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転生者を嫌う世界  作者: ぶばんた
1/8

#1 転生、そして出会い


 20XX年、俺は死んだ。

 日本を襲った大災害、過去最大の地震が発生し、その地震は本州、四国を主に日本中を揺らし、その揺れが富士山の巨大噴火を誘発した。富士山の噴火で出てきた岩石は隕石のように大量に降り注いだ。日本付近の海は噴火による有毒ガスが溶け込み死の海となり、地上は地面が割れ、隕石、火の海となった。本州、四国のほとんどの人間が命をおとした。日本はもう、ほとんどの地域が人の住める環境ではなくなっていた。こんな状況の中で死んだ俺の人生はろくな人生じゃなかった。友達だった人から虐めを受け、先生にも裏切られ、一番頼りにしていた親にも見放された。そして最後がこれだ。もっとマシな人生を送りたかった。


「死なないでよ...ねぇ...一人にしないでよ...」


朦朧とする意識の中、そんな声が聞こえた。







あれは...誰の声だったんだろう...。







 見知らぬ森の中で俺は目が覚めた。死後の世界かと思ったけど違った。感覚はちゃんとある。


生きてる?


「俺、死んだはずだよな?ここはどこなんだ?」


当然の疑問である。死んだと思ったら生きていて、目が覚めると見知らぬ森の中にいたのだから無理もない。


「もしかして、アニメとかでよくある異世界転生ってやつなのか?リゼ〇とか、転〇ラとかの!?もしそうだったら、俺にも能力とかあったりするのかな!?」


そんなことを一人で喋っていたが、自分がどういう状況かに気付く。うん、やばい。真夜中の森に、しかも何も知らない森の中に一人という状況だ。


「にしても静かだな。ここが本当に異世界なら、魔獣とかが出てきてもおかしくな...」


突然のことで反応が遅れている俺に、草の影から大きめな狼が飛び込んできた。魔獣だ。爪で攻撃してきた魔獣に、俺は為す術も無く吹き飛ばされる。右肩から左の横腹にかけて肉を抉られている。傷は浅い方だと思うが、かなり痛い。


「ぐっ..ぁ...くそっ」


傷口から鮮血が流れその場でもがき苦しむ俺に、魔獣がじりじりと迫ってくる。死を覚悟した...そのときだった。目の前に見知らぬ女性が現れた。その女性は巧みに魔法を使い、魔獣を追っ払った。


そのときの俺には、その女性が女神のように見えた。心穏やかで美しく、笑顔で誰にでも救いの手を差し伸べる女神のように。


「誰...だ...?」


俺の意識はここで途切れた。






「ん...」


目覚めると、そこには俺を助けてくれた女性が俺の顔を覗き込んでいた。


「あ、起き..」


「うわぁ!!」


「!?」


ゴンッ!!

驚いた俺が勢い良く体を起こしてしまったため、その人のおでこに俺のおでこが強くぶつかる。鈍い音とともに両者おでこに痛みが走る。


「いってぇ...」

「いったぁ...」


お互い痛みに耐えてるなか、俺は周りを見渡す。知らない部屋で、綺麗とは言い難いが汚いというわけでもない。異世界物にありがちな部屋だ。すると彼女は、俺にこう訪ねた。


「あなた、どこからきたの?山1つ越えたら町があるけど、そこからきたの?」


なんと答えればいいのだろうか。目が覚めたら森の中にいたなんて言っても信じてもらえないだろうし、信じてもらいたくて近くの町の名前を言おうと思ってもまず近くの町の名前を知らない。仕方ない。正直に答えよう。


「分からない、気が付けばあの森の中にいた。」


「なるほど、転生者なのね。」


...ん?この人、転生者に何度か会ってるのか?


「たまにあなたみたいな人があの森から出てくるの。どこからきたのか聞くと知らない地名ばかり答える。町では転生者がきた転生者がきたって言ってたから、多分あなたもそうよね?」


「ああ、そうだ。」


そう答えると、彼女は気の毒そうな顔をした。なぜなのか訪ねる前に、彼女は答えてくれた。


「あなた、転生者だとばれたらおしまいと思った方がいいわよ。」


「おしまいってばれたら殺されるのか?まさかそんなことは...」


「あるわよ。」


「え?」


「この町...いえ、この世界に、転生者は嫌われる存在になってしまったの。」


「...はい?」


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