プロローグ 4Page
殺してしまおうか?
なかったコトにして。
そして死んでしまえば、それで全て終わるのかな。
ポタリポタリと落ちる涙。
拭っても拭っても目が濡れていく。
袖は既に重くなっているのに、まだまだ溢れてくる。
しかし、その気持ちとは裏腹にソレに対する愛は少しずつ膨れ上がっていった。
気付けば、血だらけの衣服を身に纏ったまま、その子、自らの子を抱き上げていた。
子はホッとしたように、俺の腕の中で再度小さな声をあげた。
俺はある決意をした。
それは、俺にとって大切な思い出と共に残っている記憶だ。
そして俺は、子を強く抱きしめた。
美しい少女の住処はとても大きな洞穴だった。
確かに、ドラゴンのあの巨体で寝るならば、このくらいの大きさは必要であろう。
「とりあえず、中に入らぬか?して、ゆるりとしていくが良い。しかし、寝所はどうしようかの?お主はどのような寝所で寝ておったのじゃ?」
大きな洞穴の奥にはキラキラと輝く金銀財宝が落ちており、真ん中はグラウンドのような広さに何もない状態であり、端っこには骨やら木やらがごちゃごちゃと置いてあった。
「えーっと、俺は、気を組み立てて作ったベッドに、鳥の羽毛を使った布団とかで寝てたかな?」
骨の中には、人間のモノと思われる頭蓋骨も落ちており、心臓に悪い。
しかし、こんな洞穴が自然に出来るのだろうか?
「ふむ、鳥の羽毛か。ならば待っておるといい。いくつか鳥を狩ってくる。後は木か…。自分で作れるかの?」
ベッドは何度も作ったコトがある。
俺のベッドは自作だったのだ。
俺の部屋は物置の隅で、しかも、ベッドなど買ってはもらえなかった。
時折、家族が俺のベッドを壊したりするコトもあり、段々、上手くなったのだ。
「木を切れる物はないかな?あれば作れるんだけど…。後は、布と動物の毛皮なんかがあると嬉しいんだけど…。」
布団は家族が捨てた衣服を漁って縫い合わせた物を使っていたので、裁縫は出来る。
今思えば、良くこの年まで生きるコトが出来たと、俺自身を賞賛してやりたい。
「布?布ならば、そこの宝の中に混ざっておったと思うがの?毛皮は、そこゴミの中にあるはずじゃ。毛皮は美味しくないので、私は剥いでから食べるのじゃ。」
俺はとりあえず、金銀財宝の中に手を突っ込んだ。
どこぞの猫型ロボットのように、ポイポイと金銀財宝を後ろへと投げ捨てながら探すコト10分。
やっと、布を見つけたが、それは、俺が見たコトのない材質だった。
「これは何?って、何も言わずにどっか行ったし…。」
見た目は真っ白なのだが、広げて見ると七色に光って見えるのだ。
柔らかく滑らかで素晴らしい肌触りのそれは、布団などにするには余りにも布の素材が良すぎる気がした。
とりあえず、許可を取れれば、これであの少女に服でも作ってやろうと横によける。
「帰ったぞ。お主、まだ探しておったのか…って、既に見つけておるではないか。どうしたのじゃ?」
1時間程、俺は金銀財宝を漁っていたが、出てくる布は全てが高級品だと解らされるような素晴らしい布だった。
「これ、全部使ってもいいのか?どれも、凄く高そうだけど…。」
そういえば、ドラゴンは金銀財宝を集める習性があり、それを取ると暴れたりすると聞いたコトがある。
マズイだろうか?
「構わぬよ。なんだったら、そこらへんの金も持っていくと良い。しかし、他に必要な物はなんじゃ?」
ドサドサと下に落ちた音がして振り返れば、下には数十羽の鳥が落ちていた。
本当に、狩って来たようだ。
「ありがと。針と糸、それから、木を切れる物が欲しい。」
少し悩んで、少女は何もない空間から少女の身長よりも遥かに長い剣を取り出した。
透き通るような美しい白に、埋め込まれた赤い宝石。
美しい剣だった。
「これで、木を切れるはずじゃ。この剣に、切れぬ物はないしな。針はどのような物が良いのじゃ?」
俺は地面に絵を書いて、簡単に説明をする。
上に穴が空いていて、細い針を説明すれば、財宝の中から一つの細い針を持ってきた。
同時に、金色の糸を渡された。
「よし、これを使うとよい。して、それはどれくらいかかりそうじゃ?私はご飯が作れぬ。お主も生でいいならいいが、何か作れぬか?」
俺はゴミを漁っている手を止めて、少女を見る。
恥ずかしそうに目を逸らし、手を揉む姿は愛らしい。
「一時間あれば余裕だ。ご飯はそれからでもいいか?」
パァアアと目が輝いて、ブンブンと首を縦に振る姿に、首が取れないかと恐怖を覚えた。
テストのレポートが終わり、明日のテストの勉強をしながら、書きました。
てか、単位とれるかな…。
ガチでヤバイ。
というわけで、てんで更新できなかったコトを深く深くお詫び申し上げます。