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初任務【2】

 俺達は都市バゼレの入り口まで来ていた。

 これから俺の隣にいる少年の村へと行く。

 

 この少年の村は今魔獣に襲われているらしく、少年を連れて行くかどうか迷ったが道案内や村の住人への説明をしてもらう為に来てもらうことにした。


 そしてもう1人、今回はアミも一緒に行く。


 これはアミ本人の意思であり、危険だとは思ったがこの前、目を離した隙に誘拐されてしまった事もあって仕方なく連れて行く事にした。

 

「おい坊主、お前の村はどっちの方角にある?」


 俺は少年に村の場所を聞いた。


「坊主じゃない……俺はライトだよ!俺の村はあっちの方」


 少年は名を告げて、そのまま自分の村の方向を指さした。


「でも……こっから俺の村まで結構かかるよ?俺が村からここまで半日でやっと着いたから……」


 少年は自信なさそうにバゼレから村が離れていると言った。

 子どもとはいえ半日かかる距離、大人でも数時間はかかりそうだ。

 しかも今はこの少年、ライトにアミもいる……村に着くのは遅くなるだろう。


 ならば……コイツに聞けばいい。


【御用ですか?】


 俺の狙い通り、説明は俺に用があるかと尋ねてきた。

 あぁ、何かテレポート系や早く動ける系の魔法を教えてくれ。


【テレポートの魔法は無いですが、速度風魔法での移動がオススメです


 なるほどわかったありがとう。


 俺は心の中で説明に感謝の言葉を言う。


──マジックオープン


 そして俺は説明から聞いた魔法を使ってみる事にする。


「速度風魔法スピード!」


 魔法を使った。

 体が軽くなったのを感じて動きが素早くなった気がする。

 

 それと、俺だけ速くなっても意味がない。

 ふとアミやライトの事を思い出す。

 どうすれば2人を運べる……?


【それでしたら……】


 説明が俺にある提案をしてくれた。


◇ ◇ ◇


「うわぁー!!はやい、はやいよ!!」


 俺の前の方に捕まってるライトが叫ぶ。


「す、凄いです……」


 後ろで俺におぶさられているアミがかんしんしたように言った。


 今俺たちは、ライトの村に向かっている。

 スピードの魔法のおかげで俺だけが速くなったので前にライトがしがみついて、後ろではアミが俺の背中にしがみついていた。


 1人で移動するよりかは少しだけ素早さは落ちるが、それでもアミとライトを同時に運べる手段がこれくらいしかなかったから仕方ないのだ。


 そんなこんなで2、3時間ぶっ通しで走った結果目的地であるライトの村へと着いた。


 そこは小さで平和な村だったのだろう。

 木造で趣深い家、様々な作物が育っていたであろう畑。

 しかし今となっては辺りには人か魔獣かはわからない血痕、魔獣に作物が食い荒らされたのであろう畑。


 見るからに何かが暴れたのだとわかった。



 すると俺から降りたライトはその村の光景を目にして……


「そんな……嘘だろ……」


 信じられないと言う表情で村を見わたす。


「おーい!みんなぁ……んぐふ!?」


 村人を呼ぼうと叫ぶライトの口を俺は手で押さえた。


「静かにしろ……ここで騒いだら、魔獣に見つかるかもしれない!」


 アミが心配そうな目で見ながらライトの口を押さえながら注意を促した。

 ライトが首を縦に振り、俺はライトから手を離した。


 俺も村人の安否が気になっている。

 だからこそ静かに索敵が出来る魔法を使ってそれを確認するんだ。


──マジックオープン


 そして俺はアミが誘拐された時、アミを見つけ出したのと同じ魔法を使う。


「探査風魔法サーチブリーズ」


 俺から魔力の風が噴き出て村全体を覆う。

 風は家などにも潜入し、人がどれくらいいるかを感知させた。


 その結果……


「……結構家に人が入っているみたいだ。数は多いぞ。」


 家の中に何人もの動いている人が感じ取れた。生きている人数は4……いや50人くらいか。

 全滅という最悪の状況は免れたが、問題がたった今起きた。


「おいアミ、小僧出たぞ。俺から離れるな。」


 俺の魔法で感じ取れたのは家の中の人だけではない……こっちに近づいてくる魔獣も察知できていた。

 俺の言葉を聞いて、咄嗟にアミとライトは俺の近くに来た。


 そしてついに猪のような魔獣が俺たちの目の前に現れた。

 黒い体毛に赤い稲妻模様、鋭くはえた牙赤く光る目はこちらを見つめていた。


 しかもそれが何十体も見えているのだから面倒くさい。

 けれど、大丈夫だという謎の安心感があった。

 

 そしてその魔獣たちは本当の猪の如く、俺のところへと突進してくる。


──マジックオープン!


 俺はこの状況で有効になりそうな魔法を探す。

 そしてぱっと目に映った魔法がそうだと、直感で感じ取りその魔法を使用する。


「中級氷魔法アイスバレット!」


 俺から放たれたいくつもの魔法の氷の塊。

 それらは俺へと突進してくる猪型魔獣に当たっては魔獣は倒れていく。

 そしてアイスバレットをそのまま魔獣達に浴びせまくる。


 アイスバレットを打ち続けた結果、さっきまでいた魔獣達は全滅して、魔石へと変わっていた。


「す、すげぇ!!あんなにいた魔獣をたった1人で!!」


 ライトは目を輝かせながら魔獣を倒した俺を褒め称える。


 まぁこれで一件落着か……


 パチパチパチパチパチパチ


 拍手が鳴り響く。


 すると目の前に1人の男が立っているのに気が付いた。


 真ん中で分けた赤い髪、そしてアミと同じ色の目どこか気品があるその見た目はまるで貴族とかそんな感じがした。


「いやまさか、私の魔獣達がこうもあっさりやられるとは思いませんでしたよ。」


 男はにこやかに笑いながら話す。

 その声は敵意のなく、明るげだった。


 そのせいか、"私の魔獣達"という言葉を聞き逃しそうになるほどだった。


「私の魔獣だと?お前何者だ。」


 男の発言について探る。


「申し遅れた、私は魔人エルカールという者。この村に魔獣を放ったのは私です。」


 エルカール、そう名乗った男は自分がこの騒動の主犯だと語った。

 俺は後ろで敵意をむき出しにしているライトが飛び出てこない様に抑えながらその言葉を聞く。


「まぁ全部倒されたのなら、帰るつもりだったんですが……とりあえずそこの半魔人を殺してから帰ります。」


 そう言ったエルカールは突き出した手から雷撃をアミに向かって打つ。


 咄嗟に俺はアミの前に手を差し出して、その雷撃を受け止める。


「ぐっ……!!」


 手が焼ける様に痛い。

 でもこの痛さ……小指を失った時に比べればぜんぜんマシだ。


「何をしているのですか?今私はそこそこ機嫌がいいのです。……そこの半魔人の小娘を置いていけば命だけは助けてやるよ。」


 にこやか雰囲気から重く、確実な敵意を示してくるエルカール。

 凶悪な存在感に恐れ慄くが……


 それでも、前へ一歩踏み込んで啖呵を切る。


「ざっけんな、クソ野郎!こいつは俺の娘だ!指一本触れさせねぇよ!!」


 エルカールに向かって叫ぶ。


「そうか、ならお前を殺してその娘も殺すよ。」


 互いに引けない状況、ここから始まるのは討伐や決闘ではない。


 殺し合いだ。

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