13-22 メイド姿
1月17日。
いやあ、昨日はやられたよ。
今日はリベンジだ。
直後はかなり凹んだけど、ゼル子ちゃんとサタン子ちゃんに癒やされてやる気も復活した。
ごっちんにも珍しく平謝りされたしな。
いつもとは逆の立場が味わえたから、良しとしよう。
大丈夫。
ちゃんとスマホの通知はオフにしてあるし、夕食はしゃぶしゃぶをリクエストしておいた。
さっさとドラゴン倒して、肉食うぞ肉。
ちなみに肉はバイトのクリア報酬で調達するつもり。
この前の最高級みかんのせいで空っ欠だし、ごっちんもお金にゆとりないしな。
ということでオレは最後のランにすべく、1面からリスタート。
すでに攻略ルートや敵との戦闘パターンは確立済みだ。
落ち着いてミスせずやれば、夕方までにはクリアできるはず。
オレは最後の挑戦を始めた――。
そういえば、このゲームの目的はドラゴンに攫われたお姫様を助けることなんだけど。
このスケベドラゴンはお姫様だけじゃなくて、3人の侍女もついでに連れ去っているんだ。ドラゴンのくせにハーレムとか調子のりすぎだろう。
それで、ゲームでは3面ごとにその侍女を助けだし、最後にお姫様を助け出してめでたしめでたしっていう筋書きだ。
それで、オレのバイトでは、そこら辺どうなっているのか?
3人の侍女役はメイド姿にコスプレしたゼル子ちゃんだった。
3面クリアすする度にメイド姿のゼル子ちゃんが「勇者様、助けてくれてありがとうございます」とすがりついてくるのだ。
メイド姿のゼル子ちゃんは新鮮でカワイかったし、思いっきりその豊かな胸を押し付けてくるから、疲れも吹っ飛ぶご褒美だった。
十日以上かけて研究した最適ルート。
確立された攻略パターン。
オレは『勇者の身体』と『勇者の身体2』の2つのスキルを駆使して、TASさんさながらの動きで、どんどんと攻略を進めるていく。
3面ごとのご褒美でやる気を補充しつつ、途中でお昼タイムを挟んで走り続けること約8時間。
ようやく最後のドラゴンと対峙する。
今日は昨日のようなミスはしないぞ。
落ち着いて、冷静に行けば大丈夫だ。
オレはドラゴンに挑みかかった――。
――終わってみればあっけなかった。
2度目のラスボス戦ということもあり、半分以上のライフゲージを残したまま、オレはドラゴンを倒すことができた。
これで長かったゲームに終止符を打った。
後はエンディングだ。
さて、お姫様役は誰なんだろう?
やっぱりゼル子ちゃんか?
意外なとこでサタン子ちゃんか?
それとも別の誰かか?
ドキドキにしながら待つオレ。
そんなオレの目の前に現れたお姫様は――。
「おまえはッ――――井口アヤ」
まったく想像もしていなかった人物だった。