表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者を嫌う世界  作者: ぶばんた
6/8

#6 決意を示す者

死なないでよ.....一人にしないでよ.....


気絶していたときにもこの夢を見た。今聞くとどこか懐かしく感じる。しかし、最近聞いたような気もする。

君はいったい...誰だ?








異世界転生後、3日目の朝だ。俺が目を覚ましたのは相変わらず異世界で、もとの世界に戻るなんてことはなかった。まあ、3日目ってこともあって、少しだけここの生活に馴れてきた。


「夢か...」


俺は日が差し込んでいる窓から外を眺める。


「こんなに静かな朝は久しぶりだな」


一応転生する前は地震とかがあっても生き延びてたからなー、まあ瀕死状態だけど。


....ル.......ベル....


ろくに睡眠も取れなかったし...


ドタドタドタッ


階段を誰かが走りながら登ってきてる。そして、俺の部屋のドアが勢い良く開いた。


「さっきから呼んどるじゃろ!さっさと起きんかい!」


「うお!びっくりした....なんでサディがいるんだよ.....」


「わしもここに住んでるからじゃ。」


「わしも?....は!?」


いや、ってことは......俺が住む家見つけるまでコイツと暮らすのか!?いやいや、女子と1つ屋根の下って、俺はこんな状況に耐えれるのか!?...あ、コイツって自称老人の子供だったな。じゃあ大丈夫だぁ...


俺は安心の笑みを浮かべた。クレアだと危なかったな。


「とゆうか、起きてるんだったら返事せんかい!」


「いや全然聞こえんかったわ!もっとおっきい声で呼んでくれよ!」


「こんな老人が大きい声を出せるわけがないじゃろ!」


「その見た目のどこが老人だよ!どっからどう見ても子供じゃねえか!つか、ドア開けた瞬間めっちゃ声でかかったし!」


「それは...まあ.....あれじゃ」


「どれだよ!」


「あと、わし子供じゃない!老人じゃ!」


「めっちゃ元気じゃねえか!」


まあ....うん、やっぱどこの朝も騒がしいかったわ。


「はぁ.....で、なんか用か?」


「朝ごはんが出来たから呼びに来たんじゃ」


「え?」


朝ごはんが出来たから?ってことは自分で飯を作らなくてもいいのか!それは助かるな。ん?でも、こうゆうときアニメだと...


「....先に聞いとくけど、食べたら死ぬとかそんなのはないよな?」


「昨日初めて会ったばかりなのに失礼なやつじゃな」








俺は、サディが作った朝ご飯を食べていた。随分家庭的な料理で味は普通くらい。


ご飯を食べながら、俺は少し考え事をしていた。それは、「ここは本当に安全なのか?」ということだ。カイルという前例がある以上、俺にとってはここは100%安心出来る場所ではない。


警戒は怠らないようにしよう。にしてもこれ、普通に旨いな、また今度教えてもらおう。


すると、クレアとカイルが入ってきた。


「おはよー...あ、アベル起きてたんだ」


「おはよー、どうした?作戦会議?」


冗談混じりで聞いてみた。


「そうよ。良くわかったわね」


「え?あぁ...ギルドって言ってたからそうゆうのもするのかなと思って.....」


本当にやるんだ......あ、


カイルがこちらをじっと見つめている。とゆうか睨んでる。


やっぱ抵抗あるかー、俺が仲間になるの。昨日殺そうとした相手が、今は自分のギルドの一員だもんなー....


そしてカイルは、一番気になってるであろうことを俺に聞いてきた。


「なあ」


「ん?」


「なんでお前がここにいる。ここは俺たちのギルドの基地だ。」


「基地って、んな大袈裟な....まあ、今は俺の基地でもあるな。昨日から俺もギルドメンバーだし」


「はあ?ふざけるなよ....!お前はこの世界を駄目にした転生者の一人だ。そんなお前がギルドメンバーだと?冗談も大概にしろ!」


まあこうなるよな、そりゃそうだ。でも、モデレータたちと一緒にされるのは気に食わないよな。


俺は反論しようとした....が、俺が言葉を発する前に、クレアが俺をかばった。


「いい加減にして!どうしてアベルを悪者扱いするの!?」


その顔からは、純粋な「怒り」が読み取れた。そして、クレアはカイルに歩み寄る。


「アベルは...」


この感じは止めた方がいいな。


「クレア、」


「アベルはそんな人じゃ...」


「おいクレア」


俺はクレアの肩を掴む。


「なに!?」


何故か怒りの矛先がこちらに向く。


「お、俺に怒るなよ...」


「あ、ごめん....」


「....カイルの言う通り、俺が転生者だってことは変わらない。クレアだって俺に、「この世界は転生者を嫌ってる」って言ってたしさ。」


「でも...」


俺はカイルの方に体を向ける。


正直、クレアが俺を庇ってくれたのは嬉しい。俺も転生してからはまだ若いからこの世界のことは詳しくは知らない。支配がどれだけ進んでいるのか、なぜ初代転生者は悪い方へ進んでしまったのか、俺はまだ知らない。けど、カイルにとって、こんなことはどうでもいいのだろう。カイルが望んでるのは、多分これじゃない。大事なのはきっと.....


「カイル。俺は、この世界に来てまだ若いんだ。だから、この世界については詳しくない。最初は転生者の仲間を探そうと思ってた。」


「お前...!」


カイルは分かりやすく俺を睨み付け、俺の方へ歩いてきた。


「待てよ、話は最後まで聞け。」


クレアは俺に呆れた目をして、


「それあなたが言うの?」ボソッ


と言った。


うるせえよ...って言ってやりたいけど、今は俺の話が先だ。


「最初は転生者の仲間を探そうと思ってた。けど、クレアから色々聞いて、転生者がこの世界を操っている事を知った。まあ、今言ったことはちょっとした言い訳だ。.....俺は、初代を倒したいと思っている。その為に、俺には仲間が必要だ。だからカイル、俺の仲間になってくれ。」


俺はカイルに手を差し出す。


「仲間だと?ふざけるな。」


カイルが俺の手を払う。


「初代を倒したい?俺の仲間?口では何とでも言える。」


「確かに口では何とでも言える。だから俺は考えた。」


今思えば、このときの俺はただのバカだった。


「お前、いつでも殺しに来て良いよ。」


「....は?」


「いやだから、「いつでも殺しに来て良いよ」って言ってんの。」


「お前....バカか?」


「これしか思い付かなかったんだよ!」


「...その関係が、お前にとっては仲間なのか?」


「違うさ...。だから、いつかお前が俺を認めたとき、俺の仲間になってくれ。」


「.....わかった。ただし、俺は、隙あらば容赦なく襲うからな。」


「...おう!」


このときの俺はまだ知らない。この選択が、あの悲劇を産むことを....いや、悲劇は俺がギルドに入ったときに、もうすでに




定められていたのかもしれない。





話が終わり、少しの間が空いてから、クレアが話を切り出した。


「あ、ギルド名どうする?」


「え?決まってなかったの?」


「転生者の仲間が一人入ったらその人に名前決めてもらおうってなってたから」


つまり俺に全部投げってことかよ、ふざけるなよ。


「うーん....あ、「レコンギスタ」ってどうだ?」


「レコンギスタか.....どうゆう意味じゃ?」


サディとカイル、そして店長さんは首をかしげていた。


「意味は、再征服って意味もあるんだが、俺が言ってるのは国土回復運動って意味だ。まあ、この世界をもとの状態に回復させるってゆうのでこの言葉チョイスしたんだけど...どうかな?」


「なかなか良いではないか!」


「じゃあ、今日からギルド名は「レコンギスタ」に決定!」


結構簡単に決まったな... じゃあ、今から作戦会議か。作戦会議ねぇ..... 特に話すこと無くないか?何を話すんだよ。


「よし、じゃあ作戦会議なんだけど、まずカイルとアベルをどうにかしないといけないわよね...」


「どうにか」か... まあ、そう思う理由はわかるけど。俺は能力上手く使えないし、カイルは魔獣にビビってたし。


「よし、決めた!アベルとカイルは今から私と特訓ね。」


「....は!?作戦会議は?」


「しても毎回雑談しかしないし....」


「......」


そんな訳で、俺とカイルは(半分強制で)特訓することになった。


「まあ、文句言っても仕方ないか。」


俺は渋々立ち上がった。すると、カイルも明らか嫌そうに立ち上がった。そのまま玄関へ進み、ドアを開いた。


回りには、ちらほらとこの街の住人がいる。その人たちは、全員こちらを見ている。耳に入ってくる会話は全部、「武器はこれだけで足りるのか?」とか、「準備は出来てるか」とか、そんな言葉ばかりだ。わかりきってることは、こいつらが、こちらへの敵対心が丸出しということ。


「なあカイル、」


「なんだ。」


「俺が転生者だってあのとき気づいたのは本当にお前だけか?」


「ああ、俺だけだ......多分」


「多分かー...じゃあ、お前以外にも気づいたやつがいる可能性があるってことか?」


「ああ、そうだな。」


「お前さぁ....」


住人の人たちが全員武器を構えた。


「ふざけんなよーーー!!」


俺は全力で走った。もちろんみんな追いかけてくる。しかし、誰も助けに来ない。まあ、面倒事には巻き込まれたくないだろうしな!(涙)


俺は路地裏へ逃げた。路地裏に入っても走り、隠れられそうな場所を探した。そして、ある程度行ったところで止まり、周りを確認する。


「ここなら.....大丈夫か。」


一応、上から来てないか確かめる。すると、目の前に顔があった。


「あ、」


女の子の声が聞こえた。それとほぼ同時に押し倒された。押し倒されたというより、落下したのに巻き込まれた感じだった。


「......誰?」


こっちのセリフなんだが....



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ