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10-4 童貞を殺す服

本日2話目です。

「ということで、デートの打ち合わせです」

「おう」


 なんだかんだあったような気もするが、それら全部なかったことにして、さらっと本題に入る。

 そんなオレに合わせて乗ってくれるオトコマエな比呂子さんがありがたい。

 ちなみに、比呂子さんに尋ねようと思ってることは既に整理済みだ。順番に訊いていこう。


「4つほど訊きたいんですけど、いいですか?」

「おう。なんでも訊いてくれ。ちなみにスリーサイズは――」

「いや、そういうのは結構なんで」

「なんだよ。つれないなー」


 まともに相手していると話が進まないので、サクッとスルーの方向で。


「まず、日程なんですけど、比呂子さんはいつがいいですか?」

「いつでもいいぞ。こっちもバイト明けで、しばらくヒマだ。年明けまでは、なにもする予定ない。勇作の方はどうなんだ?」

「あー、オレも暇っすよ。しばらくはダラダラしてるつもりなんで」

「じゃあ、任せた。勇作が決めちゃって」


 さて、どうしたもんかな。

 今のところ、デート内容についてはノープランだ。

 だから、明日明後日ってのは避けたい。

 ちゃんと計画を練っておかないと、アドリブ力皆無の勇作くんだから、グダグダになるのは必至だ。

 かと言って、あまり先延ばしにしたところで、直前まで放ったらかしにするのは目に見えている。

 ここはカレンダーとも相談して――。


「それじゃ、4日後の22日金曜日で」

「おう」

「時間とか、待ち合わせ場所とかは、決まり次第連絡しますんで」

「おう」


 というわけで、クリスマス直前に決行することになった。

 さすがに、クリスマスデートとか、初心者にはハードル高すぎるしな。

 つーか、今年のクリスマスって、なにかイベントあるんかいな?

 カワイイ女の子が4人もいるんだから、きっとなにか楽しいことが起こるはずっ!!!

 いや、起こらねばなるまいっ!!!

 ラブコメの神様、ホントお願いしますっ!!!


「食事に関してなんですけど――」

「おう」

「比呂子さん、嫌いな食べ物とかあります?」

「肉以外全部」


 知ってた。

 鍋パでも肉とビールしか口にしてなかったもんな。

 比呂子さんにとっての三大栄養素は「肉、酒、タバコ」だ。これ豆な。


 中途半端な好き嫌いがあると、どんなお店にするか難しくなるけど、これくらい極端だと、逆に選択肢がほとんど残らないから、選びやすくて助かるな。

 ちなみに、勇作くんの場合は、子どもの頃は好き嫌いあったけど、今はだいたいなんでも食べれるよ。

 セロリとか好きじゃないヤツはあるけど、食べられないってほどじゃない。


「当日の服装なんですけど――」

「おう」

「ちゃんとした服装で来てくださいね。タンクトップにホットパンツとか、もちろんナシですよ」


 比呂子さんはいつ見てもこの格好だ。

 例外はオレにどっきりを仕掛けるために、ファミレスの制服を来て登場したときだけ。

 このクソ寒い師走のボロアパートなのに、普段はいつもこのダルダルな組み合わせしか着ていない。

 ただでさえナイスバディなせいで、いろいろと零れそうになっていて目に毒だから、「けしからん! もっとやれ!」、もとい、勘弁して欲しい。


「大丈夫大丈夫。わかってるって。勇作好みの格好してってやるって。どんなんがいいんだ? メイド服か? ネコミミか? 童貞を殺す服か?」

「いや、そういうネタ装備とかノーセンキューなんで。頼みますから、普通の格好してきてくださいよ」

「なんだよ。冗談じゃねーか。つれねーな。安心しろよ。きれーなおべべでバッチリとおめかしして、馬子にも衣装でビックリさせてやっからよ」

「ほんと、お願いしますよ」


 アンタの場合、冗談じゃなくて本当にやりそうだから心配してんだよ。

 せっかく素材はイイんだから、べつに気合入れてオシャレとかしなくても、普通の格好してくれればそれで十分なんだから……。


「それで、最後に訊きたいんですけど――」

「おう」

「比呂子さんはなにかリクエストありますか? 行ってみたい場所とか。やりたい事とか」

「なんでもいいぞ。道場破りでもすっか?」

「しません」


 なんでだよっ!

 意味わかんねーよっ!!

 初デートで道場破りとか、どこから出てくる発想だよっ!!!


 ……まあ、比呂子さんらしいっちゃ、らしいんだけど。

 オレは普通の一般人なので、そういうのに巻き込まないでください。


「じゃあ、任せた」

「はいはい。じゃあ、なんか考えておきますよ」

「おう。楽しみにしてるぞ」

「それじゃ、当日はよろしくお願いしますね」

「おう」

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