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5-3 酔っぱらい

 鍋パが終わってすっかりデキあがったダメ人間ふたりは、シラフのごっちんに後片づけをすべて任せきって、こたつでグダグダしていた。

 気持ちよくガンガン飲んでいたオレも相当だったが、初対面の日とは違って比呂子さんもひどく酔っぱらっている。あのときはいくら飲んでも酔っ払う気配は微塵もなかったのに。

 まあ、こういう日もあるんだろう。いつもと同じ飲み方してもコンディション次第ですげー酔ったりするからな。

 いいことがあったときとか、イヤなことがあったときとか、すげーイヤなことがあったときとか、めちゃくちゃイヤなことがあったときとか……。

 でも、本気で死ぬほどイヤなことがあったときは、いくら飲んでもぜんぜん酔えないんだぜ…………思い出しただけで死にたくなるな。


 笑い上戸だったり、泣き上戸だったり、ノリノリで説教始めたり、酔っ払い方はいろいろなタイプがあるけど、比呂子さんの場合は――――エロかった。

 今もオレの背後から密着、オレの肩にアゴを乗っけて甘い声を出してくる。


「ゆーさく~、イチャイチャしよ~」


 ナンダコレ?


「いや、しませんよ」

「えー、つまんなーい」


 そう言いながら、オレの太ももをさわさわしてくる。

 比呂子さんの柔らかく細い指先が生み出す快感に負けそうになるが、それを理性と根性で無理矢理にねじ伏せた。


「こういう酔っ払った勢いで、とか好きじゃないんすよ」

「ゆーさくは真面目すぎー」


 今までいろんなキャラの比呂子さんをみてきたし、セクハラも散々されたが、それは明らかに演技とわかるものだった。だけど、今日はそれとは違う気がする。なんとなくそう思うだけなんだけど。酔っ払って素が出ちゃったのか? 抑圧されたリビドーがはっちゃけっちゃってるのか?


 けど、なんでオレなんだろう?

 比呂子さんだったら、ちょっと猫かぶればどんな男でもよりどりみどりなはずだ。

 誰でもいいのか?

 そこにいたのがたまたまオレってだけなのか?

 だとしたら、それは絶対に嫌だ。はげしく不快だ。

 オレのことをワンオブゼムと思っている相手にどうこうする気はこれっぽっちもない。


 それに、こうしてオレと比呂子さんがイチャついてると、ごっちんが不機嫌になる。

 今も皿洗いしている後ろ姿からドス黒いオーラがパない。


「ゆーさく、ぎゅっとして~」


 比呂子さんの猫撫で声に食器がぶつかりあうガチャンという音が重なった。


「あんたたち、いいかげんにしなさいよっ!!!」

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