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冒険者が破壊する薄明の世界  作者: Yuhきりしま
~いずれ拳王となる狂戦士のソロ冒険者は酔っ払い勇者に絡まれて旅に出る~
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冒険と親心


 偶然、立ち寄りフリードにぶん殴られた魔族はベリアルと名乗った。事故であり、ベリアルは害を与える気は一切無かった。


 そもそも魔族は人間を敵視していない。


 強さが序列となる魔族達にとって強さが一番だった。そんな魔族が人間を相手にしない理由は至極単純で弱いからである。


 位の低い魔族でも人間を相手に遅れを取る事は基本的に無い。


 複数人の人間に襲われて命を失う魔族も存在しているが人間に負けるレベルの魔族は長生き出来ない。


 魔王・城下町で生きるには力が全てだった。


 温厚な魔族は魔王城に近づくこと無く一生を終える。


 魔族とは言え、レオンはベリアルを殺す気は無いらしく。ダンジョンの後始末に追われた。


「んーと。フリード……困ったな」


 レオンの言いたい事も理解できる。


街ゲルマンとエルフの里が魔物の被害にあった。


 ダンジョンであるモンスターパレードを無事に乗り越える事が確かに出来たが、無傷では終える事が出来ていない。何より、エルフの里はオークの攻撃を受けて半壊している。ゲルマンも一部崩壊していた。


 そして、更に頭を悩ませるのがエルフの里でどよめきが波紋のように広がっている。


 混沌のエルフ――漆黒の瞳を持ち世界を混沌に導く悪魔と言い伝えられているエルフ。


 皆の前でアカリは力を使い、その漆黒の瞳を晒していた。


 フリードにとって混沌のエルフとはアカリの家で読んだ物語でしか無い。


 それに、ゆっくりと読んだ訳でも無く。流し目でめくったページに過ぎない。


 何も分からないがこの空気だけは知っている。まるで、昔フリードがパーティを組んでいた時のような空気感……メアリに向けられた眼差しに酷似していた。


 唯一、違った点はみんなが混乱しているだけ。


 そんな中で、調子を狂わさない普段通りのエルフが口を開いた。


「まぁ、アカリったら混沌のエルフだったのね」

「驚いちゃった。あたし、初めて見たの」

「えっとー、混沌のエルフは確か……見つけたら死刑だったかしら?」


 例の覗き見エルフ三人組はふふっと悪戯に笑いながら里の者を見渡した。


 エルフの里に伝わる掟。


 今まで、伝説だと思われていた混沌のエルフ。信じていなかった者は私利私欲にエルフの力を使わないように言い伝えられている抑止力だと考えていた者も居た。


 でも、混沌のエルフは実現してエルフ達は見た。超巨大な花が魔物を焼き尽くす様を……破壊を目の当たりにした。


「でもでも、あたしはエルフの里を魔物から助けるアカリを見たわ」

「急に走り抜けちゃうんですもの。びっくりしちゃった!」

「美味しいルミカを作るアカリが悪いエルフな訳ないわ。だって、勝手に盗んで食べてもアカリは怒らないもの」

「まぁ! 私も怒られなかったわ」

「あたしもー」


 顔を見合わせてふふっと笑うエルフを見てアカリは呆けてしまった。混沌のエルフだとバレたら里に居られないと思っていたアカリはヴァン達……盗賊に捕まった時も力は使おうとしなかった。


 唯一、アカリの事を知っていた長老が口を開く。


「アカリが里を救ったと言っても過言では無い。掟を破りアカリには今まで通り過ごして貰おうと考えている」


 せーのでアカリに向かって可愛らしくウィンクする三人組を見てアカリは両手で顔を覆った。隠し事がバレて不安だった気持ちが消え去る安心感で目頭が熱くなる。賛同を得るように三人組がぱちぱちと両手で拍手を始めると周りにいたエルフ達もそれに続いた。


「みんな……」


 アカリが口を開いて長老達に何か言おうとした瞬間を狙いすましたかの様に勇者パーティのリーダーが声高らかに叫んだ。


「待てコラ! このエルフは俺様の勇者パーティに入る事が確定している! だから、旅に出るぞ!」


 フリードも初耳で目を丸くしながらレオンを見た。


「えっ?」


 ゲルマンの民を含め話を聞いていたエルフ達の全員からその声が漏れた。本人であるアカリも理解が出来ていない様子。


 つまり、全てレオンが勝手に決めた。


「フリード。馬車のところに早速行くぞ。アカリを連れて来い。面倒な連中がそろそろ到着しそうだ」


 レオンは踵を返しゲルマンで大食い対決を行ったジーヌの店へ向かった。ベリアルを連れて。


「やれやれ、困った事にうちのリーダーが連れて来いと言っている。自分で引っ張る訳でもなく態々……俺に頼むという事はまだ断れる。アカリが嫌なら俺からレオンに伝えよう」


 フリードはアカリに判断を委ねた。


 漆黒に染まっていた瞳も元に戻り、ミディアムボブの煌めく金髪を揺らし頬を緩ませて長老に告げる。


「私……少しだけ、外をみてみたいって思っていました。だから、えっと……行ってきます!」


 長老は声を出すこともなくコクンと頷いて手を振り答えた。


 人間にしては巨漢のフリードの側に並んで歩いて行くアカリを見送る長老の後ろで小さく呟く三人がいる。


「まぁ、アカリったら嬉しそうに着いていったのよ」

「そういえば。そうね、そうそう。あの人間とお家でいちゃいちゃしてたもの」

「あ、それは長老に報告するの辞めようって決めたはずよ。だって、アカリが小さい頃から長老が面倒を見てるんだもの」


 あちゃーと顔を見合わせる三人組と長老の鼻すすり音が全てを現していた。


 そして、ゲルマンの異常に対して牢獄国家センターワールドから足を運んだ冒険者達がちょうど到着する頃に勇者パーティは出発した。


【読者へ作者からのお願い】


この小説を読んで


「面白い!、続きが楽しみ!」


と一瞬でも思われたら、↓の★★★★★を押して応援してくださると大変、やる気に繋がります。


よろしくお願いします!

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