13-1 理解不能な理屈
1月7日。
今日はバイトはお休み。
昨日までの3日間、バイトを頑張ったからね。
この3日間で、なんとか2面までクリアできた。
4日と5日、9時5時のフルタイムで頑張って、ようやくドラゴンを倒して1面クリア。
ドラゴンのブレスに慣れるのに、結局2日もかかったわけだ。
サタン子ちゃんに頼んでダンジョン間の移動を短くしてもらったおかげで、無駄なマラソンしなくてすんだんだけど、その分みっちりとドラゴンブレスでこんがり丸焼きにされ続けた。
それだけ焼かれれば、多少は熱さにも耐性がつくもので、今では肉焦がし……骨焼く……鉄板の上で土下座するくらいならなんとかなるようになったよ。
そして、昨日1日かけて、なんとか2面をクリア出来た。
時間がかかったのは死ぬ度に最初からやり直しだったから。
いくらダンジョン間マラソンがなくなったとはいえ、ダンジョン自体はそこそこの広さがあり、ドラゴン戦では瞬殺というわけにはいかないので、1面をクリアするのに1時間かかっちゃうんだよね。
そんなわけで、2面をクリアした時には午後5時半過ぎだった。
残業しちゃったよ。残業代つかないけどね。
勇者バイトはあくまで成功報酬制。
早く終わらせないとどんどん時給が下がってっちゃう。
まあ、もともとが圧倒的高報酬なので、文句はないのだが。
ということで3日間頑張ったご褒美に今日は丸1日オフなわけだ。
もともとはサタン子ちゃんやゼル子ちゃんとのんびりイチャイチャして、明日意向に備えて英気を養うつもりだったんだけど、すっかり忘れてたごっちんの約束があったのだ。
なんでこんなことになったかっていうと――。
「ねえ、わたしともデートしなさいよ」
「はっ!? なに、いきなり? どうしたの?」
クリスマスパーティーが終わり、気合を入れて2日間もかけて準備したせいで疲れていたオレは、こたつにゴロゴロと寝っ転がってスマホをいじっていた。
サタン子ちゃんはゼル子ちゃんと特訓へ向かい、バイト前のごっちんがお茶を啜りながら、唐突に切り出してきた。
相変わらず突然で、意味不明で、無茶苦茶なちみっこ神様だ。
「ひろちゃんとデートしたんでしょ? だったら、私ともデートしなさいよ」
「…………」
うん。
まったく持って理解不能な理屈だ。
ひろちゃんとしたから、わたしとも。
だったら、アレか?
オレがひろちゃんとセックスしたら、ごっちんともするのか?
確実に犯罪だぞ、それ。
さすがに小五ロリで悟りを開くわけにはいけない。
だがしかし、ここで断ったら理不尽な折檻まちがいなし。
まあ、ごっちんも見た目は美少女だし、やぶさかではないのだが…………オレとごっちんだとデートじゃなくて、子守りになっちゃうんだよな。
まっ、いっか。
「わかったよ。いつがいいんだ。疲れてるからすぐにはムリだぞ。年明けでいいか?」
バイト頑張ったり、ひろちゃんとのデート頑張ったり、クリパの準備頑張ったり。
オレはかつてないくらい頑張ったんだから、年末年始はなにもせずにダラダラするって決めたんだ!
「ふん。いいわよ、それで」
なんでそんな偉そうなの?
自分から誘ってきたのに。
まあ、オコチャマ相手に張り合うのも大人気ない。
「じゃあ、そういうことで」
「ちゃんと、エスコートしなさいよ」
「はいはい」
――とまあ、そんなわけでバイト休みの今日、ごっちんとデートすることになった次第。