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生と死の狭間

 目を覚ます、どうやらいつの間にか寝ていたようだ……

 いや違うな。

 周りに広がるただ白く広い空間……ふわりふわりとした不思議で体の感覚がなくなっているみたいだった。

 これは……


「……思い出した」


 目を覚ましてこの空間を見た後眠る前の記憶を遡っていた。

 確か俺は魔王を倒すためにビックバンという広範囲高威力の魔法を放った。

 

 それで魔王を倒せたかは知らない……


 けれどどうやらその魔法を使った俺はどうやらまた死んでしまったみたいだ。


「なら……ここはあの世か?」


「それは違う」


 声が聞こえそちらの方を向いた

 そこにいたのは……


「お前は……魔王!?」


 この白い空間に俺の他に魔王がいた。

 魔王は地?に座りながらこちらの様子を伺っている。


「なんでここに!?」


「そりゃ貴様に殺されたからな」


 魔王は俺の問いに軽い口調で話す。

 

「まっそれは今は置いておくとして」


 魔王が立ち上がる。

 また戦闘が始まる……そう思い即座に戦闘体制を整える。


「我はもう死んだ身、我を殺した貴様と話をしたい……と思っていたがそれは辞めた」


 少し俺の方へ喋りながら歩き俺の目の前で魔王は止まる。

 

「なんと我には魔王特権という一度死んでも蘇れる魔法を持っておる、これを使えばあっという間に我は復活する」


 魔王の言葉を聞きゾッとする。

 俺の命と引き換えにやれたのにまた蘇る?冗談にも程がある。


「だがその前に貴様と決着をつける

さぁ我を止めてみろ、貴様を始末して我は世界を……孫を取りに行く!」


「孫……だと?」


 魔王の言葉を聞き俺は魔王を睨みつける。

 孫……つまりコイツはアミに手を出すと、そう言ったのだ。


「あぁ貴様と一緒にいた娘……あれは我が女アーミレッタの娘、つまりは我が孫だ

ならば我があの娘に魔王としての教育をしてやろうではないか」


「──は?」


 コイツ今なんて言った?

 アミに魔王になるための教育をする?


 心の中に憎悪が渦巻く、友達と共に平和に暮らしていたあの子にそんな邪悪なことを教え込もうとするこの魔王風情に俺は怒りを感じる。


 止めなきゃ、あの子がこの先も平和に暮らせる様に

 ここで俺がコイツにトドメを刺す。


「お前なんかにアミを渡すか……殺すぞ」


 元の世界にいた時の様に相手に言葉を吹きかける。


「ほう、まだ我に争うというのか」


「あぁ……娘を守る為ならお前なんざ簡単に潰す」


 互いに戦闘体制をとる……

 そしてこの空間に来てから感じた事がある……それは魔法が使えない、という事だ。

 さっきから説明に語りかけても返事がない、説明がいないから魔法が使えないのかそれともこの空間では魔法が使えないのかそのどっちはわからない。


 それでも俺はアミを守るためにここで魔王を倒す。


 これは俺の最期の戦いだ。

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