14-4 次元の狭間
オレたちは4人揃って『次元の狭間』を訪れていた。
『お助け勇者』スキルの効果で、オレ以外でもオレの配下であれば一緒について来られる仕様だった。
配下かどうかの判別をするのは、この世界に来ている勇者の監督神。
今回の場合は、この世界に来ている勇者がひろちゃんだから、監督神はミコさんになる。
オレが行くと言い出したら、3人とも「ついて行く」となり、ミコさんもOKしてくれたから、この結果になったのだ。
ゼル子ちゃんは、初めての『お助け勇者』ということでサポート役として立候補。
サタン子ちゃんは、「パパと一緒」と即答。
ごっちんは…………やっぱり「あの子」絡みだよなあ。
今までも、ごっちんの過去で「あの子」となにかあったらしいことは推測できた。
それがごっちんの抱えている問題。
具体的になにがあったのかは知らないけど、きっとここに答えがあるんだろう。
「ここは?」
「『次元の狭間』の拠点ですの」
転移してきたオレたちが到着した場所は小さな石造りの小屋だった。
室内にはRPGに出てきそうな武器・防具やポーション等が所狭しと並んでいた。
「ここに置いてある品は比呂子サマがお集めになったものですの。『お助け勇者』はこれらを自由に利用できますの」
「マジ?」
「マジですの」
コクコクと頷いて肯定するゼル子ちゃん。
「『お助け勇者』でこの世界に滞在できるのは1日ですの。その期間内に比呂子サマを救出できない場合には、我々は強制退場となりますの」
「じゃあ、のんびりしてらんないな」
「はいですの。そこでここにあるアイテムを利用することになりますの」
「でも、これ、ひろちゃんが頑張って集めたアイテムじゃない? 勝手に使っていいの?」
「もちろんですの。使われたくないアイテムはちゃんと他の拠点に置いておくですの」
「他にも、拠点があるのか」
「はいですの。『次元の狭間』は階層ダンジョン型の異世界です」
「ふむ」
「階層ダンジョン型の異世界はいくつもの階層に分けられた世界ですの。RPGのダンジョンのようなものを想定していただければよろしいかと思いますの。それで、一定階層ごとに安全地帯である『拠点』がありますの」
「なるほど、まさにRPGのダンジョン攻略なんだな」
「そうですの」
「じゃあ、オレたちはダンジョンの探しながら潜っていけばいいわけか」
「そうですの」
「ちなみにここ全部で何階層あるの?」
「全100階層と言われております」
「クリアした人は?」
「…………いないですの」
「…………マジか」
「はいですの。比呂子サマは多分相当深いところまで到達していると思いますの」
「じゃあ、とっとと追いかけなきゃな」
「ハイですのっ」
「でも、その前に――装備を整えなきゃな」