器は鉄製の調理器具のように見える……気づかれることなく後ろに忍び寄ってきっちりと意識を刈り取ったみたいだ……あの人の方が強いんじゃないかな……なんかそんな気がする。

『その震えは……お母様ですか……止めるというのならお母様であっても容赦はしません……』

『何言ってるの、そんな必要ないわよ。受け取りなさい』

 何かを投げてきた、長い棒のように見えるけどいったいなんだろう……。洗濯ものを干す竿みたいな長さだから用途は限られると思うけど……。

『お母様……良いのですか……?』

『良いの、この人も内心そう思ってるはずよ。なにせ自分で決めた癖にあなたの耳を潰して送り出してから三日三晩食べも眠りもせずにお堂に籠もって祈っていたんですもの。そんなことするくらいならはじめからやらなければ良いのにね』

『まさか……そんな……』

『いいえ、本当よ。頭領としての判断と父親としての気持ちは別なの、面倒だけれどね。ああそれと、持って行っちゃうんだから最後に演舞の1つでも見せてちょうだいな』

 演舞……棒術の?

『……分かりました……羽斬六道とともに……』

 棒を橋に突き立てた……まさかポールダンスみたいな感じなのかな……?いや……羽が動いてるから飛ぶんだ……でもそれだったらどうして突き立てたりしたんだろう……そのまま持ってればいいのに……

『ふっ……!!』

 僕は今ありえないものを見た、燕間さんの飛翔とともに棒の先端が分離したんだ。ちがう、そうじゃない、抜けたんだあまりにも長い鞘から。突き刺したのはそういうことなんだ、長すぎてまともにやったら抜けないんだ……

「うっそ……あんなに長い刀なんて……」

 まるでアバ姉さんが持っていた刀のような長さ……およそまともに振るえるとは思えない。でもその長く反った刀身は三日月のように美しかった。

『剣の聖には遠い身なれど……どうか照覧あれ』

 そこから目の前で行われた剣舞はきっと凄いものだったのだろう……それが見えていればの話だけど……はっきり言って僕には何がなんだか分からなかった。空中で行われる立体的な剣舞は僕が目で追うにはあまりにも高度過ぎた……あっちこっちに移動するのを目で追うのが精一杯で何がなにやら……

『はあっ!!』

 最後の鞘にしまうところだけは見えた……上から差し込む感じで入れるんだね。殺陣とかアニメとかの最後みたいに収められるのはあの長さだからだし……でもなんかちょっともやっとする。

『ぐすっ……立派になったわね……』

 丸く収まった……の?






 

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