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冒険者が破壊する薄明の世界  作者: Yuhきりしま
~いずれ拳王となる狂戦士のソロ冒険者は酔っ払い勇者に絡まれて旅に出る~
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旅立ちの日


 レオンという男の言葉を何処まで信用したら良いのかフリードには判断がつかない。王都を堕とす相手をぶっ潰すなんて言われても規模感が想像できなかった。そもそも数時間前に出会った男からは勢いしかフリードは感じない。


 具体的な計画という物が説明されていないのだ。何をどうやって相手を倒すのか? 何人で行動するのかも分からない。


「レオン、お前はさっき会ったばっかりの俺を……国を潰す程の魔物討伐に本気で誘ってるのか?」

「もちろん、本気だ」


 フリードは自分の事を理解しているつもりだったが、どうやら大馬鹿者だと気付いた。


「おう、そうこなくっちゃな」


 何故ならフリードは自ら腕を伸ばしてレオンの手を取っていた。






 何事にも計画が存在する。フリードが魔物を倒す時も相手の特徴を把握していれば前準備を行う。失敗の兆しが顔を出した時の為に逃走経路も予め考えて備える。何より魔物と戦う時点で冒険者が一番最初に勘定へ自分の命をいれる。


 もし、失敗してしまっても次があればチャンスは存在する。


「それでレオン。おまえのパーティには誰が居るんだ?」


 強大な敵には相応の人数で挑まなければならない。Cランクに上がったフリードは恐らく最低ランクで足を引っ張らないように立ち回る覚悟があった。


 すーっとレオンは人差し指をフリードに向けた。


 その後は沈黙が流れる……。


「もしかして……」


 フリードは気づいてしまう。このレオンとか言う男は不都合が起きると相手から目を逸らす傾向がある。


「俺とお前の二人だけなんてことは――」


 一向に目を合わせないレオンが答え合わせになっていた。


「二人でどうにかなるのか?」

「待て待て、俺の話を聞いてくれ」


 慌てるレオンの目は泳いで挙動不審だった。


「ジェネラルからアリシア、ルーフェンと周りエデンへ来るまで冒険者ギルドに立ち寄って俺様は言ったんだ。オフィキナリスの敵を取ろうと声を大にして誘ったんだ。自国であるジェネラルでは周りの反対を押し切ってたから望み薄なのは仕方が無い。すると、どうだ。何処の国も重い腰を上げる事が無かった、Sランク冒険者を引き抜こうとしたが全て止められる『戦力の低下は認められない』の一点張りだ」


 襲われたオフィキナリスは戦力が無いという認識を各国は持っている。だから、高ランク冒険者を国から外へ出す気が無かった。魔物に襲われても追い返す為に国から離れさせる訳にいかない。だから誰もレオンの手を取る者は居なかった。


「それで、フリードが最後の希望って話だ。ま、別に断られても俺様が一人でやってやるけどな。怖気づいちまったか?」


 元々フリードはオフィキナリスを訪れる予定だった、それどころか国落としの張本人と会える可能性がある。実のところ、未だにフリードは実感が無い。一人で何でもやってしまうメアリがそう簡単に死ぬ想像が出来ない。


 スキル『影法師』はフリードが出会った中で最高かつ最強のスキルだ。自由自在に動かす影は刃になり移動にも使える。


 一縷の望みがあるならフリードに選択肢など存在しない。


「構わない。俺達だけでもやろう」


 フリードの言葉を引き金にレオンが支度の指示を出した。


 レオンがフリードに告げた要求は馬車を用意することで、もちろん費用はフリード持ちだ。エデンからオフィキナリスまで道のりは長く、一週間を超える。それには食料込で快適な空間をレオンが所望し、約二年を掛けて貯めていたフリードの貯金が吹っ飛んでしまった。


 次に冒険者ギルドに立ち寄り正式にパーティへ入る手続きを行った。各国の冒険者ギルドは定期的にパーティを把握しているらしいがレオンの作ったパーティは共有されていなかった。レオンは王都ジェネラルのパーティ証明を提示して慣れない作業に受付嬢が慌てていた。


 暫く時間が掛かったがフリードは無事に加入することが出来た。


 フリードの二年間を支えた受付嬢が心配そうな表情をしたままフリードに近づいて話しかける。


「やっぱり、向かうんですか?」


 メアリとフリードの面倒を見ていた受付嬢には全てがお見通し。


「この目でオフィキナリスを見てくる」


 受付嬢はフリードを止める事も無く、両手を胸の前で握り丁寧にお辞儀をしてフリードを見送った。


 今回の旅に向けてフリードは馬車と食料で資金を九割無くして、長くお世話になった宿も今日限りで手放し明日には王都エデンから発つ。手続きに時間が掛かった事も影響し周りは暗くなっていた。


 全ての準備を整えてフリードは、隣で大あくびをしているレオンに尋ねる。


「また大層な名前をつけたな」

「保守的な連中じゃ、勇気ある行動を取れないだろう。いずれ勇者レオンという名が世に轟く日が待ち遠しいな」


 フリードが所属するパーティ名は『勇者パーティ』とレオンに命名づけられた。今はただ無謀な馬鹿者が作ったパーティだが、結果次第で世間の評価も変わる。レオンもジェネラルで名声を上げる目的があるようにフリードは感じた。


 勇敢に挑む者となるか犬死にするかはフリードにも分からない。少なくともフリードには憂いよりも楽しさが大きかった。


 明日から長旅が始まる。馬車を買ったフリードと旅の食料を担当したレオン。


 フリードが十分な食料に不必要な量の酒が乗ってる事に気づくのは日が登ってからとなる。

 

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