3-6 どっきり大成功!
「そして、そもそも――比呂子さんみたいな美人店員さんがいるファミレスがこんなに過疎ってるわけないだろ!!!」
オレは成○堂龍一みたいに比呂子さんをビシっと指差しながら言ってやった。
いくら内面が究極的ダメ人間とはいえ、ルックスだけは完璧な比呂子さんだ。しかも、丈の短めなスカートと胸元を必要以上に強調した制服が異様に威容に似合っていて、昨日のだるだるファッションとのギャップが最高!
この制服をデザインした奴とは旨い酒が飲めそうだ。
ちなみに、アン○ミラーズもいいが、オレは神○屋派だ。フー○ーズはなんかちょっと違う……。
比呂子さんの接客態度は間違いなく壊滅的なはずだ。
現に、お冷もおしぼりも持ってきてないし、注文を取る気配なんかこれっぽっちもない。
営業スマイルなんかそもそも不可能だし、気に食わない客はとことん見下しそう。
だが、逆にそれがご褒美になる業界の人々が存在するのもまた事実。
そういう奴らが比呂子さんのシフトを完全に把握し、その時間帯に通い詰めるのは確定的に明らか。
だから、いくら早朝とはいえ、客がオレたち二人しかいない状況――あ り え な い 。それは。
「やっぱ、オモシレーな、勇作は――」
フッと笑って、タバコに火をつける比呂子さん。
いや、ここ禁煙席だし……。
まあ、他に客もいないし、どうせ言ってもムダだろ。
比呂子さんが「おい」と呼びかけると、さっきダルそうにしてた兄ちゃん店員が飛んで来て、一流ホテルマンみたいな態度で恭しく灰皿を差し出した。
大きく吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出し、比呂子さんはそこに灰を落とした。
「オマエの言うとおりだよ」
「へっ?」
自分で言っておいてなんだが、思いついたことをテキトーにツッコんでみただけだったから、比呂子さんに肯定されて逆に驚いた。
「店員じゃないんだよ。俺に店員なんかできるわけないだろ。ちゃんと働いたことがないってのが俺の数少ない誇りだからな」
うわ、やっぱダメ人間だ。
まあ、他人のこと言えないけどな、エッヘン。
「じゃあ、こんなトコでなんでそんな格好してるんですか?」
「勇作を驚かせたくてな」
「おどろきましたよ! どっきり大成功ですよ! 野○圭介がプラカード持って出て来そうですよ!」
どうやら、比呂子さんはここの店員でもなんでもなくて、ただ俺を驚かせるためだけに、ここの制服に着替えてスタンバイしていたらしい。意味わからん。ホントこの人には斜め上しか存在しないんじゃないかと思う。
「んじゃ、勇作の驚いた顔も見れたし、お先にドロンするか――おーい、注文」
その声に、さっきの店員がまたまた飛んできた。
ドロンってきょうび聞かねぇな……。




