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10万年後の蜂蜜はちょっとアレ

『ここに入れるのは我と一部の者のみよ。光栄に思え』

 まさか蜜千代さんの部屋の奥に蜂蜜生産工場があるとは……というか蜂蜜の……泉……みたいなんだけどこれいったいどうなってるんだろう……。

『声も出ぬか、仕方あるまい。ここは秘中の秘ゆえな、口外すればその首が地に落ちると心得よ』

『は……はい……』

 蜂蜜の泉なんて言ったって誰も信じないだろうし、それについては大丈夫だと思う。

「わー!!すっごーい!!あまいにおーい!!」

 デリさんは大興奮だ、良かった嬉しそうで。

『ふふ、何を言っているかは分からんが喜んでいるのは分かるぞ……他の種とはいえ子どもとは愛らしいものよ。興が乗った……見ていろ』

 蜂蜜の泉に蜜千代さんが近づいていく、何か見せてくれるんだろうか……。

『実はこの蜜は変身を残している……それは今の姿とは比べものにならないぞ』

 ええ……もしかして戦闘力あまさが桁違いに跳ね上がったりするのだろうか、これ以上甘くなったら食べられるものじゃなくなるような……。

『ここに我の蜜を加えることで……最高級の蜜ができあがるのだ』

 ……我の蜜……ローヤルゼリー的なものがあるのだろうか……、あれ?蜜千代さんの指が……口の中に……!?

『ん……ちゅ……これを加えるのだ』

 口から出てくる粘度の高い液体……それってもう1つしか……。

『待ってください……それは……その……唾液ですか……?』

『何を言っている、そんなわけあるまい。仮にも民草の口に入るものだぞ、これは我の口の中にある管から出る特別の液だとでも思っておけ。言ったのがお前でないならばこの時点で不敬で打ち首ぞ』

 ほんとうに……?ほんとうにぃ……?口から出る液ってそれはもう唾液と言って過言ではないと思うのだけれど……。

『良いから見ていろ……』

 ああ……蜂蜜泉に一滴垂らされてしまった。

『うわっ!?』

 蜜が光り輝く!?なんで発光するの!?光るものって食べて良いの!?

「すごい!!」

 いや確かに凄いけども……これをデリさんは躊躇なく食べられるのかな……僕はちょっと……。

『なんだその嫌そうな顔は……これを一度食べればそんなこと言えなくなる。そら』

『い、嫌だ……死にたくない……死にたくないいいい!!!』

 しまった……腕に捕まった……蜜が……光る蜜が……近づいてくる……ダメだ……僕はここで甘さの暴力に殺されるんだ……。

「むぐっ……」

 ああ……来るぞ……死ぬほどの甘さが……。

『あれ?美味しい……すっごく……』

 甘すぎないししつこくない……さらっとしていて香り高い……こんな蜂蜜食べたことない……こんなに美味しいものを僕はどうして拒んでいたんだろう。もっと欲しいなあ……。

『そうだろうそうだろう。しかし、少しばかり中毒性があるゆえ気をつけるのだぞ?』

『げほっ……げほっ!!なんてもの食べさせるんですか!!』

 危ない危ない……きっとこれ以上食べていたら僕はハニージャンキーになっていただろう……禁断症状とかも出るのかな……。

『なに、極弱いものゆえ心配には値しない。よっぽど身体の弱いものでもない限りは大事にはいたらないくらいのものだ』

 そのよっぽど身体の弱いものに僕が該当しているので本当に危なかった……ぼくの旅が蜂蜜の為に終わるところだった……。

「すっごく美味しいよこれ……君も食べてみなよ……えへへ……ふわふわするう……」

 デリさんが蜂蜜に呑まれた!?瞳も焦点が定まってないし心なしか目がぐるぐるしてる、顔も赤いし足下も呂律もおぼつかない……酔っ払いだねこれ。

『ふむ……身体に慣れぬうちに摂取しすぎたのだな、時間が経てば戻るゆえ心配しなくてもいい。それでどれくらい欲しいのだ』

 こんな違法感バリバリのものを僕たちが運んでも良いのだろうか……それとも蜂さんはこれで侵略を行っているのかも……。

『まあ、どれくらい欲しいと言われても授ける量は一定なのだがな……』

 じゃあなんで聞いたんだと言いたい気持ちをぐっと飲み込んだ、ここで話をこじらせることに意味ないし。

『今ここで作った分の王蜜をやろう、100年ほどならば劣化もしないゆえ安心しろ。お前ら2人では消費しきれないかもしれないが……その時は配ってもよい』

 脱法蜂蜜100年超分……持ち歩けるような量ではとてもとても……ここは小瓶くらいの量で貰った方が僕の精神衛生上とデリさんの蜂蜜中毒防止のために良いな。

『ではこれを……こう……!!』

 光が一層強くなる……前が見えない……!?

『よし、圧縮はうまくいったな』

 圧縮……嫌な予感がする……。

『ほれ』

 何かを投げ渡された、綺麗な球だ。蜂蜜色の……きれいな……透き通った球……心なしかこの球から蜂蜜の香りがするような……光る蜜なくなってるし……そういうことなんだろうなあ……。

『それの中にさっきの分の蜂蜜が入っている、欲しい分だけ念じれば出てくる」

 まさかそんなこと……。

『ほんとだ……』

 小指の先くらいと念じたらじわりとそれくらいの蜂蜜が染み出してきた……これどうなってるの……10万年後の技術はよく分からないなあ……。





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