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ワード1ページ小説

今日、告白されます

作者: 神月 里央

「ごめんまった?」

そう言って、私は彼の前に姿を現した。

「いや、大丈夫だよ」

「それで、話って何かな?」

部活は終わり、人気のない放課後、私は意中の男子に体育館裏に呼び出されていた。

空はオレンジ色に輝いて、周りには誰もいない…これは十中八九今から目の前にいる彼に告白される。

「えっと…」

「うん」

この空間にいるだけで、ドキドキと高鳴る鼓動が、私の気持ちも高揚させる。

「その、ちょっと落ち着くから待って」

そう言って彼は耳を真っ赤にして、ゆっくりと深呼吸をする。

「うん、大丈夫。ちゃんと待つから、ゆっくりでいいよ」

そう言うと、私は彼との時間を頭の中で思い出す。

ここまで長かった。私が彼の思いに気が付いたのは去年の春だった。妙に目が合うな?とは思っていたが、自意識過剰、気のせいだ。そう言い聞かせて居た。が、委員会の荷物運びを手伝ってくれたり、部活が終わるのを見計らって、一緒に下校する事が多くなってくると、もしや?と思うようになっていった。

そこからは私も気にしだして、夏になると、皆で夏祭りに行こうと誘って、迷子のふりをして、彼を連れて抜け出してみたり。

秋には、修学旅行の自由時間に二人きりで周ろうと言ってデートしてみたり。冬なんて、クリスマスに今日は家族居ないんだ。なんて言ってお家デートもしたりして、全力で告白のアシストしたけど、一向にそういうそぶりも見せないから、半分以上、私の勘違いなんじゃないかと思っていたのだ。

今更、数分待つことなんて苦じゃない。

そんなことを考えてると、ようやく彼の重かった口が開く。

「好きです!」

うん、わかってた。わかってたけど言葉にされると、流石にこう、胸に来るものがあるわよね。

「わ、わたし…」

「友達から始めませんか?」

「え?」

今、私は告白の返事を「私も好きでした」なんて、定番のセリフを言おうとしていた。なのに彼はなんて言った?お友達から?…え?世間では祭りに行ったり修学旅行で周ったりって友達でするんじゃないの?それでなにあんたは「言い切ったぜ」みたいな満足そうな顔してるの?

彼の顔をみて私は一つ決意する。

「私も好きです。友達じゃなくて、付き合ってください」

こいつ、こっちから行かないとダメだな。

こんなヒーローは嫌だw

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