5-16 女の子の匂い
清楚なゼル子ちゃんのあまりのカワイさに魅了され、混乱していたオレだけど、脳内でイロイロぶちまけたおかげで、だいぶ落ちついた。
そんなオレにもう一度微笑んでから(追加攻撃とか卑怯すぎる!)、ゼル子ちゃんは話を切り替えてきた。
「それでは次に、勇作サマの仕事内容――勇者システムについて、お話しいたしますね。ちょっと勇作サマのスマホを拝借してもよろしいですか?」
オレは手に持っていたスマホを「はいよー」とゼル子ちゃんに渡した。冷静そうに振る舞っているが、内心はドキドキが結構ヤバい。
ゼル子ちゃんは受け取ったそれを手慣れた様子でササッと操作すると、「はいっ、お返しいたします」とオレに返す。
「今、勇作サマのスマホに『勇者アプリ』をインストールいたしました」
ゼル子ちゃんは上半身をオレの方に乗り出し、スマホの画面を指差した。
「はい、コレですね」
オレの頭のすぐ横、お互いの耳がふれあいそうな距離にゼル子ちゃんの頭がある。
ごっちんは柑橘系の匂いだったが、ゼル子ちゃんからは「五月の新緑を思わせるさっぱりとした香り」がする。胸いっぱい、思いっきり吸い込み、心身ともにリフレッシュしたくなる。
ちなみに、比呂子さんはケモノの臭いだ。汗臭い。風呂とかあんま入ってない感じ。でも、それが不快じゃない。なんか生物的な本能を刺激される。いい臭いだ。
それと、サタン子ちゃんは洋菓子の匂い。バターと生クリーム、隠し味にヴァニラ。思わずベロペロしちゃいたくなるね。
ひとりひとり違いがあって、そのどれもが格別だ。女の子の匂いってやっぱりサイコーだね――。
――コホン。
ゼル子ちゃんのスラッとした指先の示した場所――オレのスマホのホーム画面には見慣れぬアイコンが追加されていた。
古き良きドット絵の勇者然としたキャラ。
右手には銀色の剣、左手にはホームベース型の盾。
全身を青い鎧と兜で覆い、真っ赤なマントを羽織っている。
うん、テンプレだ。
早速、タップしてみた。
――勇者ゆうさくの冒険――
ファ○コン時代みたいな、ドット数の少ないつぶれた白文字が画面に浮かび、つづいてオープニングっぽいのが始まった。
壮大な音楽とともに、これからの冒険への好奇心をかきたてるCGが表示され――すかさず、オレは画面をタップしてスキップ!
「ええええええぇぇぇぇえええ~~~~~~!?!?!?」
なんかゼル子ちゃんが絶叫してる。
「ん?」
「なんでオープニング飛ばしちゃうんですか!?」
ゼル子ちゃんが「高菜、食べてしまったんですか!!!!????」のラーメン屋みたいに驚愕している。「マナーに反する人はお帰りください」とか言われちゃうんかな?
「え、だって、メンドイじゃん。どうせテンプレでしょ?」
「て、テンプレって…………。ガンバって作ったのにぃ…………」




