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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

脈動するレジ袋

作者: オリオン
掲載日:2026/03/01

『装備品は装備しなければ意味がないぜ』

コンビニの店員が僕の昼食に付けるナイフとフォークを忘れていることを僕が指摘した時に唐突に頭に浮かんだ言葉である

「レジ袋はご入用ですか?」

お決まりの文句を言われるが素手で持ち帰ると思っているのだろうか、そういった態度が表に出てしまったからだろうか適当に返事をしてしまった

レジ袋をレジ台の上に無造作に置いて商品を詰めてくれる店員を見ると他の客が騒いでいた、袋に詰め終わった商品を押し付けるように僕に渡してから店員がレジ台から離れて騒いでいる客に駆け寄りながら声を上げた

「あー困ります困ります!お客様!あー困ります困りますぅぅぅ...」

トラブルの種を感じ取った僕はそそくさとレジ袋を握りなおし店を背にした。

男が家に行く途中にレジ袋の中の物が地面に落ちてることに気づいた、疑問に思いレジ袋を確認すると底が空いていた。あちゃーって思った、中身を取り出して底の方だけとめて、また中身を入れようと思い、絞ろうとレジ袋を束ねてるとレジ袋が脈打っているような感覚がした、手首や首筋の血管が脈打つような鼓動がレジ袋の表面全部から感じられた、首を傾げながら腕を通してみると脈動するレジ袋が皮膚に吸い付く感じがした、なんだか悪い気はしない、むしろ肌に馴染む気さえしてきた、最近のレジ袋も進化したなって思った、レジ袋の底を縛ろうと思ったが、レジ袋に商品を詰めなおすのはなんか勿体無い気がして底が抜けてしまったが綺麗なままでレジ袋を持ち帰った、荷物はポケットやフードやズボンやシャツの中を駆使してなんとか持ち帰った

家に帰ったがこのレジ袋はどうしてくれようか、YouTubeで底の空いたレジ袋の活用法を調べてみた、偶然誰かがショート動画をあげていた、レジ袋の底を切るとタンクトップが出来上がるみたいだ、どの世界にも変なことを考えるやつっていうのはいるみたいだ


ということで早速脈動するレジ袋を着てみた


腕を通した時とは比べ物にならないくらいの肌との一体感を感じた、水をかけても水は通さないので吸湿性は無いからとっても蒸れる、びっくりしちゃった、1日着て過ごした結果はというと、脈動するタンクトップレジ袋は着ると超人ハルクみたいに力持ちになることが判明した、力が強くなると言うか、何というかあったかいというか、脈動するタンクトップレジ袋がパワードスーツみたいな役割をしている気がした、リバイブTシャツもインド人もビックリ、具体的にどれくらい強いかというと標識の鉄パイプを曲げれた、ドラゴンフラッグをしてみようと思ったら曲がってしまった、あとはデコトラが横転している所を持ち上げて立たせるくらいのパワーがあった、肩の位置より上に上げるのは大変だった、寄る年波には勝てなかったよ、トホホである、家に帰って入浴しようとして脈動するタンクトップレジ袋の能力の大変な副作用について気付いた


あせもがすごい!


一日中汗をかいては乾きを繰り返して吸水性のないレジ袋だから妥当な結果である、皮膚科に行って軟膏をもらったら治った、ヒーロー活動をしてる時のタンクトップの動きを阻害しないように黒いブーメランパンツを買った、半透明なタンクトップに黒いブーメランパンツで装備はバッチリだ

そんなある日に大きな地震が起こった、大きなビルが倒壊しかかっていた、大いなる力には大いなる責任が伴う、助けなければって思って脈動するタンクトップレジ袋を装着して駆けつけた、素肌に直にレジ袋でできた半透明なタンクトップを着けた黒いブーメランパンツの男性が倒壊寸前のビルに砲弾のような速さで突っ込んだ

次々と救助者を助ける半透明のレジ袋でできたタンクトップを着て黒いブーメランパンツの汗まみれのメタボの中年男性、最後に救助した親子の男の子の方から

「ありがとう!」と大きな声で声をかけて貰った

男の子は自分の手のひらに持つヒーローの人形を握りなおしながら、自分を救ってくれたヒーローの姿を視界の端の隅っこにいれながら「ございます・・・」と小さな声でお礼をした、汗だくのまま親子が安全なところにいくのを優しい顔をして見送った半透明のレジ袋でできたタンクトップを着て黒いブーメランパンツを履いた汗まみれのメタボの中年男性

脈動するレジ袋ももう救助者はいないっぽいって脈動しているのを感じた、このタンクトップレジ袋と良好な関係が結べているようで誇らしい気持ちになりながらビルから出ようとしたその時、ついにビルが倒壊した、倒壊してきたビルを受け止めた半透明なタンクトップを着て黒いブーメランパンツを履いた汗まみれのメタボの中年男性は丹田に力を込めながら迫り来るビルと力比べをはじめた、何分経ったか、何十分経っただろうか、倒壊してくるビルと中年男性の力は完全に拮抗していた、途中力みすぎて屁が出た

遂には脈動するレジ袋もビルの重さには勝てなかった、レジ袋の脈動の力が弱まりタンクトップレジ袋の出力が落ちてきた、中年男性の意識もだんだんと遠くなってきたため中年男性は自分の死を悟った、そしてレジ袋の脈動が止まった


しかしその時奇跡が起きる


止まったはずの脈動が跳ねるように大きく鼓動しはじめ、半透明のレジ袋が半透明に輝き出し周囲を半透明な光で包んだ


「・・・ここは?」


子供の頃の何かのイベントで見たプラネタリウムのような空間にいた、自分が一糸を纏わぬ姿でいる事に気付いたが、不思議と羞恥心はなかった

唐突にタンクトップレジ袋と会った時の事を思い出した

『装備品は装備をしなければ意味がないぜ』

どこかで耳にしたゲームの内容が頭に浮かんだ、辺りを見回していると光の玉が全裸の中年男性に寄ってきた


『ここははじまり、または乗り換え、または終わりの場所』


光の玉が脈動するように答えた

「君は?」

『僕?僕は君さ』

光の玉は人の形になり、やがて脈動するタンクトップレジ袋を着たブーメランパンツのメタボの中年男性が主人公の前に現れる

「そうか、君は僕だったんだね」

『うん、君は、いつも優しかったよね』

「君が優しいから」

『もっとわがままに生きてもよかったのに』

「そっか、なら」

『?』

「力を貸して欲しい」

『勿論さ!全部持っていったっていいよ』

「じゃあわがままついでに全部くださいな」

一糸纏わぬメタボの中年男性に優しく抱擁する脈動するタンクトップレジ袋を着たブーメランパンツのメタボの中年男性

ブーメランパンツのメタボの中年男性に抱擁された瞬間に一糸纏わぬ中年男性は自分がタンクトップを来ていない事に気付いた時にはブーメランパンツのメタボの中年男性の右腕が意図せずして大蛇のように自分の首元を締め上げていたため声を上げることができなかった

(あー困ります困りますあー困ります困りますお客様)

「あ゛」

半透明な光が収束した時にはタンクトップでできた乳白色のレジ袋を着た黒いブーメランパンツのメタボの中年男性は綺麗に三つに折り畳まれた姿になっていましたとさ

おしまい

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