6-1 自爆テロ
勇作くんは、今日も朝からバイトに励んでおります。
いやー、こんな予定じゃなかったんだけどね……。
どうしてこうなった!
昨晩は鍋パやら、ゼル子ちゃんとのおしゃべりやら、なんやらで寝ついたのは日付が変わってからだった。
それなのに、今朝は7時起床!
ちょっと前の勇作くんからは考えられない生活サイクルだ。
朝7時とか、そろそろ太陽がウザくなってくるから、ぼちぼち寝るか、って感じだったな。
ちなみに、7時起きは別に今日に限った話じゃあない。いつものことだ。
こんな健康的な生活を送れているのも、ごっちんのおかげだ。
毎朝、ごっちんが優しく起こしてくれるからだ――。
鼻と口をガムテープで塞ぐとか。
それを全力で引っぺがすとか。
まぶたを挟んだ洗濯ばさみにヒモを付けて、それを思いっきり引っ張るとか。
金色のタライを顔に落とされるとか。
寝耳に水だけじゃなくて、寝鼻に水や寝口に水も体験済みだ。
ド○フのコントかよ!
ちなみに、一番キツかったのは寝鼻に水だ!
まさか蒲団の上で溺れ死にそうになるとか、想像もしてなかったぜ……。
ごっちんからの愛をビンビンに感じるぜ!
一応、ごっちんの言い分としては、「声をかけても起きない勇作が悪い」だそうだ。
うーん、まあ、わからんでもないが……。
それにしたって、ラブコメのお約束を無視しすぎじゃありませんかねえ?
せめて「フライパンとオタマをゴンゴンゴン」くらいにしてくれませんかねえ?
というわけで、この生活を始めて身を持って学んだのは、『寝耳に水』よりも『寝鼻に水』の方が効果的ってことだ!
つーか、ことわざや故事成句って、現代人の感覚からすると、意味不明なものも多いよね。『赤子の手をひねる』とか。
コレ、通常は「スゲー簡単」って意味で使われるけど、実行するのはベリーハードだろ。
だって、そこら辺にいる赤子の手をひねろうとしたら、100パー通報されるし、下手したらその前にブン殴られるよな。
「じゃあ、代わりに親戚の子どもで」って思っても、妹の完全ガードによって、オレは姪っ子と同じ部屋に入れないし。
だからって、自分の子どもなんて、それこそ一番難易度が高い。その前のステージが絶対クリアできないからね。
つまり、『赤子の手をひねる』の現代的解釈は、「通報しますた」で「おまわりさんこっちです」で、些細な利益のために社会的に死ぬってこと。要するに、『自爆テロ』って意味だ。
これで、みんなもひとつ賢くなれたね!
やったね!
テストに出ても、もちろん責任なんか取らないけどね。




