4-17 土下座でお願い
ごっちんが抱えていた大荷物。
そこにはオレの生活必需品がひと通り揃えられていた。
タオルや歯ブラシなどの生活雑貨や衣類。
ウニクロの大きな袋には下着やスウェットだけでなく、外出用のシャツやGパンが着回すのに充分な数だけ揃っていた。どれも無難なデザインで、もちろん文句のつけようもない。メイド服は入っていなかった。
つうか、新品の洋服とか何年ぶりだ?
さらには、暖かそうなダウンジャケットまである。これで、ネカフェの店長さんにもらった中古のペラペラトレンチコートともおさらばだ。
あんなんハードボイルドごっこするくらいしか使いみちがない。ダウンに比べたら防寒耐性ゼロに等しいし、微妙に前の持ち主の加齢臭が漂ってるからな。
今度、挨拶がてら店長さんに返しに行こう。オレが野垂れ死なないか、心配してくれてたからな。こんな恵まれた生活してるとは想像もしてないだろう。
まあ、いざ返しに行く段になると、途端にメンドくさくなる勇作くんだから、いつになるかわからんけど。そこは気が向いたときってことで。
一番大きな荷物は蒲団一式だ。
添い寝→こたつ寝→ごっちんの蒲団を借りる、というステップを踏んできたが、ようやく自分の蒲団ゲット!
今はそこで寝ている。ごっちんの蒲団も捨てがたかったが、新品の蒲団もこれはこれで気持ちいい。
小さな身体のごっちんが蒲団一式を抱えて、えっちらおっちら歩いてきたところを想像するとちょっと和む。
「勇作、晩御飯はどうしたい?」
「ん? 食べさせてほしかったら、土下座でお願いしなさいとか、そういうこと?」
「違うわよ! ワタシをなんだと思ってんのよ!」
「甲斐甲斐しく病人のメンドウみてくれる優しくて美少女な神様」
「なっ!?」
顔を赤くしてワタワタしてるごっちん。ちょろいな。
「もう。そういう話じゃなくて。晩御飯はちゃんとしたものに食べたい? まだ、胃が弱ってるなら、おかゆの残りもあるけど」
「おかゆ以外だとなにになるんだ?」
「さっきバイト先に寄って、お弁当もらってきたよ」
ごっちんが取り出したのは『ザンギ弁当』。北海道の鶏の唐揚げだ。
普通の唐揚げといまいち違いがわからないが、ザンギの方が味が濃いイメージ。あと黒い。
「さすがに揚げ物はまだちょっとな」
ここ数日、やたらカロリーを摂取しているが、そもそも、オレは粗食だ。
実家では兵糧攻めにあっていたし、ネカフェ時代も節約のために食費は最低限まで切り詰めていた。
肉といえば、カップ○ードルの謎肉を食べるくらいだったし、ソ○ジョイとか、カ○リーメイトとかで生きていける人間だ。
ということで、まだ本調子じゃないし――カゼのせいか、ごっちんの暴行のせいか――おかゆをお願いしておいた。
温め直されたおかゆは美味しかったが、やっぱり「シンプルなお粥を美味しそうに描くのは至難の業」だから説明は割愛。
ごっちんは『ザンギ弁当』×2をキレイに完食してた。やっぱり食いしんぼ神様だな。




