新神のやらかしで異世界はメチャクチャです!
「新神ー!新神ー!ちょっとこっち来いやボケー!」
はわわっ、主神が顔を真っ赤にして私を呼んでます!た、多分私が担当した世界の調整に不備があったんでしょう。
「はよ来いっ言っとるやろボケー!お前に拒否権なんて無いんやボケー!召喚!」
「ひいっ!」
主神の召喚術で無理やり主神のデスクの前に引っ張られた私はマッハで土下座した。
「なんかその…この度は色々すみませんでしたぁ!」
「土下座で済んだら神々の職場は要らへんわボケー!おい、新神!何で怒られとるか言ってみい!」
「はい!私が作成した勇者のデータですね!」
「そうや!これがお前の作成した魔王を倒し人類の希望となる勇者のクソデータじゃボケー!」
主神の指パッチンによって、私の作成した勇者のデータが空中に表示される。
【勇者】
HP:戦士以下
MP:魔法使い以下
武力:戦士以下
知力:ゴミ
しゅばやさ:魔王以外からは逃げれる
勇気:人類最底辺
ちんこ:百発百中
スキル:魅了、魔族化
「新神、どこが悪いか言ってみろやボケー!」
「はい、これが多分ダメな事はわかりますが、何がダメかは全くわかりません」
「わからん所さんをわからんまま仕事すんなボケー!」
主神の雷が私に落ち、私は焦げアフロになった。ぎゃー。
「ええか!まずステータスの上四つ!なんや、この低スペックは?」
「えつ、上四つと言いますと、HPから知力までですよね?マニュアルには、極めた専門職には劣ると書いてありますし、ここは問題無いんじゃ?」
「極めた専門職と言ったら、剣聖や賢者やろがボケー!」
あっ、そうか。何か弱いなと思ってたけど、初級職基準で専門家以下に数値を設定していたからか。あ、後、ステータスに下限を設定してなかったから、知力がエラい事なってます。
「次ぃ!なんやこの素早さのふざけた表記は!」
「えーと、しゅばやさは素早さの誤植ですね。で、マニュアルに魔王からは逃げられないとあったんで、それ以外からは逃げれる様に」
「あれは、魔王の特性の説明で、勇者の素早さには何の関係もないわボケー!」
そ、そうだったのか!勇者は別に魔王の次に素早くしなくても良かったんだ。まあ、逃げ足以外は並だから、ここはそんなに問題ないかなー。
「何笑ってんねん!まだ悪い点はいっぱいやボケー!」
「ひゃ、ひゃい!すみません!」
「次、勇気ぃ!これが一番酷い!な・ん・で、勇者の勇気が人類最底辺やボケー!わざとか?お前、この仕事辞めたいんか?」
「ち、違います!だってマニュアルにぃ!勇者は勇気を持つ者ではなく他人に勇気を与える者って!」
「何でそれ読んで、勇者は勇気無い奴ってなるんやボケー!」
主神の雷で私は全裸で黒焦げ。酷い、パワハラかつセクハラです。
「そんで、何でちんこが百発百中なんやボケー!勇者は魔王と対の存在やから、魔王が生まれた時にしか生まれんのや!やから、生殖能力は無くせってマニュアルに書いてあったやろボケー!」
「えっ?マニュアルには逆の事書いてありましたよ。ちんこの性能はマックスにして孕ませまくれって」
私は主神にマニュアルを開いて魅せました。確かに、そこにはちんこカンストの金髪イケメンの姿が書かれています。
「もーう、これは私が合ってたじゃないですかぁ。何でもかんでも私が間違ってる事にしたゃダメですよ主神」
「新神、これ、王太子のちんこのページやぞボケー」
「えっ」
確認すると、確かにそれは王太子のちんこに対するページでした。私は震える手でマニュアルのページを捲ると、ふにゃちんの勇者が書かれたページが出てきました。
「これ、私悪くないですよ!勇者ちんこのページと王太子ちんこのページを隣り合わせにしたマニュアル制作神が悪いと思います!勇者と王太子って顔も似てるし!」
「それは、後で注意しとく。今はお前や」
むぅ、矛先は逸らせませんでしたか。
「最後、スキルについてや!魅了があるのは分かる。どうせマニュアルに、勇者は魅力ある人間て書いてあったんを曲解したんやろ」
「はい、魅力ある人間なんて作るの難しいから、手っ取り早くスキルで解決です」
「解決しとらんわボケー!人の心はお前が思うほど単純やないし、魅了が効かへん奴からしたら勇者はクズでしかないんや!そして、魔族化!何で入れた!何で入れたんや!?」
「人はどうやっても魔族に勝てません。なら魔族にすれば良いのではと」
「ふざけんなボケー!」
主神の雷でもう私のライフは6桁しかありません。痛い。
「明日までに全部直せ!」
「…はーい」
誰が直すかバーカ。もうこんな仕事辞めてやる。私は勇者を作る時に何故か余った大量のステータスポイントを勇者パーティの居る辺りにぶちまけると、仕事が終わったと嘘をつき帰宅。そのまま荷物をまとめてドロンしました。
◆ ◆ ◆
「この際だから言いますけど、殿下には生殖能力が皆無なんですわよ!」
とある王国の卒業パーティ、断罪されそうになった悪役令嬢が開き直って放った一言に対し、王太子は首を傾げた。
「何を言ってるんだ?俺は王太子だぞ?生殖に関しては最強に決まってるだろ。なあ、父上?」
「いや、その子の言っとる事は正しい」
「フアッ!?」
あり得ない発言が国王から飛び出し、王太子は顔が真っ青になる。
「よいか馬鹿息子よ。王太子に必要なんは一にちんこ、二にちんこ。じゃから、ワシは生殖能力の無いお主を王太子にし、足りない部分は婚約者にサポートしてもらう事にした」
「いや、その流れだとちんこ強者の弟が王太子にならないとおかしいだろ?何で俺の方を王太子にしてるんだよ!」
「それは間違えたんじゃ!何か知らんけど、お前のちんこが百発百中と勘違いしたんじゃ!とりま、良い機会なんで廃嫡!」
「えっ」
国王は毒杯と刻印されたスレッジハンマーを王太子に振舞うと、儚くなった王太子を屈強な衛兵が引きずっていき幕引きとなった。
異世界には様々な不自然な点が存在する。例えば、王太子になるのに最重要とされる生殖能力を何故か持ってないのに王太子なは指名される王子。それはもしかしたら、その異世界を作った神がミスを放置した結果かも知れない。