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彼にとっての日常  作者: 天桜犀 海陽
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化け物

それから、祐と直樹は毎日公園であっては、いろんな場所に行って同じ仲間がいないか散策したり、普通にカラオケにいったりして遊んだりした。


今までどんなものを集めたのかを話したり、猫と何を会話しているか聞いたり、互いに好きなことやできることを話し合ったり見つけたりした。



今日もだれか同じ人外がいないか、町を散策していた時、大きな獣の叫び声が聞こえた。

二人は驚き、互いに顔を見合わせた。


「今の声なに?やばくね?」

「アニメとかで聞いたことある怪獣の叫び声みたいだったね。」

「だよな、なんか恐竜ロボットとかが来るイベントって今日あったっけ?」

「いや、そんなのきいたことないけど…。」


直樹は周りを見ると、皆普通に生活をしているようだった。

さっきの声などまるで聞こえてないかのように。


「さっきの声がもし、ほかの人にも聞こえたなら、今周りの人たちは足を止めてざわついているはずだよね?なのに誰も反応してない。おかしくない?」

「確かに、周りの人たちはフツーに過ごしてるよな。」

「これ、聞こえてるの僕たちだけじゃないかな。」

「え、じゃあ、もしかしてこの声の主って、俺たちと同じ人外!?」

「その可能性は高いね、急いで行ってみよう!」


直樹と祐は、急いで声のしたほうへ走っていった。


声のした方へ進んでいくと、またさっきの獣の叫び声が聞こえた。

今度はさっきより大きく。


「だんだん近づいてきてるみたいだね。」

「なあ、なんかおかしくね?」

「なにが?」

「なんであんなに叫んでるんだ?今まであんな叫び声聞いたことなかったのに。」

「そういえば、どうしてだろう。」

「ま、その真相を知るためにも、急いでいこうぜ!」

「あ、うん。」


直樹たちはさらにスピードを上げ、声の方へ走った。


すると、空き地に巨大な恐竜が一匹と炎の頭で迷彩柄の服を着た人が一人いた。

炎の頭の人は、どうやらその恐竜に攻撃をしているようだった。


「な、何だあれ!?恐竜!?」

「みたいだね。その近くにいる人がどうやら恐竜に攻撃してるみたいだけど…。」

「なんであんなのが?いや、それよりもどうして戦ってるんだ?」

「聞きたいけど、あの様子じゃ近づけないね。」

「だよな、俺ら戦闘経験なんてないし。」

「…。僕に考えがあるんだけど、聞いてくれる。」

「なんか思いついたのか?」

「できるかわからないけど、試したいことが一つ。」

「わかった、じゃあ、俺は何をしたらいい?」


直樹は祐に作戦を伝えた。


「じゃ、俺はあの炎頭の気を引けばいいんだな。」

「うん、お願いね。」

「オッケー、じゃあ行くぞ!」


祐と直樹は空地へ行き、祐は炎の頭の人の前に、直樹は恐竜の目の前に立った。


「なっ、誰だお前ら!?」

「ちょっと、お邪魔するぜ。直樹!」

「うん。いけそう。」


直樹はそう言うと、両手を恐竜に向けた。

その手を恐竜が入るほどに広げ、手を閉じる。

開いたその手の中には、恐竜が瓶の中に詰められていた。


「やった!成功したよ!」

「おお!やるな、直樹!」

「ほんと成功してよかったよ。」


そういって二人はハイタッチした。

その後ろから、炎の頭の人が近づいてきた。


「おい、お前ら、よくも邪魔してくれたな。」


二人は振り返り、炎の人と対峙した。


「邪魔って、なんか大変そうだったから助太刀しただけだろ。」

「それが邪魔だって言ってんだよ。もっと炎を使いたかったのに。」

「あんまりやってると、近くの建物に燃え移って火事になったかもしれないよ?」

「ちっ、そりゃあ確かにそうだが…。」

「君は火事を起こしたかったの?」

「あ゛ぁ?そんなわけねーだろ、俺はただ自分が持ってる炎の力を使う相手を見つけたから、試したかっただけだ。」

「そっか、ならよかった。」

「よかねーんだが?」

「もう十分試せた用意見えたけど?あの恐竜倒せたの?」

「…。いや、正直言って厳しかったかもな。意外と強かったし。」

「ならいいじゃないか。」

「わーった、わーった、もういい。ところで、お前ら何もんだ?」

「僕は佐藤直樹。」

「俺は猫田祐、よろしくな!」

「名前を聞いたわけじゃねぇんだが…。俺は藤井焔だ。で、お前らは何者なんだ?」

「僕たちは君と同じ人外の姿を持った一般人だよ。」

「そうそう、それでさっきの恐竜の叫び声が聞こえたからここに来たってわけ。」

「ただの一般人、ねぇ。」


焔は二人をじろじろと嘗め回した。

どうやら疑っているようだった。

確かに、猫田は基本的に服装は来ていたままのものなので制服だが、直樹はなぜかスーツ姿になってしまうので、一般人というのも少し疑わしいものがあった。


「元の姿を見せたら信用してくれる?」

「ああ、見せてくれよ。」

「じゃあ、君も元の姿を見せるのが条件ね。」

「はぁ!?なんでそうなる。」

「だって、そうじゃないと対等じゃないじゃないか。」

「俺はお前らが疑わしい、お前らはその疑いを晴らしたい、だから元の姿をさらす。でもそれはお前らだけでいいだろ?」

「その姿になった瞬間、君が僕たちを殺すかもしれないだろ?」

「なっなんでそうなる!?」


焔は直樹の言葉にひどく動揺した。

まさか、自分が殺人をすると疑われているとは思ってもみなかったからだ。

隣にいる祐も驚いていた。


「い、いや、さすがにそれはないんじゃない、直樹。」

「そうとも限らないでしょ?どうやら彼の炎は見た感じ元の次元に干渉できるタイプの攻撃だ。周りの雑草が燃えていたし。だから、彼は僕たちを燃やして殺すことも可能なんだよ。」

「そ、そうかもしれないけど…。」

「人殺しをする気はねぇよ!わかった、俺も元の姿に戻る、それでいいだろ。」

「ありがとうございます。」


直樹は笑顔で感謝を述べた。

しかし、その笑顔を見て、焔は若干引いた。


カーテンが揺らぐように、彼らの姿が揺れると、元の姿に戻っていた。

直樹と祐は元の高校の制服姿に、焔は私服の姿になった。


「私服だ…。」

「なんだよ、わりぃかよ?」

「い、いや、悪くないです!」

「僕たちは高校生だけど、あなたは?」

「俺は室蘭大学1年だ。」

「大学生だったんですか。だから私服なんですね。」

「急に敬語なんて使うなよ、さっきの話し方でいい。」

「ありがとう。それで、信用してもらえる?」

「ああ、二人ともマジで高校生なんだな。どっちの制服もここらへんで見かけるやつだ。」

「信じてもらえてよかった。」

「なあなあ、聞きたいことがあるんだけど!」

「なんだ。祐、だったか。」

「うん、焔さんはいつからあの姿になれるようになったの?」

「ああ、それか、お前らと同じ高校生のころだな。」


それから、焔に二人は人外の姿について解明すべく、詳しい話を聞いた。


それから分かったことは、彼も同じくいつの間にか人外の姿になれるようになったこと、炎が好きだがそれは放火したいとかそういうことではなく、純粋に炎の温かさや揺らめきが好きだということ、出身がこの町だということだった。


「うーん、今まで分かったことをまとめると、3人しかいないけどみんなこの町出身ってことと、好きなものの頭になることしかわからないな。」

「なんだ、お前らこの姿について調べてるのか。」

「え?だって、どうしてこの姿になるのか知りたくならない?」

「いや、確かに気にはなったが…。」

「3人も集まってるんだから、何かわかることも増えると思うんだ。」

「そうだな、俺も気になるし、これからは一緒に行動するか?」

「いいの!?」

「時間が合えばな。」

「ありがとうございます!」


そうして、この日から人外の姿の究明を3人で行うこととなった。


「そういえば、あの恐竜何だったんだろう?」

「お前らもわかんねぇのか。」

「焔さんもわからないなら、僕たちもわからないですね。」

「解明することが増えたなぁ。」

「ま、それはまた明日でいいだろ。もう暗くなってきたし、帰るか。」

「じゃあ、また明日!」

「また明日ねー!」



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