6-5 蒲田駅前店
ゼル子ちゃんにホームから異世界へと飛ばしてもらった。
何度も来ていてもうお馴染みの、砂場だけの世界。
だが、いつもと違って、そこにいるはずのサタン子ちゃんはいなかった。
その代わりに、見慣れない木製の扉――ド○えもんの『どこ○もドア』みたいに、その扉だけがポツンと砂場の中央に立っていた。
うーん、シュールだ……。
――現在、午前7時48分。
ごっちんには「正午までにバイトを終わらせて帰ってこい」と命じられている。
だが、実際オレに残されている時間はそれよりちょっと短い。
昨日のゼル子ちゃんの説明によると、異世界に滞在するには、1時間あたり『スタミナ』を1ポイント消費する。
昨日の時点での『スタミナ』は3ポイント。
日付が変わって1ポイント増えたので、計4ポイント。
今回この異世界に滞在できるのは4時間だ。
実際、スマホの時刻表示の下には、もうひとつの時間が表示されていて――
【03:58:43】
――刻々とカウントダウンを続けている。
この表示がゼロになる前に、オレはバイトを終わらせなければならない。
じゃないと、昼飯抜きだ。
まあ、カ○リーメイトひと箱で3日間しのいだりしてきたオレにとっては、昼飯抜きくらい屁でもないんだけど、ごっちんの怒りっぷりだとそれだけじゃ済まなそうだし、ちょっとは真面目にやらんとな。
ごっちんに部屋を蹴り出されたときには、「どうやって終わらせんだよ」と頭を抱えた。
だって、今までのバイトは適当にサタン子ちゃんと遊んで、なんとなくキリがいいところで引き上げてただけだからね。
けど、ゼル子ちゃんの説明のおかげでなんとか目星がついた。
スマホから『勇者アプリ』を起動して、ステータス画面下部に注目する。
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【MISSION】 【ITEM】 【SHOP】
【CONTACT】 【HOME】
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並んでいるのは『勇者アプリ』で実行可能なコマンド一覧だ。
【HOME】は昨日聞いたとおり、ワンタップでホームに転移できる機能。
残りについては、さっきゼル子ちゃんに3分間で駆け足説明してもらったばっか。
【ITEM】では『神様ネットスーパー』で購入したアイテムの履歴を参照できる。
【SHOP】から『神様ネットスーパー』で買い物ができる。
【CONTACT】で関係者と通話やメール、メッセなどで連絡可能。
今のところは、ごっちんとゼル子ちゃんの2人だけしかないけど、実家と職場しかアドレス帳に入っていなかった昔のオレのケータイよりはマシだ!
しかも、そのときの登録名は「ミサト」と「アスカ」だったっていう、オレの黒歴史だ!
これだと、着信履歴を覗かれても見栄を張れるし、ロクでもない通話の前に心を和ませれるからな。
二股してる人はバレないように女の子のアドレスを「ド○・キホーテ蒲田駅前店」とかで登録するらしいけど、それの逆バージョンだね。
うん…………思い出しただけで死にたくなるな。




