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3-9 治験バイト

「勇作は与えられた仕事をこなしたよ。はじめてだったのに百点満点だったよ。勇作はちゃんと勇者してたよ」

「でも、オレは砂遊びしてただけだぞ」

「ふふふっ、ずいぶん楽しんでたみたいね」


 いい年したオッサンが幼女と砂遊びを満喫してたという事実を改めて指摘されると結構恥ずかしいものがある……。


「ひろちゃんから勇者の役目については聞いたでしょ?」

「ああ。『魔王を倒して世界を救う』だっけか?」

「そう。なにをどうやったかは関係ないんだよ。その役目を果たしたって事実だけが重要なんだよ」

「あれでよかったのか?」

「ただ遊んでただけだって思っているかもしれないけど、勇作はちゃんと魔王を倒して世界を救った。だから、採用試験も合格だし、ちゃんとお給料を受け取る権利もあるんだよ」

「それにしても、多すぎねえか?」


 一晩で10万とか治験のバイトでもありえねえ。

 治験ってのは、新しく作られた薬の有効性と安全性を試すテストのことだ。

 もちろん、それ以前にマウスやラットで散々実験されるんだろうけど、最終的にはヒトで試さなきゃいけないわけだ。

 そんで、そのバイト内容は一定期間病院に入院して、定期的に薬を飲んで、採血するだけ。

 それで1日だいたい2万円。1ヶ月コースだとそれだけで60万円。

 ニートなら誰もが一度は夢見るバイトだ。

 オレも一時期真剣に検討したが、結局やらなかった。

 理由は2つ。

 ひとつ目は、行動制限が厳しいこと。起床・就寝時間はもちろんのこと、食事の量・時間も決まってる。自由時間も基本的に外出できない。持ち込みできるものにも制限がある。などなど。

 ふたつ目は、採血。ほぼ毎日で、多いと1日に2、30回もあるそうだ。

 とまあ、自堕落で苦痛が大嫌いなオレみたいな人種には絶対に無理な仕事だ。気軽にポテチもつまめない職場とかマジでノーセンキュー。

 ちなみにネット上の治験サイトには怪しいサイトも多いらしいから、ご利用は自己責任でヨロ。


「あんた着の身着のままみたいだし、これから色々と物入りでしょ」

「だからって、こんなにもらっちゃ悪いだろ」

「もう、変なところで謙虚なんだから。昨日のずうずうしい勇作とどっちがホントなのよ。わたしのみかん全部たべちゃったくせに」


 あ、やっぱり根に持っていらっしゃいました?

 お給料受け取ったらちゃんと弁償しておこう。


「その件についてはマジでごめんなさい」

「それにね、勇作は簡単に考えているかもしれないけど、大変なことなんだよ、世界を救うってのは」

「そう。そこだ。そこが一番わかんないんだよ」

「なにがよ?」

「サタン子ちゃんも喜んでくれたみたいだし、また今度遊ぶ約束までしちゃったし、オレ的には満足しているさ。だけど、魔王を倒したってことも、世界を救ったってことも、まったく自覚ないぞ」


 そこが理解できないから、「ハイ合格です」って言われるのも、ポンと10万円を渡されるのも納得できないんだ。


「そこまでわかってて、わかんないの?」

「うん、わからん。これっぽっちも」

「もう、ひろちゃんったら……。ちゃんと説明しておいてって言ったのに……」

「おう、ろくな説明受けてないぞ。フツーにやりゃー平気だから、オマエのやり方でやってみろ、としか言われてないな」

「はああああ~」


 神様が頭抱えこんじゃったよ。

 どうも会話が噛み合っていないと思ったら、比呂子さんの説明不足が原因かよ!

 そういえば、最初にオレを神様に紹介したときも「こいつはオマエんとこのアレだよ」だったしな……。


「もう、いいわ。わたしが説明してあげる――」

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