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Stragglers Party  作者: 榊屋
序章―A hierd killer―
4/12

1話 宣告

 死宣告。

 それが俺についた異名だった。

 テレビのニュースで放映されている通りなのだが、説明をしておこう。


 おもに警察が発表している情報から抜粋しつつ俺の言葉で説明しよう。


 死宣告と呼ばれているのは当然理由がある。

 俺は殺すと決めた相手に、『あなたを殺します』と宣戦布告するのだ。

 宣告された相手は圧力に耐えられず逃げ惑う。

 それを追い詰め、追い駆け殺す。そして最後に、殺した者の血液で『宣告通り』と死体の横に書いて完了だ。殺し方は『バラバラ殺人』だ。しかも腕や出欠の状態、断面などから、生きた状態でバラバラにされている。

 当然こんな大きな事件を起こせば、誰かが何らかの目的で残虐な犯罪行為を行っている、と誰もが思うものだ。事実、そう思っている者が多い。

 ということは一つの疑問が浮かんでくるはずだ。


『何故、死宣告は人を殺すのか』


 つまるところ、目的――動機だ。

 警察もそれを追っているようだが、いくら探しても動機が一つも出てこない――そうだ。

 明らかに怪しい。何らかの理由づけくらいできるはずだ。どこかしら共通点が見つかるはずだ。なのにそれすらも発表していない。さらに言えば、被害者の名前と顔を明かすことをマスコミ各社に禁じているようだ。しかもかなり強い圧力で。

 警察も困っているのだ。


 つまり、わからないのだ。

 警察は犯人が何を考えているのかもわからない。

 まぁ俺の考えていることがわかるものなど、この世にいるはずもないのだが。


「さて」


 前置きはこのくらいにしよう。

 3月22日18:00現在。

 俺は今、ある中学校の前にいた。

 名前は……忘れたが、まぁ大丈夫だろう。下調べも何もしていないが。

 別の地域には17人も殺人を犯している殺人鬼がいるらしいが、この街にはそんな大罪を犯している者はいない。

 俺を除いて、だ。


 俺は堂々と入り口から入っていった。

 警備員もいない学校だ。まぁどの学校にでもあるわけではないし、仕方がないといえばそれで終わりだった。

 俺が殺人を犯す理由。

 それは人が絶望したときの表情を見るのが楽しいからだ。

 人は未来が見えていないこの世界でも何らかの形で希望を持っている。その希望をすべて無――それどころかマイナスにまで持っていくことが成功すれば、俺はそこに快感を感じるのだ。

 閑話休題。

 どの学年のどのクラスを狙うかも決めてこなかった。

 で、ふと体育館を見てみた。

 見たところ卒業式が近いようで、体育館にはそれらしい準備がされていた。

 ふむ……。

 卒業して高校に入学しようという今、希望に満ち溢れているに違いないな。

 だから、3年生を狙うことにしよう。


「見学の方ですか?」

 学校の先生だろう青年が後ろから声をかけてきた。

「ええ、息子の入学先にどうかなと思いまして」

「ご自由に見ていってください。この学校は見学自由ですから」

 そう言って青年は俺の横を通って、前へと進んでいった。

 笑顔だった。が、なんだろう……。

 違和感を感じさせるような笑顔だった。

「あぁ……それで」

 俺はつぶやく。

 道理で無防備な学校だと思った。

 うろちょろしていても何ら問題ないということか。

 と、すれば。

「あの、すみません」

 俺はできるだけフレンドリーに、怪しまれないように声をかけた。


「3年生のクラスはどこでしょうか?」


 

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