5-14 りんごジュース
という葛藤を経たうえで、「その格好はゼル子ちゃんの趣味なの?」と尋ねてみた。できるだけニュートラルに。もしゼル子ちゃんが好んでギャルの格好してるんだったら困るからな。
幸いなことにも、この格好をしている理由は比呂子さんが指定したからだった――ひと安心だ。なんでも、「ギャルってオモレー存在だよな。だから、オマエもギャルの格好しとけ」だって。
相変わらず、テキトーに生きてるな、あの人。でも、同性キャラへの対応なんてそんなもんか。もし、ゼル子ちゃんじゃなくて男キャラだったら、オレも真面目に考えずに変な格好させるわ。
ゼル子ちゃんのデフォルト設定は空色のロングスカートに白いシャツと薄桃色のカーディガンを合わせた、清楚な正統派お嬢様といった格好だった。メイクもしているのかどうかわからないくらい自然なものだし、ネイルもシンプルなスクエアのフレンチネイルだ。
残念ながら、黒髪じゃなくて金髪だけど、下品な色味じゃないし、洋風な顔立ちのゼル子ちゃんにはこっちの方が似合うかも。うん、いいねいいね。
ゼル子ちゃん本人も気に入っている格好らしいので、新しい衣装を購入するまではこれでいってもらうことにした。これからはゼル子ちゃんの好みを押さえつつ、少しずつオレの趣味も入れた格好を増やしていこう。うはー 夢が広がりんぐ。
ゼル子ちゃん着せ替えのこと考えたら、部屋のカスタマイズとか、もはやどうでもいいな。つーか、「夢が広がりんぐ」のりんごジュースの人は今頃元気にしてんのかな? カーチャンにマッサージ器買ってあげれたのかな?
「そして、勇者登録の一番の特典は――」
隣に密着したまま座っているゼル子ちゃんが説明を続ける。
着替えたせいで露出は減ったが、ふんわりとした柔らかいニットのカーディガンの肌触りが心地よかった。やっぱり、こういう格好の方が心安らぐな。
「――わたくしといつでもお話ができることですっ! 勇作サマでしたら、いつでも大歓迎ですっ! いっぱい来てくださいねっ!」
腕を組んで、上目遣いでそんなこと言われたら、アカンやろ。
キャバクラというビジネスが成立する理由がわからんでもない。
まあ、キャバ嬢みたいにケバいのは好きじゃないし、そもそも、完全に女性不信なオレは「どうせ金づるとしてしか見てないんだろ」って思っちゃうから、お金貰ってもキャバクラとか行かないけどな。
それと、「女は男のことATMとしてしか見てないんだろ」と思うから、結婚も絶対にしない。残高ゼロだけどな!
そういえば以前、「最近は清楚系キャバが流行ってる」ってネットで見かけたから検索してみたことがある…………。
アイツら義務教育終えたんか?
つーか、ホントに日本人なんか?
『清楚』って言葉の意味知らんのか?
知らんなら、少なくとも辞書くらい引け!
辞書の使い方を理解するほどの知性がないんなら、せめてネットで画像検索くらいしろ…………って思ったけど、試しにやってみたら――
グー○ル先生も間違っとるやん!!!
こんなん清楚ちゃうわーーー!!!!!




