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6-9 山賊砦

 オレの散歩圏内ギリギリに大きな市民公園があった。

 地元民なら誰でも知ってるくらい有名な場所だ。

 片道2時間以上かかる場所だったけど、そこが好きだったオレは何度も足を運んだ。


 住宅街の小さな公園とは違い、休日になると千人以上も来園者がいるから、オレが紛れ込んでいても不審者扱いされづらい――もちろん、それも理由のひとつだ。


 けれど、それよりもそこのウリである巨大アスレチックに心惹かれたからだ。

 通称『山賊砦』――小高い丘の斜面を覆い尽くすように設置されたそれは圧巻だった。

 山口県に同じ名前のオモシロ飲食店があるらしくて、いつか行ってみたいなと思っているけど、まあ、それは関係ない話だ。


 いいよね、アスレチック。トキメクよね。

 子どもの頃はそこまで興味なかった(砂場でひとりで遊んだりする方が好きだった)けど、大人になってみてその魅力に気づかされた。アクションゲーム感覚で楽しそうだよね。

 

 幼少時は身体が小さいこともあって、周りの子たちに比べて運動能力が劣っていた。

 だから、「自分は運動が得意じゃない」と思い込んでいたし、苦手意識ももっていた。

 小学生の頃の「運動ができる奴が女子にモテる」っていうのも嫌だった。


 それに追い討ちをかけたのが――中高時代の部活動だ。

 そのせいで、運動やスポーツが壊滅的に嫌いになった。


 ほんのちょっと早く生まれただけで意味もなくエラソーなセンパイコーハイ関係とか。

 毎回初戦で敗退してる弱小チームでもガムシャラに勝ちを目指さなきゃいけないところとか。

 ロクなアドバイスもしないでブチ切れてることだけがお仕事な顧問の先生とか。

 サッカー部のエースと付き合ってる美人女子マネージャーとか。


 オレには徹底的に肌に合わなかった。

 楽しくやろうとしてるだけで、「マジメにやれ」って怒鳴られるとか、ホント意味不明だった。


 まあ、最近ニュースで話題になってるブラック部活の実態を知って、顧問を押し付けられてる先生方もイロイロと大変なのね、って思わなくもないけど、いったい誰得なんだろうね?


 そんなわけですっかり運動嫌いになったんだけど、引きこもり時代に筋トレにハマって、「身体を動かすこと自体は結構楽しい」って遅ればせながら気づいた。

 オレみたいに部活動のせいで運動嫌いになった奴って多いんじゃね?

 

 そんでまあ、運動の楽しさに気づいたコミュ障ニートにとっては、アスレチックってのは正にピッタリなわけだ。

 ゲーム感覚だし、ひとりでできるし、道具も必要ない。

 テニスの壁打ちとか、サッカーのリフティングとかも楽しそうだけど、ラケットもボールも持ってないからね。

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