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10万年後の女王蜂はお姫様

『さて……と……そろそろお前も戻る時間だナ。これ持ってけヨ』

 アバ姉さんが僕に何かを手渡した。それは緑色の羽だった、鳥さんとかのふわふわしたものではなくて虫の甲殻に近いもので光を反射して虹色を纏っている。こういうのを玉虫色というんだろうか。

『これは……?』

『鍵だヨ。モルトパールからも貰っただろ』

 あ、あの緑アンモナイトって鍵だったんだ……!!

『それがありゃあ俺のところに来れるからヨ、今日はここまでだ』

 来たときと同じように意識が薄くなる。

『あんまり姉貴を放っておくものじゃねえぞ……あんまり放っておくかれると……喰っちまうからナ……』

 最後の最後で怖いことを言われた気がするけれど僕は意識がもうろうとしているから分からなかったことにしよう。

「……ふぅ」

 気がつくと最初に座った場所にいるままだった、日が傾いてもいないから時間も経っていないようだった。あの空間って本当になんなんだろうな……意識だけ持って行かれていたんだろうか。

「大丈夫……?白目むいてガクガクしてたけど……」

「え、ほんとに!?」

 多分入れ替えたときの反動みたいなものなのかな……でも端から見たら異常者に見える反応はないほうが良かったなあ……。

「何してたの……?」

「ちょっとね……」

 あれ、神様と交信してましたなんて言ったらますます異常者の仲間入りをしてしまうような気がする。ここはうまくごまかさないと。

「この部屋と……話してたんだ……よ?」

「……そうなんだ……大変だね」

 あれ、デリさんが不機嫌だぞ。まずいまずい、旅が始まったばっかりでギクシャクしてたらこれから旅なんてとてもとてもできたものじゃない!

「えっと……ごめんなさい!!」

「っ!?やめて、どうして君が謝るの?」

「多分デリさんを傷つけてしまったから……違うの?」

「違う、違うの、そういうのじゃなくて……私の問題だから……気にしないで……ね?」

 デリさんは視線を外して外へと向けてしまった、話はここで終わりということなのだろう。でもどうしていきなり……分からない……。

『待たせたな、大蜂様が貴殿らに会いたいそうだ。ついてきてくれ』

『分かりました』

 大蜂様……名前のとおりきっと村長さんくらい大きい蜂さんに違いない……心の準備をしておかなくちゃ……。

「デリさん、こっちだって」

「え、うん」

 どんどん奥の方に通されるなあ、奥のほうっていうか中心のほうに連れて行かれてるって感じに近い……きっと偉い人ほど中心にいるんだろうなあ。

「あれ?」

 屋敷の中心部は庭だった。おかしいな……これじゃあ大蜂様に会えないんじゃ……?

『では、行くぞ』

 え?なんで僕の身体を掴んで……ブブブっていう音は何だろう……まさか……。

『参る……!!』

「うおああああああああああああああ!?」

「きゃあああああああああああああああああああああ!?」

 飛んだ!?いや蜂さんだから飛べるのは分かっていたけど……ここまで早いなんて……そうなったらトンボの人とかいたら目にも止まらないんじゃないかな!?

『なんだ、飛ぶのは初めてか』

『そ、そうです!!』

『恐れる事はない、絶対に落としたりはしないからな』

 落ちるとかそういうことを連想する言葉は言わないで欲しかった、余計に怖くなってしまう。

「がく……」

 デリさんはもう意識を失っているし。

『ん?見えてきたぞ。あれが大蜂様の居城であらせられる』

『あれ……ええ!?』

 空中に蜂の巣が浮いていた、冗談抜きで蜂の巣が浮いている。いったいどうなっているのだろう。どう見ても浮かんでいるようにしか見えない……。

『どうだ凄かろう、空中城レンゲというのだ。こんな城に住んでいるのは世界広しといど大蜂様だけであろうな』

『す……ごい……です……』

『機密ゆえ詳しく話すことはできぬがあの中には兵站をまかなう仕組みまであるのだ』

 へいたん……平坦……?まかなうことができるのは凄いことなのだろうか。

『着くぞ』

 一層の加速と共に、空中城レンゲへと僕たちは入り込んだちなみにデリさんはまだ復活していないので担がれている。中は地上にあった武家屋敷みたいな造りのままだけど明らかに手が込んでいる。お城の中ってこんな感じなんだろうか。しばらく歩くと門番みたいに立っている人が二人、僕を運んできた人よりも高級そうな装備をしているから親衛隊みたいなものなのかな。

『旅人二名、連れてきて参りました』

『よし、通れ。姫様は今非常に機嫌が悪い、気を付けろ』

『くれぐれもこれ以上気を逆なでしないようにな』

 とてつもなく嫌なことを聞いた……どうか傍若無人な暴君が出てきませんように……。

『心得ております』

 とうとう、大っきな襖みたいな扉が開いてしまう。死にそうなことにはなりませんようにと祈るしかない。

『大蜂様、件の旅人を連れて参りました』

『そうか……ではお前は下がれ。我はその旅人と直接話がしたい、お前は邪魔だ』

『しかし……それでは御身の安全が……!!』

『くどい、下がれと言ったはずだが?』

『はっ……!』

 大きな部屋の奥の方から声が聞こえてくるけど姿は見えない、幕のようなもので隠れているみたいだ……高貴な人はみだりに人前に姿を現さないってやつなのかな。

『今度我の言葉に背いたら首が落ちると思えよ』

『はっ……!!』

 さっきから思ってたけど……やっぱり暴君っぽいなあ……。





 

 

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