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5-7 ダブルミーニング

「――ナビゲーション・エンジェルの天使河原てんしがわらエンゼル子と申します。どうぞお見知り置きください」


 ゼル子ちゃんが丁寧に挨拶してくれた。

 ナビゲーション・エンジェルって言ってるけど、よくゲームに出てきて色々と説明したりプレイヤーの手助けしたりしてくれるアレか?

 それにしても、またもや、なんの捻りもない北海道の道路みたいにどストレートな名前だな。


「あ、どもっ。真野勇作です。なんかいきなり勇者やることになって、全然勝手もわからないんでイロイロとよろしく」

「はい、なんでもお気軽にお尋ねください」


 それじゃ、キミの事もっとよく知りたいな。

 落ち着いたところでゆっくり話そうよ。

 とかそんな気の利いたナンパフレーズをオレが言えるわけもないので、とりあえず無難に返事しておいた。


 ところで、オレが「うん」とか「ああ」とか言っただけで、プゲラみたいな見下した態度をとる人いるけど、あれなんなの? ナニサマなの?

 「うわ、キョドっててキモい」とか思ってんじゃねーよ!

 しゃーねーだろ、コミュ障なんだよ。ほっとけよ!

 それと、「なんで話し始めに『あっ』ってつけるの?」とか聞くんじゃねー。

 うるせーよ。大きなお世話だよ。これがオレの普通なんだよ!!!

 結構ハート削られるからそういうのマジやめてくだしあ。


 ゼル子ちゃんはそんな態度をとることもなく、普通に会話を続けてくれた。


「それでは早速、勇者登録いたしますね」


 そう言うとゼル子ちゃんはオレの方へ歩み寄り、オレの両頬を柔らかい両手で挟み込んだ。

そのまま顔を近づけて、「目を閉じて、じっとしていてくださいね」と優しく囁く――。


 オレは呆気あっけにとられて、ゼル子ちゃんの言う通りに目を閉じた。

 ゼル子ちゃんの柔らかい舌がオレの口唇を押し入るように侵入してきて、口内で激しく動きまわった。

 オレとゼル子ちゃんの二枚の舌がニュルニュルと絡み合い、もつれ合い、うごめき合う。視覚が遮断されている分、より敏感にそれが感じられた。

 ゼル子ちゃんの舌が動くたびに、ザラザラとした舌の表面とツルツルとした舌の裏面――二種類の刺激がオレの口腔内全体に絶え間なく襲いかかり、弱電流が流れるようなピリピリとした快感が全身を走り抜けるのをオレは只々受け身になって感じることしかできなかった。ゼル子ちゃんの甘い唾液がオレの脳髄まで溶かしていく――。


 永遠とも思えるような恍惚の時間が不意に途切れ、ゼル子ちゃんがほんのりと上気して赤い顔をオレから離した。どちらのものともいえない、混ざり合った二人の唾液が糸を引いていた。

 それをペロッと舐め取って、ゼル子ちゃんが微笑む。


「ごちそうさまでしたっ!」


 ゼル子ちゃんマジ天使(ダブルミーニング)!!!


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