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転生者を嫌う世界  作者: ぶばんた
3/8

#3 魔獣の襲撃

「助けたいって...本気で言ってる?」


「あぁ、本気だ。」


俺は軽く頷いた。そうするとクレアは


「冗談もいい加減にして。村の皆はあなたたちのことを嫌っているのよ?」


と、俺に言った。しかし、俺には想像も出来ないことだった。けど、俺が転生者だとバレたらまずいのは俺にもわかる。でも、それはあくまでバレたらの話だ。自分から言うことがなければバレることはないはずだ。


「ようするに、バレなければいいんだろ?」


「それはそうだけど...」


「クレア、確かに俺は能力が使えない。でも....勝てる勝てないなんてのは、自分と周りの人間が過去と今の情報で勝手に決めてる偏見だぞ?」


「....っ!」


「だから俺は」


「でも!戦闘中に能力が発現するかもしれない。そしたら...!」


「なあ、クレアは何で俺のことを心配しているんだ?」


クレアはきょとんとしている。俺、今変なこと言ったかな?クレアはため息をつくと


「心配ねぇ....確かにしてるわよ」


と、言った。


ん?これは.....あれかな?恋愛フラグってやつかな?会って間もないけど、


「転生者の仲間なんてそんなに嬉しいことは無いし。まあ、能力がわらないのは問題だけど。」


「うるせぇ...」


一瞬で恋愛フラグとやらはへし折れた。まずフラグすらたってないか、今のは。するとクレアはまた俺を引き止めるようにこう言った。


「アベル、あなたが助けに行けば魔獣に殺されるか、村人に転生者だとバレて殺されるかのどっちかよ。」


俺は、はぁーと大きくため息をつき、そして


「安心しろ、俺は殺されない。誰も殺させはしない。」


そう言うと俺は、急いで外へ向かった。外はまだ騒がしく、人も多かった。人が逃げていく反対方向に向かい、走っていく。道中にあった武具屋の剣を取る。


「おい!それ売り物じゃ無いんだが!?」


「ちょっと借りる!」


強引な方法で武器を手に入れた俺は、魔獣がいるであろう広場へ向かう。そこではまだ魔獣が暴れていた。

不意討ちを狙ったけど、見つかってしまった。魔獣が一直線に俺の方に向かってくる。俺はその攻撃を横に避け、魔獣の後ろ足に切りつけることに成功する。それによって怒ったのか、魔獣は俺ばかりを狙うようになった。突進してきたら横に回避、隙をついて攻撃、これを繰り返した。


「よし、いい感じだ。このまま......!?」


魔獣は俺を諦めたのか、近くにいる逃げ遅れた子供を狙い、その子供の方に走っていった。


「まずい!!」


俺は急いで子供と魔獣の間に向かって走り、剣で魔獣の攻撃を子供から反らす。すかさずカウンターをする。そして、隙をついて子供を離れた場所まで逃がした。


「これでよし。後は魔獣を.....」


しかし、逃がすことを意識しすぎていた。振り返るともうすでに魔獣が攻撃を仕掛けてきていた。


「しまっ....!!」


咄嗟に剣を盾のようにして使い、魔獣の攻撃を防ごうとする。しかし、俺はいとも簡単に剣ごと吹き飛ばされる。そして、村人の家の壁にぶつかった。俺はよろめきながらも立ち上がり、剣を構える。すると、逃げていた男性が戻ってきて


「もういいよ!!あんたも逃げろ!!」


と言った。


いつもの俺なら逃げていただろう。しかし、何故か俺は逃げなかった。本当はここから逃げ出したい。でも何故か逃げなかった。なぜならこの魔獣は、俺が倒さなければいけない。もしあの魔獣が俺の匂いを嗅いでここまで来たとするなら、これは...俺のせいだ。村人の怪我も全部、俺のせいだ。だから俺は逃げない。逃げてはいけない。


「ここで逃げるわけには......いかないんだ!!」


すると俺の髪が赤く染まる。それと同時に体の動きが軽くなる。


「何だ?急に体が軽く...」


自然と力も溢れてくる。これなら...


「...勝てる!」


突進してきた魔獣の攻撃を素早くかわし、カウンターをする。そして、すぐに振り返ると同時に上へジャンプし、上から切りつける。すると魔獣が怯んだ。


このチャンス、無駄にはしない!


俺はすかさず剣で連撃を与える。そして、


「はぁぁーーー!!!」バシュ!


俺は魔獣にトドメをさした。魔獣はその場に倒れている。


「倒した.....のか?.......っ!?」


俺は、クレアに言われたことを思い出す。


『戦闘中に能力が発現するかもしれない。そしたら....!』


転生者だとバレて殺される....だったな。さっきのが能力のおかげなら、早くここから離れた方が良さそうだ....な!?


広場の周りから逃げていた村人たちが俺を囲むように寄ってくる。


「まずいな.....」


一人の男性が、俺の前で立ち止まった。よく見ると、俺に逃げろと言った人だ。


この人はせっかく俺を心配してくれたのに、いきなり気持ちを裏切られたらそら怒鳴りたくもなるな。


心配事ばかりで頭がいっぱいになる。すると、男性が口を開く。怒鳴るな、これは。


「あんた凄いな!ありがとう、カッコよかったぜ!」


ほら怒鳴って......ん?あれ?


「怒らねえの?」


「..?よくわかんねえけど、あんたのおかげで誰も死なずにすんだんだ!そんなやつになんで怒るんだよ。」


「あ、あぁ.....そうだよな....はは......」


こいつらが俺を殺そうとしない理由はわからない。俺が能力を使ったこと気付いてないのかな?まあ能力かどうかはわからないけど。そんなことより、クレアはどうしてるだろうか。


      





クレアは、俺が剣を貰った武具屋にいた。え?盗んだ?....勘の良いガキは嫌いだよ。武具屋の店主はいつもの元気は無く、地面に座り込んでいた。


「.......え、何してんの?」


「あぁ、クレアか。実は店一番の剣が盗まれたんだ.....」


「あー、御愁傷様です。そんなことより...」


「そんなこと?お前、ふざけんなぁ!?こっちは店一番の剣盗まれたんだぞ!?盗ったやつは魔獣倒したら返すって言ってるけど絶対嘘じゃん!」


「ん?その人、もしかして盗んだのって黒髪のボサボサ頭の子?」


「?ああ。」


「絶対アベルじゃん」ボソッ






クレアは俺ががいる広場に来た。村人の皆に囲まれていた俺を心配したのか、


「っ!?え、本当に発現したの?助けないと....」


俺と村人は、何故か仲良く話していた。クレアは村人を掻き分け俺を見つける。俺は


「いやー、意外といけるもんだよ?」


みたいな適当なことを話していたら思いっきりチョップをされた。


「お前らも一回戦ってみたら..」ゴスッ


俺は痛いとも言う間もなくその場に倒れる。


クレアは黙って俺の襟をつかむ。


「帰るよー」


「は、はい」


クレアは俺を引きずりながらその場を離れる。








クレアに引きずられながらどこにいくのかを気にしていると、クレアは武具屋の前で止まった。


「はい、剣返して」


「あ、そうだったな.......あれ?」


剣が無い、となるとあるのはあそこだな。


「どうしたの?」


「忘れた」


「え、忘れた?」


「うん忘れた」


「どこに?」


「広場」


「.....取ってきて、ね?」ニコッ


「わ、わかった...」


笑ってるはずなのにクレアが恐い。仕方ないから取りに行こう。前にこいつが女神みたいって言ったやつ出てこい。ぶん殴ってやる。






広場に着いた.....けど、無い。


剣が無い。


なんでこうなるかなー....


嫌な予感がする...


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