6-12 バタ足
「こないで」
サタン子ちゃんが示した明確な拒絶の意志――。
短いつき合いの中で、ハッキリと拒まれたのはこれが初めてだった。
やりたくないことを「いやだ」と拒まれることはあったけど、オレ自身が拒絶されたことはなかった。
他人に拒絶されることには慣れているオレだけど、サタン子ちゃんに拒まれるのは……結構ダメージでかいな…………。
だけど、今はオレの気持ちなんかどうでもいい。
問題なのは、サタン子ちゃんの気持ちだ。
サタン子ちゃんはどうしてオレを拒絶したのか?
先ほどの話でいえば、「オレを低く評価している」か「サタン子ちゃん自身を低く評価している」か。そのどちらかだ。
思い当たる節がある――。
オレがこう言うと「どうせナニかやらかしたんだろ?」ってツッコみたくなるかもしれない。
日頃のオレの行いを振り返ると、そう思われてもしゃーないかな、と自分でもそう思う。
だが、今回に限っては、それは誤解だ。
いくらイイカゲンでテキトーなオレでも、サタン子ちゃんみたいに可愛い幼女相手には誠実な態度で接するぞ!
いつも楽しく二人で遊んで、サタン子ちゃんはゴキゲンなんだぞ。勇作パパって呼ばれて、ちゃんと懐かれてるんだぞ。
前回のバイト時も、砂場にでっかいプールを作ってワイワイ遊んだくらいだ。
「水着幼女と戯れるとか、死ねよ、このペド野郎!」と言われるかもしれんけど、むしろ、そういうこと言う奴こそ、「うらやまけしからん」と思っている潜在的ペドだから要注意だ。
あくまでもオレは保護者的立場で、サタン子ちゃんにいろんな遊びを体験させてるだけ。プールもその一環にすぎない。ほら、子どもって水遊び好きだしね。
実際、サタン子ちゃんも大喜びだったし、オレの方も――ちゃんと問題なく着れているかどうか、キュートな水着姿を全身念入りにチェックしてあげたり、柔らかい太ももをしっかりと両手で持ってバタ足のやり方を教えたり、危なくないように密着してウォータースライダーを楽しんだり、その際にちっちゃくてプリティーなお尻に食い込んだ水着を直してあげたり、身体が冷えないようにバスタオルで全身を拭いてあげたりしたくらいだ。
ほら、疚しい行為なんか、これっぽっちもなかったでしょ?
それにサタン子ちゃんの水着だって、脱ぎ着しやすいようにと配慮して紐ビキニを選んだうえに、ちょうちょ結びが出来ないサタン子ちゃんの代わりにオレが紐を結んであげた、って感じの見事なまでの親心っぷりだしな。
というわけで、オレの評価が下がるような要素は皆無だ。
そうなると、残るのは「サタン子ちゃん自身を低く評価している」という可能性。
それについて、オレには思い当たる節があった――。




