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第十五話「洞窟」


もう一度『勇者の剣』を手に入れる為に洞窟にやってきた。

ドレイクが居なくなったからか。

吸血蝙蝠が住み着いている、イグニスの炎魔法で一撃だ。

奥まで行ったが部屋の状態は何も変わりない。

アルマの隅々まで探す意思と士気の高さ以外は。


流石に護衛の7人、勇者2人俺達と戦士くんの12人だ。

人が多すぎてこの洞窟も狭い気がしてくる。

大所帯も良い所だが、土に埋められた剣は簡単に見つかった。


「あった!

これ、誰が隠したんだろうね、紛らわしい事をして困っちゃうよ。

土をかけただけって、僕もっと見れば良かったよ」


「……お前達は、これを見つけられずに木の棒を持ってきたのか」


アルマは軽く怒っているが冗談のような言い回しだ。

落書きは残ったままなので嘘だとは思ってないかもしれないが。

イグニスのアルマを見る目が少し鋭くなったような気がする。


そのあとグラヴィスがアルマから借りて剣を手に取るが……。


「これは、とても持てないな」


勇者以外は痺れるような電流が流れ。

素手ではとても掴んでいられなかった。

手袋をつけても皆、重いと口を揃える。

伝承通りだ。


入り口から誰かの気配があった。


咄嗟に弓を構える。


スキンヘッドに深い隈、全身入れ墨が彫られた半裸の男が入ってきた。

変態かもしれない、とりあえず足に矢を放つが避けられる。

思ったよりもこの変態早くて強い!


「お姉ちゃん、その人、3番目の勇者フォンス」


妹がしがみつき耳元で俺にしかわからない言葉を言った。

言われてみれば、こんな姿だったような。

……信じないぞ勇者にしてはどうみても怪しい。

これは敵だ、殺さなくては、今なら強盗と言われても信じられる。

麻痺毒を付けた矢を放つ、建前は捕縛だ。


「避けるな、当たれ!」


「待て待て、俺勇者! 俺も勇者だって」


「お、私は騙されない、黙れ、勇者を語る不届きもの」


3番目の勇者に向かって。

とりあえず矢を放つ、うっかりで死ぬかもしれない、損はないだろ。

矢が頬を掠ったが毒が効く様子はない。

毒耐性があるな勇者で間違い無さそうだ。


「勇者? 僕が勇者だよ、君が剣を隠したのかな?」


勇者アルマも殺す気になってくれた!

勘違いだが行幸だ、いけー勇者くん!

野良勇者を殺せー!


「貴様のせいか、ここで死……いや、本当に勇者だな」


イグニスは流石にわかるようだ。

アルマも事情が把握できたらしい彼が3番目の勇者で確定してしまった。


「剣なんて隠してないし今日はじめてきたぜ」


勇者の剣があれば魔王の撃破も可能だ。

基本的には勇者は全員毒耐性があるが。

特にこの3番目の勇者フォンスの毒耐性は勇者の中で一番高い。

作中全ての毒を無効化できるのはフォンスだけだ。

猛毒の沼に囲まれた魔王城の攻略でアイテムが節約できる貴重なキャラだ。

終盤はヒーラーのソルビスが不在になる為、勇者アルマと賢者か。

3番目の勇者の2人が揃わないと攻略が絶望的になる。

実際、俺は初見で毒に苦しめられた。


「そうなんだ、ごめんね?」


アルマは謝る事を選んだようだ。


「ま、いいよ、ここ勇者だらけだし?

剣も先越されたみたいだし?

俺忙しいんだよね、じゃ、さいなら」


協調性の欠片も無いな。

3番目フォンスは唯一単独で動く勇者だ。

すぐ出てくる割に、合流するのは4番目の勇者オルドよりも後になる。

ゲーム通りなら単独で魔王城に行く可能性があるな。

後で蝙蝠が来たら魔王カルディア様に毒耐性がある事を伝えておくか。


イグニスかグラヴィスをやっぱり始末したいな。

短期間に繰り返すと俺が疑われそうだからまだ難しいが。

特にイグニスだ、給金で雇った護衛の7人も雇い主が亡くなれば。

解散してくれるかもしれないしな。


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