5-25 エウリアン
「でも、今日はもういいや。また今度で」
「ええええええええええぇぇぇぇええぇええ~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?!?!?!?」
再び、ゼル子ちゃんの絶叫が響き渡った――。
「なっ、なんでですかぁ~!? もっとお話しましょうよ~~~!!」
以前、秋葉原でとっ捕まえられたエウリアンのお姉さんに「帰る」って言ったときの反応――それに負けず劣らずの必死さでゼル子ちゃんに食い止められた。
腕とかガッシリとホールドされてるし……。
「酔っ払ってるから、これ以上アタマ使うのメンドくさい」
「うぅぅ~~。お酒を勧めたのが、裏目に出ましたぁ~。酔っ払わせてイチャイチャ作戦が台なしですぅ~。勇作サマは全然手を出してこないですぅ~。おかしいですぅ~」
うなだれたゼル子ちゃんが小声でブツブツと呟いている……。
酒のせいなのか、なんなのか、キャラ崩壊している気もするが、めんどくさ、もとい、カワイイからスルーで。
「まあ、残りのヤツはだいたい想像がつくし。今度、暇な時に確認しておくよ」
「はい、お願いしますの」
「おけおけー」
「あ、でも、今度いらっしゃったときに、わたくしからも改めて説明させていただきますの」
「おう、任せたぜ」
そろそろ本格的に眠くなってきたから、投げやりに応対していた。
そうしたらなぜか、ゼル子ちゃんが水を得た魚のように瞳をキラキラさせ始めた。
「こういう強引でオレサマな勇作サマもカッコイイですぅ」
比喩的表現じゃなくて、本当に目がハートマークになってる……。
すげーな、第二位階天使!
つーか、なんだその評価は……。
比呂子さんじゃあるまいし。
オレの場合はただ――――協調性がないだけだ。
小学生の頃から通知表に書かれ続けてきたんだから、間違いない。
それにしても、エライ好意的な反応だな。チョロインか?
職場で誘われた飲み会を「眠いから行きません」って断って、周囲が凍りついたときとは正反対だ。
――いや、オレだってわかってたよ。
断っちゃいけない空気だったって。
でもさ、オレが断ったとき、オマエらどうだったよ?
半分以上の奴らは「俺だって行きたくないのに、なにお前だけ断ってんだよ」って顔してたじゃねーか!
そこまで無理してみんなに合わせて、それで楽しいんか?
そんなんが「空気を読む」ってことだったら、オレには到底不可能だ――。
まあ、こんなんだから、協調性がないって言われるんだよな。
嫌なことを思い出して、心がささくれだったけど、ゼル子ちゃんの笑顔を見てたら、自然と癒やされた。
「それでは、最後にひとつだけ説明させてくださいですのっ! とっても大事なことですのっ!」
「じゃあ、手短にお願いね」
まあ、大事なことならしゃーないな。
「はいですの。コマンド一覧にある【HOME】をタップしていただければ、いつでもすぐにココに来られますの」
「へー、便利だね」
「はい、そうですの。それに、ココからでしたら、わたくしのチカラで魔王のいる異世界に即座に転移可能ですの」
「ってことは、わざわざお風呂で精神統一しなくっても済むってこと?」
「はいですの」
おお、そりゃあ、本当に便利だ。
「いつでも大歓迎ですのっ! 気軽に会いに来てくださいですのっ! お待ちしておりますのっ!」
「おう、またなっ!」
名残惜しそうに手を振るゼル子ちゃんに見送られて、オレはホームを後にした――。




